電子の海文字の海

購入したラノベの感想を書いていきます。
主観全開、ゆるふわ感想記事になります。
主にamazon kindleさんで購入した電子書籍が対象ですが、
買えなかった場合は物理書籍の感想も書いていきます。

2018年04月

はい。
今回はいただいたコメントを参考に、どうせならとより魔法少女育成計画が楽しめるように様々な情報を載せていきたいと思います。

時系列は無印(1巻)からrestart(2・3巻)の間をベースとします。
amazon primeで閲覧できるアニメ情報は前回載せたので省きます。



まずはコメントにもありましたとおり、スノーホワイト育成計画
無印の段階ではスノーホワイトは右往左往して人助け以外で活躍したのは、最後のファヴに対して心を読み取ったあの一場面くらいでとても戦闘方面で活躍できそうには見えないですよね。性格が平和で温和で戦闘に向いていないのも大きいです。

でも『魔法少女育成計画』であれだけの凄惨な殺し合いが行われてしまったので、スノーホワイトの心境が大きくぐらついて変化します。具体的には修行して強くなります。強くなった結果、どうなったのかはrestartをご覧になれば一目瞭然です。

一部界隈ではスノーホワイト→白雪姫→修羅雪姫なんて呼ばれているので、どれくらい強くなったのかはお察しください。

無印のエピローグで強くなったスノーホワイトの片鱗が見えますが、どうやって強くなったのか、そこを補完するのがスノーホワイト育成計画です。

restartは既にスノーホワイトが強くなったあとの話ですので、修行の過程を観ることが叶うのは、このスノーホワイト育成計画しかありません。

restartの前に読むべきか読まないべきか中々悩ましいところがあります。
スノーホワイト育成計画は新装版にも含まれていて、さらには元々webで無料公開されたものです。
今現在でも閲覧可能ですので、是非ともrestartを読む前、もしくは読んだあとにご覧になると、より世界観に深みが増して良い化学反応を起こすと思います。
ちなみに個人的に、ですがリップルも登場する関係からlimited前編をお読みになられたあとでご覧になるのをお勧めします。restartとlimitedで読み返しをしたくなるかもしれないですけどね。

直リンク貼るのはネチケット的にアウト過ぎるので、下記リンクからご覧になってください。

特別編集版 魔法少女育成計画[単行本]
次にオフィシャルガイドブックです。
どの辺がお勧めなのかっていうと各魔法少女のパラメータが載っています。
実はシスターナナはパワータイプだったとか、ねむりんは世界に干渉できる水準の魔法の持ち主だったーとか小説では得られない様々な情報を多数得ることができます。
さらに遠藤浅蜊先生、マルイノ先生両名による大多数のコメント、対談も掲載。各巻のカバーイラストを拡大したものなど、多数イラストも載っています。

欠点は当たり前といえば当たり前になるのですけど、resart以降の情報も多数載っていること。つまり順番に読み進める場合はフライングをしてしまうことになります。

具体的にどこまで載っているのかというと、本編はACES(ナンバリング換算だと7巻)、サイドストーリーはepisodesφ(サイドストーリー集3巻)まで情報が載っています。

どちらかというと、どんな魔法少女が登場するのか、という部分のほうがフライングネタバレになります。どうしてかというと表面上だけでなく、鋭い切り口のコメントも書かれているからですね。その辺も気にするのであれば購入するのは後回しにしたほうが良いかもしれません。

魔法少女育成計画 オフィシャルファンブック[単行本]
次にwebコンテンツ、月刊魔法少女育成計画です。
今現在も更新が続いているコンテンツで、魔法少女育成計画の新情報が更新されていくwebコンテンツとなります。
一昔前のインターネットサイトのようにスノーホワイトとファヴが案内役として更新情報を解説してくれます。
ファヴが登場すると聞いてヘイトが上がった方はご安心。
スノーホワイトといっても修行したあとのスノーホワイトですのでファヴは睨まれただけで怯えるような状態になっています。安心ですね。

なお、書き下ろしの短編がいくつか閲覧できます。
しかしどの時系列のお話か書いていますが、無印直後のものは現在(2018年4月30日)ありませんので、もう少しシリーズを追った後でご覧になると良いです。

月刊魔法少女育成計画



最後にサイドストーリー集、魔法少女育成計画 16人の日常です。
episodesはrestartも含んでしまうので、episodesをお読みになるのはrestartを読み終えたあとにすると良いです。

魔法少女育成計画 16人の日常 (このライトノベルがすごい! 文庫) 
魔法少女育成計画 16人の日常 (このライトノベルがすごい! 文庫)
16人の日常は小説1巻のみにスポットライトを当て、いくつかのサイドストーリーが載った小説です。本編小説1巻はとにかく退場スピードが尋常ではないので、どういうキャラなのか、どういう一面があるのか掴みにくい部分がネックです。
そこでそれらを補完できるのが16人の日常です。
特に印象が変わるのはルーラ、そしてシスターナナではないでしょうか。

ルーラは小説だと苛烈なブラック上司的な一面が大きくフューチャーしていますが、アニメをご覧になればわかりますがとても面倒見が良くて責任感が強い人です。
そんなルーラの非魔法少女時を垣間見えるエピソード、『偉大なるリーダーの苦悩』をご覧になれば、きっとルーラに対する印象が大きく変わるでしょう。
良くも悪くもお堅い人ですので、一周まわってシュールというかシリアスなギャグというか、とにかく真面目なのに噴き出してしまいそうになるシナリオ展開にほんわかすること間違いなしです。というかファヴとクラムベリーが暗躍しなければ、人数減らしを行うにしても記憶を失わせるだけで済んでいたので、誰も死なずに済んだんですよね……辛い。

シスターナナは小説本編ではヴェスウィンタープリズンと相思相愛ですが、そうなる前はどうだったのか……という点でとても意外な展開を『サークルの王子様』で目にすることができます。一行目からビックリすると思いますよ。

小説本編だと一瞬で退場したねむりんが登場するエピソードは、『アリス・イン・ハードゴアドリーム』。小説の時系列で考えると、ハードゴアアリスが魔法少女になる前にねむりん退場した気がするんですけど……細かいところを考えてはいけませんね。
ねむりんとハードゴアアリスのみならず、多数登場キャラの補完要素があるとても質の高いサイドストーリーです。是非ご覧になると良いです。

余談ですがハードゴアアリスって不思議の国のアリスのアリスと、元の名前、鳩田亜子から名前取ってハードゴアですよね。多分。



ということでいくつか補完情報を説明させていただきました。
コミックス版は読んでないので中身を知らないのに紹介するのはどうなの? ってことで説明を省いています。もし興味があれば其方も併せてご覧になると良いかと思います。

魔法少女育成計画(1) (角川コミックス・エース)
魔法少女育成計画(2) (角川コミックス・エース)


Q. 魔法少女育成計画ってどんなお話?
A. ハム太郎の声で「ボクと契約して魔法少女になってよ!」と言われる小説

って書くと相当な語弊がありますがおおよそ間違ってないです。
端的に書くと『魔法少女』になった者同士が戦い合うバトルロワイヤルです。可愛らしい女の子が10~人ほど登場しますが、毎回生き残るのはほんの僅か、片手で数えられるほどです。恐ろしいです。

魔法少女育成計画(このライトノベルがすごい! 文庫) 
著:遠藤 浅蜊先生
イラスト:マルイノ先生
魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)
遠藤 浅蜊
宝島社
2012-06-08





今回は魔法少女育成計画の1巻の感想です。
ネタバレ多いです。ご注意ください。


魔法少女育成計画のノベル版はkindle版が今現在(2018年4月30日)存在しないので物理書籍で購入することになります。そこだけ注意ですね。コミックス版はkindle版があります。

さて、魔法少女育成計画――略してまほいくは巻数の重ね方が少々独特で、

(本編)
魔法少女育成計画
魔法少女育成計画 restart(前編)
魔法少女育成計画 restart(後編)
魔法少女育成計画 limited(前編)
魔法少女育成計画 limited(後編)
魔法少女育成計画 JOKERS
魔法少女育成計画 ACES
魔法少女育成計画 QUEENS

(サイドストーリー)
魔法少女育成計画 episodes
魔法少女育成計画 16人の日常
魔法少女育成計画 episodesΦ

さらにweb連載の魔法少女育成計画 breakdownがあります。
魔法少女育成計画 breakdownもいずれ書籍化されるんでしょうけどページ数の関係で『スリム』になるのだろうと思われますのでweb版を見たほうがきっと良いです。

web漫画の魔法少女育成計画F2Pもあります(続きいつ来るのかしら……)。

前編後編とあるようにrestartとlimitedはそれぞれ2巻構成。
JOKERSからQUEENSは3部作と呼ばれています。ウチは今のところlimited前編まで読み終えました。

1巻である魔法少女育成計画をアニメにしたものが魔法少女育成計画アニメ版です。
今現在(2018年4月30日)amazon prime特典で観ることができますのでとてもお勧めなのです。

今回の感想はそんなアニメ版とノベル版の比較も行いつつ進めてまいります。

まず魔法少女育成計画は群像劇です。
主人公は決まっていますが、視線がコロコロ変わるので複雑な構成になっています。
アニメ版は魔法少女育成計画にサイドストーリーであるepisodesなども足したものになっていて、アニメ→小説の順に見てしまうと中々面食らうと思います。

どうしてか。
描写が淡泊で淡々と進むからです。
魔法少女育成計画は1巻でも綺麗に完結するのですが、restart以降を読むと序章なんだなと思うはずです。
特に主人公であるスノーホワイトの真価が発揮されるのはrestart以降ですし、1巻だけ読んで「なにこの主人公」って思ってしまうのはもったいないです。
スノーホワイトについては別口で次の記事で補足しますので其方も併せてご覧になってください。

少し上で淡々と進むと書きましたが、特にねむりんの扱いにはビックリしました。
アニメ版は登場人物となる魔法少女16人全てにスポットライトが当てられた構成になっています。さらにアニメ版で補完された部分も相当数あり、小説版を読むとあまりのあっさりとした退場シーンにページをめくり返したくなるのではないでしょうか。
ねむりんは特に顕著で、チャットシーンで少し『会話』があるだけですからね……アニメ版のリアルねむりんの描写を見ているとビックリしちゃいます。

小説版とアニメ版は補完要素を除くと概ね同じなんですが、時系列の組まれ方が大きく違います。

アニメ版はスノーホワイトこと、姫河小雪が魔法少女育成計画に巻き込まれる少し前から始まります。
小説版は始まった時点で既にスノーホワイトは大活躍して、鳩田亜子がスノーホワイトから助けられる場面から始まります。つまりアニメ1話の中盤が小説版の冒頭になっています。
これはアニメから入ると鳩田亜子が『伏線』となっていて、正体が判明した時に驚きになるだろう展開を見据えているからだと思います。それにスノーホワイトになる前から始めたほうが、より主人公らしく見えると思いますし。

ではアニメ版を見れば小説版1巻を読まなくても良いのかというと、半分正解半分不正解だと個人的には思います。
例えばシスターナナの内面描写がアニメだけだとわかりにくいんですよね。
シスターナナはヒロイックな立ち振る舞いをして夢物語を語るような感じです。頭の中がお花畑……ではなく、そう立ち振る舞う自分が好き、なんですよね。
これはヴェスウィンタープリズンが退場したあと、シスターナナが自室で自殺する少し前に大きく描写が書かれています。

(中略)
 シスターナナには絶対に真似できない。

と。
かなりゾッとしちゃいましたね。
アニメ版を見ると、ウィンタープリズンが倒されたことがそれはショックでショックで薬や酒に溺れ、魔法少女に希望を見いだせなかったから自殺するような流れになっているだけに。

描写が簡素、淡泊だからこそ良い場面もあります。
例えばラ・ピュセルとクラムベリーが戦う場面。
アニメ版だと決着の瞬間まで書かれていますが、小説版は戦いが始まるところで場面が終わり、直ぐに葬式の場面まで時系列が飛びます。
こうするとどうなるのかというと、クラムベリーの強キャラ感が増すわけです。書かれないことで力の底が見えない恐怖感が強くなるのです。
そんなクラムベリーもあっさり退場しますし、強キャラは強キャラだけど死ぬ時は死ぬというリアルというか無情というか、先が読めない展開になっています。
魔法少女育成計画って巻数進めると特にそうですけど固有魔法の相性がそのまま決着に結びつくことがあるんですよね。スタンドバトルが近いんじゃないでしょうかね。ある方向性には滅法強いが、ある方向性には滅法弱いっていう。

ちなみに小説版を読んで一番驚いたのは、ウィンタープリズンのマフラーが飾りでは無かったことです。アニメ版だとクラムベリーに引っ張られてデメリットと化していました。
小説版は逆にマフラーを使ってクラムベリーを追い込む一手に一役買っています。それ操れたのかよ! と思っちゃいましたよもう……。

1巻で特に好きなキャラはトップスピードです。
アニメ版と小説版も退場が惜しすぎて心の中で崩れ落ちました。特にアニメ版は『絵』がある以上、ある情報がさらに突き刺さることでしょう。
サイドストーリーを読むとスイムスイムにそれ教えているんですよね。
それを知った上で躊躇なくトップスピード屠るのかよ……あんまりだよと思ってしまいます。まぁスイムスイムの正体が正体で善悪の判断、魔法少女育成計画の人数減らしで流れが作られてしまっているので仕方ないっちゃ仕方ないんですが……。

ちなみに退場が一番ショックだったのがラ・ピュセル。
スノーホワイトを守るポジで最後まで生き残ると思っていただけにビックリしましたよ……。

小説版はアニメ版と違ってかなり簡素にサクサク進みます。
が、魔法少女の衣装、風貌の描写は凄まじい力が入っています。これは是非とも読んで確かめて欲しいです。無茶苦茶凄いです。
簡素でも内面描写はしっかり描かれていますから感情移入し易いと思います。考えに対して同意できるかは別にして、ですが。

加速の付き方が凄いので、できればアニメを観る前に小説を読むととても面白く味わえると思います。カラミティメアリ戦からエピローグまで100ページも無いですからね。凄く早いのです。びっくりするほどに。でも描写しっかりありますからね。凄いのです。

そういえばこの記事の頭で、

Q. 魔法少女育成計画ってどんなお話?
A. ハム太郎の声で「ボクと契約して魔法少女になってよ!」と言われる小説

と書きましたが、電子妖精ことファヴに対するヘイトの溜まり方はそりゃあもう凄いです。
似たようなポジションで魔法少女まどかマギカにキュゥべえがいます。
双方魔法少女に勧誘するのは同じですが動機が全然違います。

キュゥべえは人間視点から見た倫理性は欠如していますが、キュゥべえ自身は宇宙を守るために行動を起こしています。できるだけ譲歩もしようとしています。

それに対してファヴは必要なことは話さないわゲームマスター(厳密には違いますが)権限でルール捻じ曲げるわ魔法少女同士を戦わせるために煽るわで、要は自分が楽しむために立ち振る舞うのです。
書いておくとファヴは1巻で退場し、restartは別のキャラが電子妖精として登場しますがファヴのような凶悪性は持ち合わせません。ファヴが特殊なのです。

諸悪の根源。ファヴが『死ぬ』場面はそりゃあもう溜飲が下がりました。
アニメ→小説の順で魔法少女育成計画にどっぷりハマってますが、アニメ版の最終話のクライマックスシーンは思わずガッツポーズを取りました。海外の人の実況動画がありますので適当に探して閲覧すると良いです。思わず同調してしまうでしょう。

ということで魔法少女育成計画の感想でした。
こんな良い子が死ぬなんて……って思わず涙がちょちょぎれそうになります。特にハードゴアアリスの一途な想いが。

まほいくシリーズの本領発揮は次巻のrestart以降ですね。凄い展開になっていますよ。

オマケ。
小説1巻は色々足した特別編集版もあります。
お値段が高くなりますが、お財布に余裕があったりそっちのほうが気になるーって方は特別編集版を買うと良いです。ウチはというと買ったあとで特別編集版の存在を知ったので買うに買えないような状態です。お財布を少し痛めさせば良いんですが、このために……うーんorzllll





あくまで主観ですが、ラノベといえば主人公がいて、ヒロインがいて、問題を解決しつつ関係性が深まる……というのがテンプレートのひとつだと思います。
ヒロインが複数いる場合は主人公君が問題を解決していくうちに第一、第二(以下略)ヒロインを攻略して好かれている……という感じになっているのではないでしょうか。

ではヒロインから見た主人公君はどうなるのでしょうか。
ヒロインが複数いれば、ヒロイン同士はお互いにライバル同士になるわけです。
ハーレム系や一夫多妻制度でもない限り、主人公君のハートを射止めることができるのは一名のみ。平穏の裏では骨肉の争い……なんてケースもあると思います。

さて、ゴブリンスレイヤー3巻はゴブリンスレイヤーがゴブリンを狩るお話です。
けれど各ヒロインがゴブリンスレイヤーを攻略するお話でもあります。攻略に成功できるのかどうかは別のお話。

ゴブリンスレイヤー 3(GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:神奈月 昇先生
ゴブリンスレイヤー3 (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2016-09-16


今回はゴブリンスレイヤーの3巻の感想です。
1巻、2巻と違ってシリアス度低めのラブコメ風味盛り沢山とタカを括ると大火傷します。
今まではあっちこっちの迷宮やら砦やらに出向いてゴブリンを殲滅してきましたが、今回はギルドのある街がメインでお話が進みます。それとは別でゴブリン退治もちゃんと行います。

比較的序盤でゴブリン退治を行った際、今までと動向が異なるのが何かしら伏線になるであろう展開は容易に想像できるのですが、それがどう絡んでくるのかは後半になるまでわかりませんでした。
というよりもカラー挿絵で描かれるヒロイン勢の艶やかな姿に魅了されまして、嗚呼今回はどちらかというとサブストーリーみたいな感じなのかなーと思っていました。
カラー挿絵の女神官えっちぃ過ぎですよ……。

実際その側面は強いと言えます。
ギルドのある街で大きな祭りが執り行われるのですが、そのお祭りの話と街を組み合わせたものがメインシナリオとして進行します。
牛飼娘、受付嬢、女神官の三名のヒロインを主軸にゴブリンスレイヤーの物語が展開します。妖精弓手が一歩引いていますが冒険の確約を行ったので次巻以降でメインヒロインとして大活躍するでしょう。きっとね。

面白いのは今まで登場したサブキャラがお祭りという土台に密接に絡んでくること。
主人公君はゴブリンスレイヤーですが、サブキャラにだって物語はあるのです。
生と死を賭けた壮大な戦いもあれば、恋の詩を紡ぐラブロマンスだってあるのです。
色恋沙汰から離れていたキャラにもスポットライトが当てられ、今までと違った魅力でぐいぐい読者を魅了していくと思います。実際女騎士は挿絵の破壊力もあって中々凄いことになっています。

さて、今までの殺伐とした殺戮劇と無縁かと思えばそうではありません。
後半になると切迫した展開を迎え、緩んでいた気持ちがグイグイ引き締まりました。
特に各ヒロインとの『デート』の最後を締めくくる受付嬢と良い感じに終わりそうと思ったらいきなりあの展開なので、思わずゴブリンってそこまで知恵が身に付いた者がいたのかと焦りました。
それは直ぐに違うのだと発覚するんですけど、じゃあ正体誰なんだよって当然思うわけです。正体を見て(読んで)「あああああああお前はあああああ!!!」ってなっちゃうわけです。
ゴブリンスレイヤーは率直に言えば職人肌で武骨で素朴で遊びがあまり無い人物です。
つまりやることなすこと容赦が無いわけです。彼にその気が無くても恨みを買うことはあるのです。
あの時の人物が何か後々やるだろうなーとは予想付くんですが、まさかこのタイミングでそれが行われるとは予想だにしていませんでした。

一気に小説全体の空気が変わったと思いました。お祭りの裏側ではシリアスな展開が仕組まれていて、急転直下、一気にゴブリンスレイヤーらしいお話になったのです。

1巻ではオーガやゴブリンチャンピオン、2巻では目玉のアレがボスの立ち位置として立ちはだかりました。今回はゴブリンではないボスが立ちはだかります。
これがまた燃えるんですよ。

ゴブリンスレイヤーでは神に祈りを捧げることで呪文を習得したり色々恩恵を受けることができます。では神に祈りを捧げない、反旗を翻した者を何て呼ぶのかと言えば、『祈らぬ者』と書いて『ノンプレイヤー』と読ませる凄さですよ
ノンプレイヤー――即ちNPCですよね。神に祈る者はプレイヤーキャラ、つまり盤上の神が見から見ればダイスで運命を左右される生命体ってわけです。神々から離れ、プレイヤー(登場人物)に牙を向ける。凄い王道ファンタジーというかなんというか、本当に作者様はTRPGが好きなんだろうなーってのが伝わってくるのです。

RPGなどのお約束ですけど、ボス戦は一対多になるわけです。
数で主人公側が勝る劣勢をポテンシャルやパラメータ、特殊能力でカバーすることで戦闘バランスが取られます。今回のボス戦もまた面白いイベント(特殊能力)でとても見応えのあるバトルになっています。



3巻は萌えと燃え、両方が味わえて一石二鳥の大満足となりました。
個人的には2巻のようなダンジョンハックのほうが好きなんですが、3巻のようなシティーアドベンチャー的展開。これはこれで全然アリだと思いました。
ゴブリンスレイヤーは1巻に比べればずっと柔らかくなりましたけど、それでもキャラがキャラなので各ヒロインと進展するのは牛歩の道だと思いますし、このゆっくりさがクセになって良いアクセントになっているお思います。

ダウナーイチャラブとは違いますけど、静かなイチャラブ大歓迎なのです。

ってことで3巻の感想でした。
作者様の引き出しの多さに脱帽なのです。固有名詞はゴブリンスレイヤーのみですけど、各登場人物のキャラクタがどんどん深みが出て、思わぬ組み合わせで化学反応が発生することも多いですし、次はどんな冒険が描かれるのだろうと超楽しみですね。
(5巻まで購入済みです)


ダンジョンと言えば何を思い浮かべますか?
洞窟、森、塔、砦、城、廃墟etc...
ダンジョンとはDungeonと書きます。元々地下牢を指す単語です。

転じて日本においてはダンジョンとは迷宮を指す単語になります。
迷宮であればそれはもれなくダンジョンになります。有名な新宿駅や梅田駅がダンジョンと呼ばれるのもある意味では正しいのです。

さて、ゴブリンスレイヤー2巻で訪れるダンジョンは水の街の地下に広がる大迷宮、巨大下水道。ダンジョンアタックですね。ゴブリン殲滅の依頼を受け、遠路はるばる遠い街を訪れることになります。

ゴブリンスレイヤー 2(GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:神奈月 昇先生
ゴブリンスレイヤー2 (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2016-05-17


ゴブリンスレイヤー2巻の感想です。
てっきりゴブリンスレイヤーと女神官の二人旅を主軸に進むかと思ったら妖精弓手ら3人組もパーティインし、5人パーティがメインで展開されます。
解散したり別行動を取ることはあれど、5人パーティの鞘に戻ります。攻守、さらにサポート体制が整い、あらゆる困難に置いて対応力のある非常に強力なパーティです。でも呪文の使用回数はやはり少ないです。Wizardryなどと違って中々増えません。

そんな彼らに剣の乙女と称される大司教かから依頼が舞い込みます。
クセの強い人ですよこの人も。

まずエロいです。
恰好がエロいです。
そして言葉選びがエロいです。しかも悪気が無いのでなおさら質が悪いです。
特にゴブリンスレイヤー、女神官との会話シーンがヤバいです。
しかし最後まで読み進めると、剣の乙女の印象が変わってくるんですよね。

ゴブリンスレイヤーはゴブリンを狩り続けたことで上から三番目の銀等級冒険者になりましたけど、対ゴブリン特化型である彼自身に秀でたスキルは無いわけです。ゴブリン特化型なのはスキルというよりも経験の裏打ちですし。

しかし剣の乙女は上から二番目、金等級冒険者です。
様々な脅威を退けた歴戦の英雄なのです。そんな彼女がわざわざゴブリンスレイヤーを指名したのです。ゴブリン殲滅の依頼を。どうして? 無論、最初は他の冒険者に依頼しました。けれど……ダメだったのです。
そこで白羽の矢が立ったのがゴブリンスレイヤー。小鬼を殺す者。

という導入を経て、巨大地下水道探索に入ります。
といっても終始ずっとダンジョン探索してゴブリンとバトルするだけではありません。
なにせゴールがわからない巨大地下水道ですから、何度か街に戻って休息取ったり補給するわけです。そういう意味で正しくダンジョン探索していると思いました。拠点とダンジョンを何度も行ったり来たりするのはWizardry想起するのでワクワクします。

水がメインのダンジョンだけあって水に関する展開が多いです。
船に乗って流れてくるゴブリンは怖いですね……。
頭の中で浮かぶイメージはヴァルキリープロファイルのダンジョンなんですけど、ああいう感じでゴブリンがワンサカ来たら怖すぎでしょ……。

RPGのように全体火力呪文で全部撃破ーなんて都合の良い話は無く、前回の感想記事でも書きましたが、リソース管理が非常に厳しいので長期戦ができない世界になっています。直ぐにピンチになるのです。

後半だったかと思います。
ゴブリンの罠にハマった時は、展開的に助からないとお話が進まないから勝つだろうという見込みが立つんですけど、じゃあどうやって助かるんだろうという予想ができなかったです。絶体絶命大ピンチですね。1巻のオーガ戦の時は絶対的な戦力差をいかに覆すか、でしたけど、2巻の大ピンチはいかに窮地を脱するかに極振りした展開で緊迫感が凄かったです。

この作品の主人公はゴブリンスレイヤーです。
けれど彼は勇者ではありません。勇者はゴブリンスレイヤーとは別に存在します。ゴブリンスレイヤーが迷宮探索をしている裏で、勇者は暗躍する者を討伐します。

ゴブリンスレイヤーと勇者、彼らに何の違いがあるのか。
簡単です。勇者は勇者たる才華に恵まれているから勇者なのです。
さらに勇者はダイスに好愛されている。

ゴブリンスレイヤーはタイトル画像、文字が小さくて見辛いんですけど、英語のタイトルがくっついています。

He does not let anyone roll the dice
彼は誰にもサイコロを振らせませんでした

ゴブリンスレイヤーはTRPG要素が非常に多いノベルです。
TRPGにおけるダイスとは、あらゆる結果・数字ををダイスを用いて判定します。
つまりダイスの運が悪ければより悪い結果に、ダイスの運が良ければより良い結果になります。

ではゴブリンスレイヤーと勇者の違いとは。
勇者はダイスに愛されていた。ゴブリンスレイヤーはダイスを振らせない立ち回りをしていた、ということになります。

これが描かれるのは物語の外側。盤上の神の視点からになります。
勇者は世界を救います。
ゴブリンスレイヤーは世界を救いません。世界が窮地に陥ったとしても、彼はゴブリン退治を優先します。彼は新たな力を授かる努力よりもゴブリン退治を優先します。
時間は等しく流れます。彼にとっての最優先はゴブリン退治なのですから。

話を戻します。
ゴブリン事件の真犯人は勇者が成敗してくれました。
けれどゴブリンが地下水道に流れてくる原因そのものは別にあります。
真犯人を倒してもシステムを壊さない限り永遠に続くのです。
そんな真犯人ですから当然ながら『用心棒』を用意しています。それが2巻のボス戦となります。
……調べて元ネタがあったことを知りました。名前見たことありましたよorz
Wizardryは結局エンパイア3、エクス2、五つの試練しかしてないのでウチの経験不足ですねハイorzlll

ボス戦というかボスモンスターは、アニメやRPG的に考えると燃えるシチュエーションを取ってくれます。どうやって倒すんだろとワクワクしました。こんなのどうやって勝つのって相手ですから奇策に期待するわけです。大満足でした。

ボス戦が終わり、システムを壊し、これでめでたしめでたし……と思ったらアレですよ。
衝撃の展開があるわけではないのです。ただ、価値観が変質します。そういうことだったのかーと。最後まで読むと今までの価値観が少し変わります。同じセリフも違った色に見えるでしょう。
人の感情とは、表層だけで測り知ることはできないのですから……。

ってことで2巻の感想でした。
ぶっちゃけ感想じゃなくて駄文の羅列になってますねハイ
けれど感想を正直に書くと、ダンジョン探索が超ワクワクしました、で終わってしまうのですよ。結構ページ数的なボリュームあるんですけど、やっていることは1巻も2巻もゴブリン退治、それ以上でもそれ以下でも無いのです。ただ、ゴブリン退治に何がくっついてくるかが変わってきます。

剣の乙女が今後再登場するか楽しみですね。
登場するならヤンデレコース一直線でしょうか。そしてゴブリンスレイヤーがクールでカッコイイ! あくまで彼の頭の中にあるのはゴブリン退治、ただその一点それだけっていう。無論、パーティメンバーによって少しずつ彼もまた変わっています。けれど本質は何も変わっていません。変わらないからこそ彼はここまで強くなれたんだなと。

そんなゴブリンスレイヤーですが3巻は色恋沙汰で、1巻、2巻とはかなり趣の違うシナリオ展開です。けれど最後まで読んだら膝を打ちました。紛れもなくゴブリンスレイヤーでした。面白いですよー。



ゴブリンと言えば何を連想するでしょうか?
RPGにおいて、序盤を彩る雑魚モンスターとして登場することが多いのではないでしょうか。要するにプレイヤーに倒されるために用意されたヤラレ役。

かくいうウチは昔MTGを嗜んでいた時、赤速効ゴブリンデッキ、いわゆるスライにボコボコにされ、それはそれは酷い目に遭ったものです。
こっちの場が整う前にライフをゼロにするべく、命をかなぐり攻撃一辺倒で襲ってくるのです。のんびり嗜好のウチの苦手なタイプでした。

さて、この小説。ゴブリンスレイヤーは多種多彩なゴブリンが登場します。
ゴブリンは端的に例えると賢しいです。賢いではありません。『さかしい』です。
小賢しい(こざかしい)って言うでしょう? この作品のゴブリンはズル賢いのです。

ゴブリンは弱いです。
直ぐに死にます。
なりたて冒険者でも倒せます。
強いモンスターにこき使われます。
強いモンスターの攻撃の巻き添えを喰らって直ぐ死にます。

しかしズル賢いのです。
頭が決して良いわけではありません。
冒険者を罠にハメる術を知っているのです。
冒険者がどういう行動をとるのか知っているのです。
冒険者がいかに優しいのかを知っているのです。
つけ入る隙があれば直ぐに利用してきます。
優しさを見せれば後ろから狙われます。
見逃せば力を付けて逆襲します。
邪悪の一言です。

ゴブリン退治だと余裕しゃくしゃくでウキウキ気分な冒険者の身体を心を殺し、身体を殺します。経験が浅いパーティを壊します。時には経験が豊富なパーティですら壊します。たかがゴブリン、されどゴブリン。ゴブリンに始まり、ゴブリンに終わる物語です。

ゴブリンスレイヤーがゴブリンを殺す者の物語であるならば、ゴブリンは影の主役と言えるでしょう。そしてゴブリンスレイヤーを読み終えた時、きっとあなたはゴブリンに対してイメージがガラリと変わってしまうでしょう。

ゴブリンスレイヤー (GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:神奈月 昇先生
ゴブリンスレイヤー (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2016-02-25


ということで今回はゴブリンスレイヤー1巻の感想です。
先に書かせてください。

まさかポリフォニカの絵師さんだとは思いませんでした。

あとがきを読んで初めて気付きましたよ。マジで!? ってビックリしました。
世間一般的にはポリフォニカシリーズのほうが多分有名なんでしょうけど、ウチ的には魔王と踊れシリーズ(catwalk様作品)の絵師さんのイメージが強いです。バックして表紙絵を再び見た時には思わず声が出ちゃいましたよ。

ウチがAmazon kindleアプリをインストールして、初めて購入して読んだ作品がゴブリンスレイヤー1巻です。
まだ読んでいない作品も含めると、『モンスターのご主人様』や『オーバーロード』。
『この素晴らしい世界に祝福を!』シリーズなども購入しています。
いつになったら読む(読める)んだとか考えてはいけないです(汗

今から2か月くらい前でしたっけね……ちょうどセールをしていまして、PCでもスマホでも読めることを知ったので速攻で買いました。うん。電子書籍利便性凄いです。なにこれすごい。便利!

もっと早くから使うべきだった……と思っています。
スマホで小説読む利便性すこぶる良いです。
幸せな気持ちになれます。暗い部屋でもバッチリ読めますし、物理書籍と違ってリアルの場所も取らないですし。スマホの空き容量を圧迫するのはご愛敬。

ちなみにAmazon kindleアプリはスマホ版で起動する際、数百MBの空き容量、それに作品ごとにダウンロードするための空き容量が別途で必要になります。
小説は1冊10MB前後で済みますが、ページ数にもよりますが漫画は100MB前後以上は必要になると思ったほうが良いです。ウチは漫画はPC、小説はスマホで読んでいます。

前のスマホは空き容量の確保で四苦八苦していましたからね。
16GBスマホ辛いorz 16GB丸々空きかと思ったら3GBくらいしか空き容量無かったです。
作品は削除したり再インストールは何度でもできるので、容量が厳しい場合はやりくりすると良いです。

さて、ゴブリンスレイヤーはいわゆるなろうさん作品のようにweb掲載からノベル化した小説です。ただしなろうさんやカクヨムさんなどではなく、やる夫スレに掲載されたAA作品からの小説化です。
まおゆう魔王勇者と同じく、掲示板からという珍しいコースを辿った作品なんですね。

無論、そのままではなく、大幅にあれこれ変わった上で小説化しています。
ですので各キャラが何のAAをベースになっているのかがわかってしまうと脳内ボイスが捻じ曲がります。捻じ曲がりました。見るんじゃなかったと後悔していますorz
ゴブリンスレイヤーはもう少しでアニメ化しますし、そういう意味で原作を読みに行くのはお気を付けてーです。

TVアニメ『ゴブリンスレイヤー』第1弾PV

……ゴブリンスレイヤーがアニメになるという記事を見かけた時、それはそれは驚いたものです。この小説を知ることになったきっかけはコミカライズ版の凌辱シーンの画像が確かTwitterのタイムラインだった気がしますが、流れてきて気になってコミカライズ版のお試し版を読んだからですね。
今現在(2018年4月23日)でも公式サイトでコミカライズ版の1話をご覧になることができます。何も前情報を知らないで読むと絶句モノの展開でビックリするでしょう。
というかアニメになるなら避けられない、女性が凄惨(凌辱的な意味で)な目に合うシーンがいくつか出てくるのですが、どうやってアニメにするんだろうと思ってしまいます。

話を戻します。
ゴブリンスレイヤーは何名かから見た世界が描かれた作品です。
一人称視点ではなく三人称視点です。ですので各キャラがどういう心理なのか描かれていますが、神の視点で描かれるので、深い部分は読者に委ねられた形式となります。

最初は女神官からの視点で物語は始まります。
ネームドキャラはいません。役職・職業の名前で各キャラは作品の中で立ち回ります。

ゴブリンスレイヤーはゴブリン退治をし続けた結果、そして彼自身がゴブリンスレイヤーと名乗っていますが本名ではありません。
畏怖と敬意を込め、彼はゴブリンスレイヤーと呼ばれます。固有名詞があるだけに名前で呼ばれます。女神官からさん付けで呼ばれます。「ゴブリンスレイヤーさん!」

名前を呼び合わないのに、誰が誰のことを呼んでいるのかわかる文章になっています。
文章に遊びやギャグはありません。和むことはあれど、終始重い物語です。
特に女性キャラに対して容赦が無いです。

ゴブリンは女性を犯します。
快楽のためだけではなく、ゴブリンたちの繁殖のために犯します。
ネズミ算式に増えていくので、直ぐに根を絶たないと辺境の村は滅ぼされてしまいます。

ただそういうシーンを目当てで小説を読むのはお勧めしません。
コミカライズ版は描写が描かれていますが、小説版は直接的な表現は極力避け、濁されていますので。濁されてなかったらR18ノベルになっているんじゃって思ってしまいます。
ですので小説を読んだだけならアニメ化できるだろうと思いました。
思いましたけど、それでもどうやって濁したり隠したりするのか、限界があるので怖いんですが……。

女神官はギルドで出会った者同士で初心者同士でパーティを組み、クエストに挑み、ゴブリンによって壊滅状態に追い込まれます。
女神官以外のバックボーンが描かれるので、三人が摘まれていくのは中々胸が痛いです。
何も情報を知らないまま読み進めていくと、レギュラーメンバーだと思っていたキャラが一人ずつ退場しますからね。退場といっても少年剣士以外の少女二名は……何も言いますまい。
兎に角、ゴブリンによって思考を誘導され、経験の浅さがそのまま仇になってパーティが壊滅します。

そこに現れたのがゴブリンスレイヤーです。
ゴブリンスレイヤーはいわゆるチートキャラではありません。
ゴブリンを絶滅させるためだけに研鑚を重ね、ゴブリンの思考を読み、ゴブリンの先を行く戦士です。魔法も使えず、ただただ膂力と暴力で駆逐します。
脳筋ではありません。使えるものは何でも利用します。使えなくなったものはあっさり捨てます。価値のあるものを残さず使う決断力があります。貧乏性と真逆です。
武器が無ければゴブリンの武器を使います。利用します。奪います。
この手を替え品を替えが心地良い。殺意と憎悪が如実に伝わってきますからね。

ゴブリンスレイヤーと助けられた女神官を主軸に物語は展開します。
この世界の呪文(魔法)は回数制です。MPの許す限り使えるのではなく、根本的に呪文の使用回数が決まっています。しかも四捨五入すると切り捨てられる1~3、4が当たり前のスーパーハードモードです。WizardryやFF1の序盤を想像すると良いでしょう。
冒険は短いものもあれば長いものもあります。少ない呪文回数をどのタイミングでどのように使うのか、非常に見応えがあります。

例えば防御結界を張る聖壁(プロテクション)という呪文が登場します。
通常は味方に張ることで敵の攻撃を軽減するための、文字通りの聖なる防御壁です。
ところがこの呪文を敵を閉じ込めるための隔離装置として使うことを思いつくのがゴブリンスレイヤーです。閉じ込める前に火を放つと……あとはわかりますね。

どうやってゴブリンを殲滅していくのか、非常に見応えがありますよ……。
必殺仕事人シリーズとはちょっと違いますけど、戦闘が華というか、見惚れさせられるというか。

ゴブリンスレイヤー1巻は非常に読み易い構成になっています。
オムニバスが四編収録された物語、と見立てることができます。
いずれも読み応えがあり、それぞれ異なる味があります。そしてアニメになった際、エピソード毎に分かれるだろうことが容易に予想できるので、アニメ構成し易いだろうなと思いました。

途中からレギュラーメンバー入りする、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶の三人もそれぞれ良い味が出ています。特に妖精弓手。
アグレッシブな女の子は良いですね。しかもエルフですよエルフ。きゃぴきゃぴ(死語)しているのに一番歳上です。現実換算とエルフの歳の重ね方を同一視してはいけないんですけど、いやー素晴らしいです。

死力を尽くす戦いは心が躍るものです。
『勝てそう』ではなく、『勝てない』と思ってしまうような戦いはより心が躍ります。
上述のとおり呪文のリソース管理がとても厳しいこの作品で死力を尽くす戦闘場面は、それはそれは先が気になる戦いになります。

対オーガ戦は震えましたね……。何に震えたってそれまで常勝不敗のイメージが縫い付けられた(ウチの心に)ゴブリンスレイヤーが簡単にボコボコにされてしまうのですから。

結果的に勝ちました。
けれど同時にゴブリンスレイヤーは決して強くないのだと、上から三番目の銀等級であっても特別スキルに恵まれているわけではないと思い知らされました。
徹頭徹尾、最初から最後まで重厚なお話なのです。
90年代のファンタジーノベルが好きな人ならば、これは現代に現れた90年代ファンタジーノベルだと太鼓判を持ってお勧めできます。
良いですよ……神奈月昇先生の可愛らしいイラストから入ると蝸牛くも先生のスーパーハードなシナリオに打ちのめされます。

救いがあっても救いが無いです。
誰にとっての? ゴブリンスレイヤーにとっての、です。
そもそもゴブリンスレイヤーは何故、ゴブリンを憎み、殺し、殺し尽くすのでしょうか。
この物語は冒険譚ですけど、同時にこの物語は復讐劇です。ゴブリンという復讐対象に憎悪する、ゴブリンスレイヤーという一人の男性の復讐劇です。
姉を奪われ、故郷を奪われ、彼には何も残らなかった、全てが空っぽになった。
空虚な心に宿るは復讐心。しかし彼は秀でた力がありません。
ならば努力するしかないです。死ぬほど努力し、努力し、努力し尽くす。
それでも彼は恵まれた才能は持っていません。ならば知を持って制すしかないです。
ゴブリンの生態を識り、ゴブリンを理解し、ゴブリンを殺し尽くす。

作中の文章にも登場しますが、ゴブリンにとってのゴブリンがゴブリンスレイヤーなのです。奪い、奪い、奪い尽くす。ゴブリンの子供にも容赦しません。情は一切与えません。情を与えた結果どうなるかは作中のとおり。そりゃそうですよね。ゴブリンにだって心があるんですから。それが善い心か悪い心かは別にして。

禍根を全て断つため、彼はひたすらゴブリンを殺し尽くします。この物語が最後どのような幕を閉じるかわかりません。めでたしめでたしとは行かないでしょうね……辛い。

ヒロイン勢は魅力的なキャラが揃っています。
女神官、牛飼娘、受付嬢、そして妖精弓手。
全員に共通しているのは、物語を通じて確実に成長していること。
肉体的な成長ではありません。心の成長です。
特に女神官の成長っぷりは凄いものです。2巻、3巻と巻数を重ねるごとに、ゴブリンスレイヤーの人となりを知り、彼の考えがわかり、彼の考えを代弁できるようになっていくのですから。

ゴブリンスレイヤーはひたすら寡黙です。遊びがありません。けれど話が通じないタイプではないです。聞いた上で遊びの無い最低限の応対しか取ってくれません。答える必要が無いと判断した場合は黙します。
長く一緒に過ごさない限り、彼の心を読むのは難しいでしょう。そんな彼を理解し、ともに冒険していく女神官は眩しいですね……。

神官、いわゆるヒーラーといえばパーティを後方から支える重要なポジションです。
傷ついた味方を回復し、パーティの防御力を向上し、冒険を支援する大事な役割です。とても攻撃向きとは行かないポジションです。
しかしゴブリンスレイヤーの指南が入ると話は別です。
聖壁(プロテクション)は敵を閉じ込める壁となり、辺りを光で照らす聖光(ホーリーライト)はフラッシュグレネードのように敵の眼を焼く必殺呪文と化します。

えげつないと思いました。やることなすこと容赦なさ過ぎてドン引きです。
正面突破の王道とは程遠い戦術です。
でもズルいなんて言ってはいけません。ゴブリンもまたズルく、敵の裏の裏を掻かなければ数で押してくるゴブリンを殺すことはできないのですから。

1巻は大きく分けて4つの冒険が描かれています。
2巻は大きく異なり、長いひとつの冒険が描かれます。
1巻が気に入ったのであれば2巻は飛躍的に気に入る構成になっていると言えるでしょう。
燃えましたよ……主軸はゴブリン退治ですけど、TRPG要素が多いだけあって、ピンチの描かれ方が上手いんですよね。冒険している感が高いんですよね。没入感が凄いんですよ。

妖精弓手は本編でもこう心情描写が挿入されています。

 ――私にとって、冒険は楽しい物だもの。
 こんなのは、冒険ではない。

と。
そういう意味で1巻の遺跡探索場面はボスのオーガとのバトルも含めて大好きです。
2巻の大冒険はもっと大好きです。超傑作だと思います。
3巻はどちらかというとシティアドベンチャーが主軸なのであまり好きじゃないです。もっと別の方面では好きなんですけど、やっぱしこう2巻(冒険的に)が良すぎた反動というか、これはこれで好きだけど、求めているものは違うんだー的な。

ゴブリンスレイヤーは凄惨な描写に耐性があれば太鼓判を持ってお勧めできます。
遊びが無いのでギャグテイストを求めるのであればもっと別の作品を読むと良いかと思います。
徹頭徹尾、終始に渡って重く、暗く、そして硬派なダークファンタジーです。
是非とも興味を持った方は1巻だけでも読んで、ゴブリンスレイヤーという世界にハマると良いです。
コミカライズ版もお勧めできますけど、個人的にはノベル版がお勧めですね。読み応えもありますし細かい心理描写、情景描写、そして裏側が描かれますからね。

ってことでゴブリンスレイヤー1巻の感想でした。
時間が経てば再び読み直したくなる小説ですね。スレイヤーズや魔術師オーフェンなどが大好きだったウチにドンピシャな小説ですよこれは……いやホント凄かったです。


3巻です。
立ち位置的に見ると、3巻はプロローグのエピローグ。ひとつの物語の終幕が描かれています。ひとつの物語が終わり、4巻から新たな物語が幕を開けます。

基本的にウチはamazonさんで物理小説も電子小説も買っているのですが、3巻はレビューが大荒れ状態でした。嫌な予感がしました。

異世界迷宮の最深部を目指そう 3 (オーバーラップ文庫)
著:割内タリサ先生
イラスト:鵜飼沙樹先生
コインに表と裏があるように、人の心も光と闇があります。
人の光が見えるのが二巻ならば、人の闇が見えるのが三巻です。
絶望という光と希望という闇がグチャグチャになって、登場人物ほぼ全員が表舞台にあがり、全員思惑と自らの心に従って行動を起こしていく英雄譚です。

2巻の終盤でハインさんからラスティアラに致命的な状況が訪れることがカナミ君に伝えられます。カナミ君の目的は元の世界に帰ること……というのは表層部分。けれど目的はそれだけで十分なのです。そのために彼は全てを犠牲にして進めてきました。

カナミ君には謎のスキル、【???】が備わっています。何故発動するのか、どういうプロセスなのかはまだすべての部分が明らかになったわけではありませんが、【???】を習得していたが故にあらゆる可能性が潰えていたことが明らかになります。

【???】は時限爆弾です。しかもただの時限爆弾ではありません。何度でも条件が満たされれば大爆発する、カナミ君が死ぬまで追いかけ続ける心を殺す爆弾です。まるで心にのみ作用するシアーハートアタックです。なにそれこわい。

【???】の副作用が大爆発するシーンは震えましたね。キャパを越えるとどうなるかずっと気になっていたんですけど、こう来るか、こうなるかと。いや死ぬでしょ。人という器のキャパを越えているでしょ。人という心がもたないでしょ。

この小説は過去編やインタールードにならない限り、カナミ君の主観に基づいて話が展開されていきます。では他の人物が何を考えているかというのは、そのキャラに移らない限りわからないです。

ラスティアラも、マリアも、ハインさんも、パリンクロン、そしてアルティも思惑があります。五者五様、それぞれが自分のベストを目指すわけです。

・どうしてラスティアラはカナミ君に気をかけたのか
・どうしてマリアはカナミ君を好きになったのか。どうしてラスティアラに嫉妬するのか
・どうしてハインさんは天上の七騎士を裏切ってまでラスティアラを救おうとするのか
・どうしてパリンクロンはハインに協力するのか
・どうしてアルティはマリアに魔法を教えたのか。どうしてマリアを助けるのか

100%ではありませんが大半の問題に対し、答えが示されるのが三巻です。
全てが上手く行き、全てが上手く失敗しました。酷いバッドエンドだ……。

ディアは一巻の時点で救われ、どちらかというと縁の下からサポートする立ち位置になるのでそういう意味では不遇なことになっています。けれどディアの演説は凄かったです。一巻のディアを知っていると三巻のディアはとても頼もしく見えましたし。

登場人物全員が表舞台で足掻き、足掻き、足掻き続ける。
その先に待ち受けていたのは、めでたしめでたしの第二部へのパスポート……ではなく、全てが壊れる片道切符でした。
この作者さん上げて落とすの上手いですね。パリンクロンが途中で一時退場したので肩透かしだったのかと思ったらあの展開ですよ……。

ラスティアラがどうしてちぐはぐな行動を取ったり空気読めなかったり変に優しかったり全ての行動に裏打ちが行われるのが三巻の前半戦。ラスティアラという少女がいかに創られ、精一杯生きた物語。
前半戦でラスティアラのキャラが描かれていたんですけど、後半まで読み終えるとマリアに塗り潰されて思ったほど印象に残らなくなってしまいました。それだけマリアの物語が鮮烈だった、ということになるんですが……。

二巻はラスティアラが表紙絵でした。
三巻はマリアが表紙絵です。ラスティアラを救うのが本筋なのに、どうしてマリアが表紙絵なんだろうと三巻の序盤を読んだ時点では首を傾げました。

……紛うことなきマリアの物語ですね。
恋は炎のようにーなんて言いますけど、物理的に焦がす恋の炎というか……。
アルティにはすっかり騙されました。知っているのか雷電ポジションになると思ったら、そう来るか、そう来るかっ!! ですよ。

「――ようこそ、探索者ジーク。ここが、こここそが十層。火の理を盗むものアルティの階層だ。(以下省略)」

痺れましたね。
そうか、そういうことか、そういうことだったのかと。
なんで家燃えているんだよ。なんでマリアが洗脳に近そうな状態になっているんだよ。
なんでマリアがって疑問符全てに終止符打たれて膝を打ちましたね。

そしてカナミ君自身にも何か秘密があるのが示唆されましたね。露骨に詠唱も魔法の名前も似すぎているんですよ。似すぎているってことはカナミ君にも何か秘密があるからこそ今に至る、至れなかったってことですよね。
炎に対する氷。氷に対する炎。怒涛の勢いで盛り上がっていくカナミ君VSアルティ&マリア戦は燃えました。心が躍りますね。
上げて上げてラスティアラ救出に巻の半分費やされ、後半は脱出戦だと思っていたのでこれは燃えますね。それまでが上手く行き過ぎていたが故に燃えざるを得ないですよね。

マリアも自分の全てを賭けてカナミ君に挑んできます。
まさかマリアがカナミ君と戦うことになるとは思わないですよ……何かあるだろうなとは思いましたよ。けれどよりによってカナミ君と戦うとは思わないですよ。ラスティアラと戦うことになるんだろうなー程度でしたよ。

互いに死力を尽くした結果、最後はカナミ君が勝ちます……と言いたいところですが、マリアの勝ちですよね。結局。カナミ君の口から真実の言葉を引き出すことに成功したのですから。終わってみればマリアの一人勝ち。マリアの想いが全てを塗り替えたのです。

……しかしまさかマリアがあんなことになるとは。
四巻以降どうするのって思っちゃいますね。火で探知できるからって、自分自身を失うようなものでしょあれは。けれどスキルに頼っていたからこそ、本質を見極められなかったというのは皮肉ですよね。それもパリンクロンによって教えられるとは……。

炎によって過去を忘却していったマリア。
全てが虚飾の鎧で覆い、全てを隠してきたカナミ君。

4巻の冒頭を読むと、嗚呼……二人とも同じ道を歩んでいるんだなって思ってしまいますね。過去に囚われ、今に捕らわれ、未来を偽る。
誰も悪くない。ただ、何もかもが上手く行かなかった……悲劇ですね。

それも二人がようやく気持ちを分かち合った直後で全てが破綻する悲劇。
パリンクロン貴様あああああっ!!! て思っちゃいますね。いやーすべてを仕組んでいたのはハインさんみたいなものですけど、全てを操っていたのはパリンクロンですよね。

まさかハインさん死ぬとは思いませんでしたよ。
死んだという事実だけに留まると思ったら、致命的な事実を突きつけられるんですからうぎゃーってなっちゃいますよ。
ハインさんの気持ちわかるんですよね。誰だって心があるんですから、自分の身の裁量をわかっているんですから、適者生存、カナミ君に託したいって思っちゃうでしょ。なれなかった自分を託したくなるでしょ。
上手くいった。上手く行き過ぎた。ただ、パリンクロンというイレギュラーが少し方向をずらしてしまった。その結果、全てがピタゴラスイッチのように崩壊してしまった。

ただハインさんから見ればあんまりな展開……とはならないでしょうね。
何故ならラスティアラを救出するという目的そのものは果たされてしまったから。
少なくともラスティアラが材料に使われることは、最低でも当面は防がれたでしょう。

ハインさんは結果的に亡くなりましたけど、目的は果たされたのです。悲劇で終わっても最悪は防げたのです。ベストである『カナミ君とラスティアラが』逃げおおせる展開にはなりませんでしたし、肝心のラスティアラが救われきれていないのがなんとも後味が悪いんですが……。

3巻まではジークフリード・ヴィジターの物語。偽りの英雄譚。
4巻からはアイカワカナミ君の物語。偽りの英雄譚。
4巻の冒頭を読みましたけどガラッと変わっていてビックリですね。
そりゃ3巻のラストであんなことになってしまうので、そりゃえげつない展開になっているだろうと思ったら思ったよりもずっと平和なプロローグで地に足付かないふわふわっとした気分です。

ってことで端折りましたが3巻の感想でした。
4巻の感想を書くのは少し時間が空きます。空くのを利用してこの一カ月で読んだ他のラノベの感想記事もアップしていきます。
とりあえず予定しているのはゴブリンスレイヤーと魔法少女育成計画です。おたのしみにー

3巻を読み終えてから2巻の感想記事を書く体たらくをお許しください。
何をお許しくださいって同一視の感覚で感想を書くことができないからです。
いやー……3巻は凄い。凄い。凄いですよ。高揚とした気持ちが、SAN値ガリガリ削られて心臓麻痺起こしそうです。

さて、今回は異世界迷宮の最深部を目指そう 2の感想を書いていきます。
前回の記事もそうですけど、あっちと違ってこっちは思ったことをまとめないでそのまま殴り書きの形式で書いていきます。そのほうがどういう感情で読んでいたのかーというのが伝わり易いかなと思いまして。

異世界迷宮の最深部を目指そう 2 (オーバーラップ文庫)
著:割内タリサ先生
イラスト:鵜飼沙樹先生



2巻は1巻以上に目まぐるしく状況が刻一刻と変化していく、起承転結でいう承と転に比重が置かれた形式……だと思います。
特にパーティメンバーがどんどん入れ替わっていきます。
アルティがメインヒロインだと思ったらそんなことは無かったです。ちなみに表紙絵、マリアじゃなくてラスティアラなんですね。3巻の表紙絵がマリア。3巻を読み終えるとマリアが3巻の表紙絵で納得の一言です。
いや、アルティも良いキャラしているのですよ。1巻のボスポジションのティーダもそうですけど、盤上を搔き乱していくんですね。

そんな中で登場したのがパリンクロン。
2巻を読んだ時点ですら怪しさ満載、背中を刺してくる言峰綺麗ポジになるだろこの人みたいな感じで読んでいたら……いやー凄いですね。
底が見えないのに妙に人間くさいのです。
嘘は付いていない。けれど本当のことも言っていない。
その上で思考を誘導し、盤上を整えて自分が動き易くする。
アレですね。将棋やチェスが強いタイプですよこの人。

けれどパリンクロンがいたからこそマリアが救われたのもまた事実。あのまま奴隷コース一直線に比べれば、少なくとも2巻の時点では陽だまりのような幸福に包まれていったんでしょうね。3巻読むと物凄く辛い気持ちになるんですが……。

3巻まで読むと致命的に嘘を付き続けていたのは結局カナミ君だけなんですよね。
ラスティアラもディアもマリアもアルティも部分的に嘘を付いていますが、虚飾の鎧で全身を覆っていたのはカナミ君だけなのです。
優しい嘘。けれどその優しい嘘が心を殺すのです。
悪気は無い。だから許されるのか……そんなことはないでしょう。
カナミ君がマリアに優しさを見せたように、ラスティアラがマリアに優しさを見せたように。優しさが人を、心を殺すのです。善意という悪意が、人の感情を殺すのです。
その上でカナミ君は止まらない。止まれない。止まるわけにはいかないっていう。何故なら彼は元の世界に帰りたいだけなのだから。ただただ帰りたいだけなのだから。

2巻は大半が冒険活劇のシーンと冒険譚として読み応えがあります。
全百層の大迷宮ですが、数合わせ的な層がいっぱいあるのではなく、二十層以降は人間が辿り着いた限界が直ぐ傍にあるってことで、一層一層が重く、そして険しいです。
常識的に考えれば二十三層二十四層は死ぬでしょ。脱水症状起こすでしょ。人との相性最悪でしょう。
カナミ君が氷属性魔法を少しずつ習得し、ああこれで進んでいくんだなと思ったら別口から攻略の糸口が見つかる。盛り上がっちゃいますよね。

直球がダメなら変化球で勝負しろ。
変化球とは何か。
炎には氷を――ではなく、炎には炎を。炎に強い術者はそのまま炎を殺すこともできる。
道理ですよね。しかもアルティという炎のエキスパートがいて、炎の魔法が使えるマリアがいるんですから。
とんとん拍子に上手く行き過ぎている。行き過ぎていた……というべきでしょうかね。3巻読むとメインの登場人物が裏で何考えていたのか全て明らかになるんですけど、表しかわからない2巻は苦しんで足掻いても先へ先へ進もうと研鑚を積んでレベルを上げる過程にしか見えないっていう。

ハインさんも含めた天上の七騎士もそう。
RPG的に考えるなら定期的に出てくるボスポジションに見えるわけですよ。
迷宮は十層ごとにボスの立ち位置の守護者が出てくる、という手筈になっていますが、一巻の時点で十層もニ十層も攻略したことになっているんですよね。
じゃあ三十層に辿り着くまでボス戦に該当する戦いは無いのか? 
そんなことはない、そのための天上の七騎士戦なのかって思ってしまいました。

しかしこれも三巻を読むとやはり覆ってしまいます。
コインの表と裏のように、二巻と三巻は光と闇。人の心が見せる光と闇の構成になっています。二巻の終盤になって、ようやく裏が見え始めた――というところで三巻に続く、ですからね。生殺しも良いところですよ。そりゃ三巻も読んじゃうわなと。そして三巻を読んで絶望の谷底に突き落とされるんですが……。

好きなシーンは聖誕祭の前祭のシーンです。
お祭りは良いですよね。心が躍ります。地元の遠い神社も毎年お祭りをしていますが、ソロで行っても友達と一緒に行っても楽しいです。場の空気で当てられちゃうっていう意味ではライブと近いんじゃないでしょうかね。ライブも音楽の祭りと言えると思いますし。疲弊した心を癒して年相応の青少年のカナミ君を見られたのは貴重です。ムキになって対抗するの御馳走様でした。良いものが見れました。

特に好きなキャラは男性側はパリンクロン、ヒロインはマリアです。
どうしてマリアが好きなのかって理由は省きます。まー普段からウチのツイッター見てる人なら嫌でもわかるでしょ。ハイ。
パリンクロンもそうですけど、場を搔き乱して底を見せないトリックスターポジションのキャラは大好きです。大好きですけどリアルではお友達にはなりたくないです。いつ裏切られるかって猜疑心に襲われることになりますからね。
結局三巻の時点でパリンクロンに色々思惑があったことそのものはわかりますが、その先に何を狙っているのかは全然明かされていません。
先に進めば明かされるのでしょうけど、その時にまた今までの行動がひっくり返るんじゃないかって思うと恐怖と楽しさが同居したような気持ちになっちゃいますね。

あとフランリューレが結局一番重くないサブヒロイン(?)ポジだったってのはびっくりですね。よく見かけるタイプのキャラですけど、だからこそ異常が普通に見えて普通が異常に見え、一周まわって「あれ? 普通だ」って思ってしまうっていう。
フランリューレたちもまた再登場して欲しいですね。三巻まで読むとひたすらしんどい。オアシスが欲しくなってしまいますから。

というわけで端折りましたが、異世界迷宮の最深部を目指そう 2の感想でした。
異世界迷宮の最深部を目指そう 3の感想も書き次第すぐにアップします。今度は4巻を読み終えるずっと前に記事を書く筈なので、3巻を読んだ時そのままの気持ちで書いていけると思います。

初めましての方は初めまして、ツイッターやニコニコで絡みのある方、いつもお世話になっております。
ツイッターじゃいけしゃあしゃあと思ったことをそのまま書いていますが、こっちでも相変わらずで進めさせていただきます。

最初となる今回は、異世界迷宮の最深部を目指そうの第一巻の感想を書いていきます。
なお、この感想記事を書いている時点で三巻の中盤の頭くらいまで読んでいます。
純粋な一巻の感想記事にはならないです。ご容赦ください。
殴り書きに近い感想になっています。見辛かったらごめんなさいです。

異世界迷宮の最深部を目指そう 1 (オーバーラップ文庫)
著:割内タリサ先生
イラスト:鵜飼沙樹先生

かなり前のお話になるのですが、web版の最初のほうを読んだ記憶があります。
なろうさんの小説で、確か当時『異世界』でワード検索かけて上位に来てーといった経緯で確か見た……と思います。他の小説だと『異世界迷宮で奴隷ハーレムを』、なども読んでいましたね。

何年も間が空いたので内容をすっかり忘れていました。辛うじて覚えていたのは冒頭のくだりですね。それ以降はほぼまっさらな記憶と化していたので新鮮な気持ちで読書できました。

さて、いわゆる異世界転生系というジャンルのラノベ……だと思います。
思いますというのは、三巻の途中まで読んでいる時点で、主人公のカナミ君は死んで転生したのか生きたまま異世界に移ってしまったのかわからないからです。
ジャンル的に異世界転生で正しいのか怪しいですが、説明するとわかりやすいのでコレでいきます。

この小説の面白い所はいくつもあるのですが、まず主人公君であるカナミ君が首尾一貫異世界を満喫するのではなく、元の世界に帰ることを第一目的としていることですね。
主観ですが異世界を満喫して元の世界に帰るのは二番目三番目の目的になっている、というケースは結構あると思うのです。その中でブレることなく帰るために強くなり、迷宮の最深部を目指していく……というのは面白いです。

例えると世界樹の迷宮やWizardryに近しいですよね。一巻の前半からしてそうですけど、死ぬほど苦労して文字通り死にかけて、普通なら心が折れてそれなりに幸せな余生を過ごして異世界ライフしていくところを、ひたすら潜って潜って最深部で叶うだろう奇跡を目指しているっていう。しかもディアと出会うまではほぼソロパーティですからね。カナミ君はとても心の根が強い人だと思います。

Wizardryの序盤がまさにこのタイプなんですけど、一番死に易いのは最序盤なのです。お金に困り、寝床に困り、装備に困り、回復に困る。お金の切れ目が縁の切れ目、世界の切れ目です。異世界だろうと世知辛い現実です。辛い。

命からがら迷宮を脱出し、縁と運でラスティアラ御一行と出会い、最初のピンチを切り抜けるまでは人生ハードモードでもう見ていてワクワクしましたね。いわゆるチートスキルだろうパラメータ表示があって、少ないリソースを駆使して頑張って、やっとですよやっと。Wizardryプレイしてパーティが半壊して地上に戻るのが大変だったのを思い出しちゃいますね。命あっての物種なのです。

三巻まで読むとラスティアラのイメージが急変するんですが、一巻を読んでいる段階だとラスティアラが不思議ちゃん過ぎて物凄く困惑したのを覚えています。
とりあえずカナミ君の本名がバレているという時点でラスティアラが普通の人じゃないことは明らかですが、三巻まで読むと最初から全て始まっていたんだなぁとしみじみです。
最初に出てきたまともなネームド女性キャラだったので、てっきり(一巻の)メインヒロインがラスティアラだと思っちゃいましたですね。

余談ですがweb版と書籍版、カナミ君が名乗る偽名がそれぞれ異なります。
どうしてweb版のままにしなかったんだろーと思って一巻を読んだあとでweb版も読みました。……これはそのまま書籍化できないだろうなって思いました。宗教関係は怖いですからね……どちらかというと日本というこの国が特別平穏なだけでトラブルの温床は防ぐに限るのです。

一巻のメインヒロインはディアですが、リィンさんも結構キャラ立っていると思います。というかリィンさんの画像欲しかったですorz。クロウさんも含め、酒場のキャラはみんなキャラが立っていて情景を思い浮かべ易かったです。
Wizardryや世界樹の迷宮と違ってひたすら迷宮に潜るのではなく、迷宮の外で活動してしっかり準備をする――とても良いことだと思います。

ましてやほぼソロパーティのカナミ君ですから、情報集めは大事です。生命線といっても過言ではないでしょう。情報を集めるために酒場でバイトするのは、見方を変えると世界樹の迷宮Ⅲ以降の世界樹の迷宮シリーズの情報収集に近しいと思いますので、雰囲気良いなぁって思っちゃいますよね。カナミ君は成長度がとても高いですけど、最初は最初、上がるまでの最初は弱い。とても弱いのです。

ディアと出会って以降はとんとん拍子に進みます。
というよりもラスティアラがレベル上げを『してくれた』からですよね。カナミ君の成長度の高さがそのままレベルアップに反映された形となり、1と4、たった3ですけど絶対的な3の違いで一気に強くなるっていう。

Wizardryだと最序盤はレベルを上げて呪文の使用回数が安定するまではあまり進まないほうがベターです。玄室荒らして何度も敵を殲滅し、拠点とダンジョンを行ったり来たりしてレベリングを行い、お金を稼ぎ、装備やアイテムを整えるのです。

カナミ君もやっていることの本質は同じ。ディアとパーティを組んだあとはレベリングを行い、パーティが安定できるように地を固めます。バイトのくだりもそうですけど堅実、慎重、次に繋がるようにスキルや次元魔法に頼れど最善を尽くして決して無理をしないプレイングでどちらかというと地味に感じました。
でもこの地味さが大事なんですよね。いわゆるチートスキルを持っているからって無敵じゃないですし、怪我もします。怪我をしない、痛い目に合わないためにはどうすればいいかって基本中の基本ですよね。

ディアは女の子ですが口調は男の子です。
キャラ的にマギアレコードの深月フェルシアが近いんじゃないでしょうかね。
どうして身分を偽り、名前も偽り(本名の一部は一部だけど)、本来できることをしないで別の道で進もうとしているのか。こりゃ性格壊れるわと思いました。

ディアに限らずラスティアラもマリアもそうですけど、本質的に本当の自分を見て欲しいという共通項があると言えます。本質的な自分を見てくれたからカナミ君を信用し、徐々に惹かれていく……道理ですよね。
表層ではなく内面を見て欲しいなんて誰しもが思うことです。その上で本当の自分を認めて欲しい、本当の自分を受け入れて欲しいって願わずにはいられません。

やられたらやり返す、わざわざトラブルふっかけてどうすんのって思いましたけど予想に反して相手方が一歩奥まで踏み込んでしまったので溜飲がくだりました。中途半端ってあんまし好きじゃないんですよね。あとで尾ひれついて良くない展開になるだろーって思っちゃうので、禍根は断つほうが見ている側はスッキリするものです。

とんとん拍子に進んで一巻どのようなラストになるんだろーと思ったらフラグありましたけどボス戦がちゃんとあって、それまでサクサクプレイだったカナミ君たちが十分苦戦する展開になって読み応えがありましたです。
その過程でディアがあんなことになって内心ギャアアって気持ちでしたけど、勝った時の盛り上がりはひとしおですね。オーバーキルでサクサク勝っても読んでて気持ちよくないので、ギリギリの勝利は観ていて楽しいです。

ディアが入院コース、アルティがパーティインで「あれ? アルティヒロインポジだったの!?」といったところで二巻に続くってことで、一巻で綺麗に終わらなかったのは面白いと思いますし珍しいなと思いました。普通ラノベって一巻の売れ行き次第で二巻目以降が決まると思うので、一巻って綺麗に終わると思うんですね。そんな予想が覆ったのでそりゃ二巻が気になっちゃうよねっていう。

気になるといえばカナミ君の固有スキル、【???】はもっと気になっちゃいますね。
いくつかの感情を犠牲にしてってろくなことないのは明白なのに助けられています。
その上で溜まり過ぎたらどうなるんだろって部分は十中八九何かが起こるのが示唆されているので、どこかのタイミングで決壊するのも明白ですね。
問題はそれがどのタイミングで訪れるのか予想できないので、時限爆弾をずっと抱えたまま突っ走っているに近い感じです。二巻を読むと各ヒロイン何かしら問題抱えているのでこっちも時限爆弾持ち。表は安定しているけど裏が全く安定していない。不安定な橋渡しがずっと続いているっていう。怖いですね。楽しいですね。先が気になっちゃいますね。

ということでかなり端折りましたけど異世界迷宮の最深部を目指そう 1の感想でした。
異世界迷宮の最深部を目指そう 2の感想も感想を書き次第すぐにアップしますね。

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