電子の海文字の海

購入したラノベの感想を書いていきます。
主観全開、ゆるふわ感想記事になります。
主にamazon kindleさんで購入した電子書籍が対象ですが、
買えなかった場合は物理書籍の感想も書いていきます。

2018年05月

モンスター娘のヒロインとキャッキャウフフする思考放棄型ラブコメ小説を期待すると盛大に大火傷します。1巻の感想でも似たようなことを書きましたけど、2巻はもっと顕著です。

面白い小説なんですけど、面白さの種類が違います。
人物描写に物凄く重点が置かれた丁寧な小説なのです。

PV動画、あれじゃ絶対に勘違いするでしょ(滝汗

表紙絵




モンスターのご主人様 : 2 (モンスター文庫)
著:日暮眠都先生
イラスト:ナポ先生
今回はモンスターのご主人様の2巻の感想記事です。
ネタバレだらけですので要注意です。

まず軽く1巻のおさらい。
高校の人間が丸ごと異世界転移(転生ではないです。転移で確定)しました。
飛ばされた先はモンスターが跋扈する森の中。
チートスキルに目覚める者、目覚めない者に分かれ、主人公である真島孝弘君は後者に。
やがて精神が摩耗し、疲弊し、人間が人間を襲うエグい展開に。
孝弘君はボコボコにされ、強い力を持つ者が力に溺れるとどうなるかの結果を見てしまった結果、人間不信に陥ります。トラウマと化してしまいます。
コロニー崩壊に巻き込まれた孝弘君はモンスターテイムに目覚め、ミミックスライムのリリィ、マジカルパペットのローズを仲間にします。
リリィは水島美穂の死体を捕食し、水島美穂の記憶とスキルと身体情報を獲得して擬態します。
なんやかんやあって加藤真菜を救出し、森から脱出するべく森の中をさ迷います。
その途中、クラスメイトである加賀君と再会しますが加賀君ご乱心。最初から孝弘君を襲う気満々なのでした。
加賀君を返り討ちにし、加賀君から得た情報、加藤さんが持っていた情報を汲み合わせ、どこを目指すのか進路を決め、改めて森を脱出しようと歩を進めます。

ところが白いアラクネの少女に襲われ、孝弘君が攫われます。
孝弘君を攫ったのはモンスターテイムと眷属モンスターの関係。そしてアラクネの少女は孝弘君を独占すべく、その他の全てを排斥します。
加藤さんはリリィとローズを説き伏せ、そして三人で協力して孝弘君をアラクネの少女から奪い返すのに成功します。アラクネの少女はリリィとローズに感化され、自分がどういう過ちを犯していたのか思い知り、崩れ落ちるのでした。


細かいところは端折っていますが、ざっとこんなところだと思います。
2巻の感想を書いていく前に1巻では得られなかった情報が出てきたので修正します。

まずコロニーの小屋。
実は建てたのは異世界転移組ではないことが明らかになりました。マジかよ。
じゃあ誰が建てたのかというと、3巻の冒頭で明らかになりますが異世界に住む人間の手によって、です。ちゃんと異世界にも人間がいました。万々歳です。
ちなみにモンスターが小屋に寄ってこない結界の役割を果たすギミックを仕掛けたのも異世界の人間だと明らかになります。
どうして異世界の人々が森の中に小屋を建てていたなどの理由は3巻で明らかに。
それらについては次回感想記事にて書いていきますね。

そして異世界に転移した孝弘君が通っていた高校の人間の人数。
大雑把な上にこれまた3巻の冒頭で明らかになるのですが、1000人以上で確定です
……高校ひとつでしょ? そんなに人数多いのが普通なんです……?

(ウチの通っていた高校だと1学年6クラス×3学年。1クラス約40人だから40×6×3=約720人くらい(留年、退学を考慮しないで)。教員も含めるとプラス40人くらいで760人ってところでしょうかね。よっておおよそあと1学年3クラスくらいあればクリアできますね。ってことで軽く調べたら大きい高校だと1学年10クラス以上のケースもあるようで。なるほどー……という気持ちに)

参考までに2012年度らしいですがグラフにしてくださっているサイトがあったので紹介。


諸々脱線しましたけどこれらの前提の上で感想を書いていきます。

まず、『後始末』。
白いアラクネの少女が三人目の眷属として仲間になります。
孝弘君の花の名前を名付けるアイデアはどうやら見切り発車だったようで、速攻で花の名前ネタが枯渇。マリーゴールド、パンジー、サクラ、ヒマワリ、デイジー、すみれ、ダリアなど色々あるでしょ? とウチは盛大に脳内ツッコミしました。
でもこれはある程度サブカルに強いから直ぐに思いつくことであり、オタク気質でない孝弘君には酷な話です。
さらに極限状況ですし、生存に情報が回っていれば、余力のあるリソースを全てそこに回すでしょうから回らなかったんでしょうね。文字通り頭が。

危うくチューリップと名付けられるところを加藤さんのアイデアにより、白いアラクネの少女はガーベラと命名されます。ちなみにどうしてガーベラと名付けられたのかについては、

 ――ガーベラなんてどうですか。
 ――スパイダー咲きって呼ばれる咲き方をするものもあるんですよ。
 ――やった。これで決まりですね。
(2巻、No.242-243より引用)

とあります。
スパイダー咲きで調べようとすると予測検索リストに追加でガーベラの項目が出現しましたので、かなり有名なんでしょうね。
ちなみにガーベラの花言葉は、希望・常に前進とのこと。
森を踏破する実力を持ったハイモンスターであり、2巻で孝弘君たちに道を指し示すことができたガーベラにぴったりダブルミーニングではないでしょうか。
リリィであるユリの花言葉は純真・無垢ですし、ローズである薔薇の花言葉は愛・美
(ユリも薔薇もガーベラも色別で変わりますが全般的な花言葉が上のとおりです)
奇しくも他の眷属も名前と花言葉が近しいものが選ばれたようです。

孝弘君も加藤さんも、『水島美穂の記憶』もそうですけど、みんな博識なんですねこの小説。難しい言い回しも出てきます。けれど『知識はあっても使われていない』んですね。
例えるなら紙に書かれた情報を読んでいる感が強い……でしょうかね。良い意味でリアルだなと思いました。
頭が良いけど決して良すぎるわけではない。
しかしオバカちゃんというわけでもないのです。
そんな都合の良い展開にはならないだろうというギリギリ感を攻めているというか。
考え、悩み、思いを馳せらせ、論理的思考と感情的思考。割り切れる部分、割り切れない部分。機械的、人間的。決して心は一枚岩ではありません。

ガーベラは自らの行為を振り返り、悔やみ、悩みます。
ガーベラは強いです。孝弘君のパーティの中では群を抜いて。
しかし心はまだまだ未熟です。古風な言葉遣いであっても、長く生きてきても、ガーベラに生まれた心はまだ子供です。経験が、無いのです。あと加藤さんを怖がっています。

だからガーベラはリリィやローズたちと距離をどう取ればいいか悩みます。
これはリリィやローズも同じ。ロジックで全ての理由を説明することはできません。感情が論理を越えることは多々あります。
ガーベラが孝弘君を襲った事実は覆りません。事実は、消えないのです。

ただしガーベラがしていたと思われた『罪』も同時に消えました。
具体的には1巻で出てきた生徒のバラバラ死体。てっきりガーベラの仕業だと思っていたんですけどね……うーん。ってことはチートスキル持った生徒が襲った……のかしら。
正気を失って同士討ちをする生徒が多発していましたし、無いとは言い切れないですね。


2巻で一番活躍したのはガーベラですが、一番変化があったのはローズでしょうね。
ご主人様である孝弘君に対して主従関係で眷属である三人の心が描かれていきますが、横の繋がり、そして加藤さんとの繋がりもあるわけです。
ローズが徐々に加藤さんと関係性を構築していくのは読んでいて暖かい気持ちになりました。ローズはリリィと比べ遊びが無く、どちらかといえば機械的と言えます。しかしローズにも心があるのです。少しずつ、少しずつ変化していき、自分の心がどうあるのか、どうあるべきなのかを悩み、考えていく。

加藤さんがローズのことを「友達」と呼んだこと。
ローズが加藤さんのことを「友達」と呼んだこと。

これが2巻における最大の出来事だと思います。
無論、2巻のラストでやっと異世界人に会えたのは大きいイベントなのですが、個人的にそれ以上に大きい出来事だと思います。



2巻は1巻と比較すると大きい戦闘場面が少なく、縮小気味です。
中盤にある風船狐との集団戦闘が一番大きいピンチです。
ピンチの度合いが多きけれど、結局ガーベラが強いことが誇示されてしまい、結果としてあまり心に熱いものは抱けませんでした。
個の強さを集団の強さが勝る良い展開なんですけどね……普段の関係構築の丁寧な描写に比べると淡泊だったというか。

2巻はいわゆる『繋ぎ回』です。
発生した大きい出来事をピックすると、

・ガーベラと眷属の2人が和解した
・魔力のシステムについて学んだ
・風船狐の集団に襲われた
・4『匹目』と5『匹目』の眷属が仲間になった
・孝弘君が自らの行動を顧みた
・加藤さんとローズが友達になった
・ローズが秘めたる想いを胸に抱き、裏工作を始めた(ぶっちゃけ3巻の表紙絵が答えですよね)
・グールに襲われた
・異世界人と邂逅を果たせた

これくらいしかありません。
細かい戦闘や他の描写はあれど、ページの大半は人物描写に多く割かれています。
過剰なほど丁寧である反面、イベント性にはどうしても乏しく、物足りない巻だったと書かざるを得ません。
それが悪いのかというと決してそうではないんですけど、もっとこう熱い展開を期待して読んでいます。ですので小説が持つポテンシャルとウチが求めるポテンシャルが一致していないことが不協和音とは言いませんけど、読んでいて不思議な気持ちになる理由だと思います。面白いんですけど思っていたのと違う方向で面白いってやつですね。

ほんわかしたのは新たに仲間になった眷属。
上で『人』ではなく、『匹』と書きましたが、リリィら3人と比べると大きく人間離れした容姿をしています。

アサリナは鉄砲蔓のモンスター。
孝弘君の腕に寄生し、彼の魔力を養分に命を維持します。口だけ生えた植物。
蔓を幽白のローズウィップよろしくでシュシューと伸ばします。
「ゴ、シュ、サマ!」と超カタコト。可愛い。ぶっちゃけあやめより好きです

あやめは風船狐の子供のモンスター。
手乗りサイズの可愛い狐です。もふもふなのです。ガーベラの頭の上がお気に入り。
狐耳が生えた女の子じゃなくて文字通り狐ですね。ケモナー属性の人が喜びそう。
「コン、コーン」と鳴き声も狐と同じ。人語を話せるわけではありませんが意思疎通は測れます。
あと火球を飛ばせますが子供なので戦力として期待できません。癒し枠

アサリナの花言葉は飾らぬ美、信じる心
あやめ(菖蒲)の花言葉は希望、メッセージ、情熱
ちなみにアヤメを英語にするとアイリス(Iris)です。どこかでアイリスなら見かける機会はあるんじゃないかなと思います。

人間である孝弘君と加藤さん。
眷属だけど人型に近しいリリィ、ローズ、ガーベラ。
眷属で人型からかけ離れたアサリナ、あやめ。
人間模様が複雑になっていきます。といっても激しい衝突があるわけではありません。
過去を振り返り、現在を見据え、未来を思い描く。

何度も何度もぶり返ります。
これは主人公である孝弘君も同じです。
孝弘君もまた、考え、そして成長していきます。

トラウマが治るわけではありません。
人間不信が治るわけではありません。
けれど着実に物語という名の経験が積まれていくのです。何も起こらないわけがないのです。

加藤さんとの関係がそう。
加藤さんに助けて貰ったのに、加藤さんを信じられない。信じきれない。
理解できても理解できない。身体が許しても心というシャッターを開けるのは、難しいのです。散々今まで同胞から酷い目に合い、裏切られ、裏切る現場を見てきたのですから。
だからちょっとずつちょっとずつ加藤さんとの距離も縮まります。
孝弘君が魔法の修行を行う時もそう。加藤さんが修行を行おうとする時もそう。
眷属という第三者を介して、孝弘君と加藤さんの仲も縮まります。
加藤さんは1巻以上に気持ちが全面だしされたセリフが多くなります。特にローズとの関連会話は2巻の大きい見所といえるでしょう。


「なのに、頼ってくれないんだよね」
「……」
「ご 主人様は、わたしたちのことを『頼りになる相手だ』と思っているのに、『頼りに してくれない』んだ。……違う、かな?」
 今度こそ、おれは否定の言葉を見付けられなかった。
(2巻、No.3063-3066より引用)

中盤で特に好きなシーンです。
孝弘君は人間不信で良い意味でも悪い意味でも遊びが無いです。
その上で『良識的』であるが故に責任感が強いんですね。そうなるとどうなるかって必要以上に全てを背負おうとしてしまう。リリィの指摘はごもっともなんですね。
こういうハーレム要素があると『男の子』であることを全面だしするいわゆるお色気的な展開がお約束だと思うんですけど、孝弘君責任感が強すぎて融通が効かないというか、好意を抱かれて超真面目に応えるんですよね。1巻も2巻もそうですけど。
だから自分がどういう人間かよくわかっているという。けれど眷属の女の子から求められているのはそうじゃない、そうじゃないんだと指摘されなければわからないんですね。
ただ孝弘君は耳を傾けることはできますし、そういう意味での臨機応変も効きますから、今後もっと眷属の女の子と距離を縮めて欲しいのです。



終盤はいよいよ緊迫した展開になっていきます。
といっても孝弘君のパーティは攻守が強く整っていますので、グール(ゾンビ)に苦戦することなく勝利することができます。不完全燃焼というかなんというか……。
グールは異世界人。全身鎧で兵士であると予想されます。
つまり国か国に近い単位で文明構築が行われている証左になります。
異世界人に武器防具の概念があるのが判明した以上、衝突する展開も予想できます。
そして理由は定かではないですが、グール、つまり死者がモンスターと化すケースもあることが判明。孝弘君たちのコロニーでもグールが発生したケースがあったようで、いくら力が強くても人間の形をしたものに、自分たちの元仲間に刃を向けるのは、良心があればあるほど枷になり、惨事を引き起こしたようです。
ゲームではなく、現実が描かれている以上、ゾンビ映画よろしくで機転が利くなんてことは学生である彼ら彼女らには難しいのです。

そしていよいよ異世界人との遭遇。
コロニーから脱出した者たちか、それとも探索班かわかりませんが学生もその中に含まれていました。騎士たちのリーダーとの少女と邂逅し、2巻は終わりを迎えます。

ここで大事なのは孝弘君(アサリナ)、リリィ(あやめ)とガーベラ、ローズ、加藤さんの二手に分かれていること。どうやら3巻はそれぞれ別行動をとっていくようですし、異世界の『システム』の説明も行われるでしょうし、ようやくプロローグ終了……といったところでしょうかね。予想よりも遥かにのんびりとした展開ですので、激しい展開を望むウチとしてはもうちょい展開に加速を求めたくなります。
けれどその分だけじっくりと人物描写が描かれていますので、共感するかは別にして、登場人物を容易に読み取れるようになっていくと思います。コミカライズされると心情描写を描くことが難しいでしょうし、コミカライズ版だけを見て中身が薄い物語だって思われるのは読んでいる人のひとりとして残念な気持ちになっちゃいます。



ということでモンスターのご主人様、2巻の感想でした。

3巻もそうですけど、カラー挿絵で盛大にネタバレするの良くないと思うんですよ……。
初見の楽しみを奪われたみたいになってしょんぼりしちゃいます。
なんというか物語は面白いのに、宣伝やガワの部分で大損していると段々と思うようになってきました。PVが特にそうですね。もうちょっとこう……物語に寄り添う紹介はできなかったのでしょうか(汗

以下、上では書かなかった雑記に近い感想みたいなもの。

そういえば孝弘君は生徒の死体をリリィに捕食させません。
水島美穂の記憶を受け継いでいて、捕食した生徒の思念・悪意を読み取るのを恐れているからさせていないんですが、なら誰が水島美穂を襲ったのか、って記憶はあると思うんですね。これから他の生徒とあれこれ合流する展開になるでしょうし、その手の生き残りの生徒が出てくる展開もあり得るんじゃないかなーとか思っています。盛り上がるのかって問われると微妙なんですけど、記憶を活かす展開があるならあるんじゃないかなーと。

あと嬉しさなどを言葉以外で表現する動作が出てくるとニッコリします。
具体的にはガーベラが蜘蛛足を動かすところとか。こういう表現大好きなのです。
(雑記に近い感想おわり)


モンスター娘という『属性』をご存知ですか?
モンスター要素を持つ女の子って書くと伝わり易いでしょうかね。
ハーピィだったりマーメイドだったり下半身が馬だったり頭からツノが生えていたりetc...

『モンスター娘』は『人間』でできる部分、できない部分があります。
その差異が、モンスター娘という属性を引き立ててくれます。

この小説は、人間に裏切ら酷い目にあった真島孝弘君(主人公)の物語。
人間であること。モンスターであること。たったひとつの大きい壁がスパイスとなって物語を彩ります。

表紙絵



モンスターのご主人様 : 1 (モンスター文庫)
著:日暮眠都先生
イラスト:ナポ先生


今回はモンスターのご主人様の1巻の感想です。
ネタバレだらけですので要注意です。

先に書きます。
なんとこの小説、普通のラノベなら必ずあると言ってもいい、作者のあとがきがありません。ビックリです。
あとがきが無い分だけ、限界まで物語が書かれています。
どんな小説でもあとがき結構楽しみにしていただけに、残念のような、その分だけ物語があったので嬉しいような……複雑な気持ちです。

さて、この小説はなろうさん出身小説でコミカライズも行われています。
相当数なボリュームが確約されていて、この記事を書いている現在、11巻まで既に刊行されています。
コミカライズ版は小説版に比べて分かり易い反面、心情描写が漫画だとどうしても圧縮されてしまうため、余韻が残り難い印象があります。というか両方比較すると小説版に軍配をあげざるを得ません。
ちなみにこの小説を知ったのはコミカライズ版がきっかけです。それだけにもやっとしちゃいます。

『小説家になろう』掲載ページ

コミカライズ版掲載ページ(リンク先から探してください)

あともうひとつ。
女の子が凄惨な目に合うシーンがありますので、そういう系が苦手な方は回れ右をすることをお勧めします。

さてどういうお話なのか軽く見てみましょう。
いわゆる現代世界から異世界に移動するケースの小説です。転生では無いです。恐らく。
主人公君である孝弘君だけでなく、教師も含めて学校の人間が丸ごと異世界に行きます。規模が大きいのです。恐らく三桁の人数でしょう。コミカライズ版の1話目をご覧になればわかりますが、異世界に移動してから森の中に建てたと思われる小屋の数は相当数に上るようです。

異世界に行った人間の数が多い上に、異世界に移動した際にいわゆるチートスキルに目覚めた生徒がゴロゴロ発生します。目覚めない生徒もいます。また、チートスキルも強弱様々なようです。
戦闘向きのチートスキル持ちをウォーリアと呼ぶことにし、探索班を出すなどして模索していきます。

しかし弱肉強食な世界なのです。モンスターやドラゴンが跋扈する森の中にワープしてしまったので、戦闘能力があるメンバーとそうでないメンバーに別れ、居住生活を繰り広げます。死人も当然ながら沢山出ます。遺体だらけなのです。
そうするうちにだんだんと精神も肉体も疲弊していき、やがて秩序が崩壊します。モンスターと人間の戦いではなく、人間と人間の戦いに突入します。内部分裂、略奪etc...

それまでチートスキルに目覚めなかった孝弘君も巻き込まれ、それはもう酷い目に合います。そうして崩壊したコロニー(居住区)を背に、孝弘君は生きるために森の脱出を目指すのでした……。



ココまでがプロローグです。
コミカライズ版だとイラストがある分エグさ倍増です。女の子も殺されているんですよ……なんて酷いことをっ。
こういう人間同士の醜い部分を散々見てしまったため、孝弘君は人間が信じられなくなってしまいます。いわゆる人間不信ってやつですね。

孝弘君は力尽きて死に掛けた時、スライムに襲われます。
ところがそのスライムとパスを繋ぐことに成功し、孝弘君は命を救われたのと同時にチートスキルを獲得したことがわかります。モンスターテイム――モンスター使いですね。召喚術師ではないです。
ややこしいので要約すると、パスを繋いだモンスターの好感度が最高になり、尽き従ってくれます。パスを繋いだモンスターは『眷属』と呼ばれます。
ですのでそのモンスターの意思は尊重されますし、命令に逆らうこともできます。する気があるかどうかは別にして。パスは誰とでも繋ぐことができるわけではなく、限られている、いわゆる眷属になる素質があるモンスターにのみ発揮されます。
また、パスが繋がったモンスターには強い自我が芽生えます。

スライムといえば古今東西ドラクエが一番有名だと思いますけど、本来スライムはアメーバに近くて斬属性に滅法強いとかそういう手強いモンスターなのです。昨今だと美女の姿を模ってスライム娘になるーなんてケースも色んな漫画やアニメで見受けられます。

この小説に最初に出てくるスライムはミミックスライムと呼ばれ、捕食した対象のスキルを獲得します。さらに擬態のスキルもあります。
例えば火を吐く狼、ファイア・ファングを捕食すれば火を噴けるようになります。

紆余曲折を経てマジカルパペット(等身大のウッドマネキンのような人形)も仲間にし、1人2体の『3人パーティ』で森の中を進みます。

孝弘君はいわゆるオタク気質の人間ではなく、結構難しい言い回しも使う知的な人です。後に出てくる加藤さんなどもそうです。オタク知識は友人から伝聞である程度身に付いているようですが、良くも悪くも遊びがあまり無いタイプですね。
ただ繋がりを大切にする一面もあり、仲間にしたモンスターに花の名前を付けます。もしかしたら植物に精通する何か過去かエピソードがあったのかもですね。
(と思ったら2巻で直ぐにネーミングに底が尽き、あわばチューリップという名前が付けられるところでした。孝弘君ちょっとー!?)

ミミックスライムにはユリである『リリィ』。
マジカルパペットには薔薇である『ローズ』。

見方がちょっと変わりますけど、ペットなり何なりで自分で名前を付けると、それはもう愛着が沸きます。ゲームではなく現実なら猶更です。そして従順なんですから、孝弘君はそれはもう人間不信の反動もあって愛を注ぎ込みます。

コミカライズ版の1話や小説の最初のほうの挿絵をご覧になるとわかりますが、孝弘君は生来的には明るくてそれなりに活発だったようです。
しかしプロローグや本編で何度も人間の浅ましさ、醜さを見てしまい、人間不信が加速して表情が暗く陰りを帯びます。割と酷い目に合う系主人公君ですね……。

さて、『3人パーティ』で森の中を進んでいくと、同学年の生徒『だった』水島美穂を発見します。『だった』と過去形なのはすでに事切れていたからです。コミカライズ版からこの小説を知ったのですけど、冒頭で書いた、

女の子が凄惨な目に合うシーンがありますので、そういう系が苦手な方は回れ右をすることをお勧めします。

というのはそういうことです。
もう少しあとでもうひとつそういうシーンがありますので、合わない、嫌いな人は回避推奨です。

表紙絵の女の子が水島美穂であり、水島美穂『ではありません』。
スライム、擬態からピンと来た人は正解です。ミミックスライムであるリリイが水島美穂の遺体を捕食して水島美穂になります。ヒロイン一人目ですね。小説ではずっとリリィと呼ばれているのでこの感想記事もリリィで統一します。

リリィは水島美穂の記憶、チートスキルも受け継いでいます。
さらにスライムでありながら水島美穂に擬態している間、肌の質感などは人間と遜色ない際限が可能になっています。肌の産毛を感じる描写がありますので、それはもう再現率が凄いのです。
スライムでもありますので、限界はありますけど斬られても再生できます。そういう意味で非常に打たれ強い側面があります。

ただしこういうコピー系ではお約束ですけど劣化コピーとなります。100%の力を発揮できるわけではありません。また、水島美穂は魔法が使えたということで受け継いだリリィも魔法が使えます。
このように魔法の概念が登場しますが、まだ断片的なのでこの世界における魔法の強さ、限界などは二巻以降で詳しく語られるのだと思います。

階梯という強さのクラス分けは結構好きです。
ちなみにラノベ、オーバーロードだと魔法は位階というクラス分けで出てきます。呼び方がそれぞれ違いますので注意。

リリィが水島美穂の姿を模り、そして孝弘君に最高好感度と化しているので、それはもう疲弊した孝弘君を文字通り身も心も癒してくれます。
リリィは水島美穂の性格も受け継いだとあったので、水島美穂の性格が明朗快活のストレートなタイプのヒロインですね。しかも専門知識、オタク知識もそれなりにあるようで、リリィも水島美穂が持っていた知識をそのまま使いこなすことができます。つまり『異世界』には無いものでも知覚することができます。例えば孝弘君が中盤で『廃液』と例える場面がありますが、リリィは水島美穂の知識・記憶があるので廃液の意味を理解できています。

「相変わらず男の子のことに関しては疎いんですね。まあ、いまはそればかりでもない ようですけど」
(1巻、No.4231-4232より引用)

とあるので、多分生前も水島美穂は孝弘君に好意を抱いていたんじゃないかなぁと予想できます。モンスターであるリリィは、『水島美穂のキャラ』で孝弘君に最好意に接しますけど、それはリリィであって水島美穂ではないのです。
そしてモンスターテイムのパスが作用した部分も多いでしょうし、死人に口なしよろしくで水島美穂がどうだったのかは周りからどう見られていたのかでしか判断できません。

この小説の面白い部分のひとつとして、孝弘君は斜に構えた性格で語彙力堪能ですが、戦闘に関する知識や異世界に関する知識の基礎は、周りから聞いて構築されたという部分があります。
文中にもありますが、人間不信ですけど同時に人間を信じているのです。
だから他人の話を疑いつつも耳を傾け、知識を獲得できるんですね。
そういう意味でドライですけど取捨選択がとても上手いキャラクターになっていると思います。

さらに序盤から中盤はボチボチなのですが、中盤以降登場人物の心情描写を掘るのがとても上手い構成になっています。淡々としているようで、行動理念に対して一貫性がある上にどうしてそうなるかのプロセスまで深く踏んでいます。だから表層ではなく深層が読み手に伝わり易くなっているんですね。

この部分は小説だからこそ伝わり易く、コミカライズ版だと厳しい印象があります。
小説の強みは心情描写を文字で伝える部分が大きいと思うんですね。
特に後半のリリィ、ローズ、加藤さんの3人の問答シーンはとても良かったです。



話を戻します。
水島美穂に『擬態』しているリリィですが、見た目は完全に水島美穂と同一です。
声も、そして性格も模倣しています。
ですのでミミックスライムだと知らなければ水島美穂ではないと気付けません。
この小説の主題のひとつは、恐らくモンスターと人間の境目、垣根だと思います。

人間だからできること。
モンスターだからできること。
人間だからできないこと。
モンスターだからできないこと。

それぞれがある故に、衝突したり反発したり利用したり利用されたりします。

途中、男子生徒数名に襲われている加藤真菜という女子生徒を救出します。
加藤さんは水島美穂の後輩で、彼女の人となりをよく知っているようです。上でもありますが、

「相変わらず男の子のことに関しては疎いんですね。まあ、いまはそればかりでもない ようですけど」
(1巻、No.4231-4232より引用)

とあるように水島美穂自身が気付かない、もしくは気付かないフリをしていたことですら知っています。

加藤さんにチートスキルはありません。
モンスターであるリリィやローズと違い、いわゆる『お荷物』になります。
けれど加藤さんは人間です。モンスターではないのです。
だからモンスターであるリリィやローズと価値観の相違、人間とモンスターの違いで衝突します。

加藤さんは孝弘君以上に人間不信に陥っています。
そりゃそうですよね。異世界に飛ばされた上にスキル持ちで無いが故に立場が無く、その上、襲ってきた生徒から逃げるべく、水島美穂らと逃げ、水島美穂は亡くなり、そして自分は襲われて酷い目に合いかけるんですから……。

加藤さんが孝弘君に好意を持っているのは間違いないと思います。
しかしそれが友愛なのか親愛なのか恋愛なのかはわかりません。
ただし、

「眷属でないと駄目なんですか?」
 ほんの一瞬ではあるが、彼女は極大の怒りをわたしに向けていた。
(1巻、No.4473-4474より引用)

とあるので、恋愛感情に近い感情を持っているのは間違いないと思います。

どちらかというと加藤さんは大人しく自己主張しないようで、実は胸の内は激しいものを持っているようです。さらに観察眼がとても高く、その上、物事の順序を組み立てて考える力がとても高いです。段階を踏んで会話するのでとてもわかりやすいです。誘導尋問が得意なタイプですね。
戦闘能力が無くても、加藤さんにだってできることはあるのです。

人間だけど戦闘スキルが無い加藤さん。
モンスターだけど戦闘スキルがあるリリィ、ローズ。

の構図ですね。
上手いこと対になっているんですよね。
一枚の大きい壁がある故に関係性が生まれ、同時にその大きい壁があるが故に越えられないものがあるっていう。



リリィは明朗快活のストレートなタイプのヒロインです。
そしてローズは実直で硬いタイプの論理的思考タイプのヒロインですね。途中から喋られるようになります。ただヒロインと言っても等身大のウッドマネキンのような人形ですから、目も口も鼻もありません(どうやって喋るのかは考えるほうが野暮ってもんです)。
だから傍目で見てモンスターだとわかりますし、決してヒロインたる見た目にはなれません。
けれど喋ることができるのです。孝弘君を抱きしめることができるのです。
人間の肉体で無いことはひとつの障害ですが、それ以外の部分は孝弘君に尽くし、そして愛し通せるのです。

リリィもローズも孝弘君のことをご主人様と慕い、愛します。
そして生殺与奪の根っこに孝弘君がいます。孝弘君を助けるためには自らだって犠牲にできます。
喜ぶことができます。
怒ることができます。
哀しむことができます。
楽しむことができます。

見た目が人間でなくても読み進めていくうちに、読み手もヒロインとして意識していけると思います。
描写が比較的淡泊で基本的に孝弘君の一人称で物語は進みますが、孝弘君もまた、徐々にリリィやローズに惹かれていくのがよくわかります。それだけ『二人』が魅力的なんですから……。



この物語はプロローグを除き、大きく4つの山場があります。
ひとつは加藤さんが襲われている現場に遭遇した時。

ふたつはクラスメイトの加賀君と再会した時。
最初に見たコミカライズ版が確か『加賀君編』のクライマックスでしたっけね。

冒頭で書いたように、秩序が崩壊し、人間が人間を襲う構図になってしまいます。
果たして再会したクラスメイトは、理性を、秩序を、そして善性を維持できているのか、どこまで信じていいのか、裏切らないのか。判断が問われてきます。

結論から書くと加賀君は裏切ります。
けれど加賀君はifの孝弘君でもあるわけです。孝弘君の精神が摩耗し、タガが外れれば加賀君と同じようになっていた可能性は決して否定できないのです。
だから加賀君の行為は決して許されませんし、殺されても文句は言えません。けれど同情とは違いますけど、同じクラスメイトを手に掛けるのです。孝弘君が何も思わないわけがないのです。

孝弘君は人間不信に陥っています。けれど同時に人間を信じてもいるのです。
裏切られた際の保険は賭けていても、同時に裏切らない可能性も賭けているのです。
だから孝弘君は余計に傷つきます。
そりゃそうでしょう……異世界に来るまでは他愛もなく学校生活で顔を合わせていたのですから。

孝弘君は人間を信じていません。けれど全てを信じていないわけではないです。
裏切る前提で考えたとして、裏切る必要性があるかどうかを選別できます。
付く必要が無い嘘を考える、というわけですね。全部が全部嘘ではなく、真実があるかどうか考えます。嘘を付くには嘘を付く必要性、メリットが当然あるわけですね。ならそれらがないなら嘘を付く理由にはならないということにもなります。

加藤さんから得た情報、加賀君から得た『真実だろう情報』。
これらの情報を基にして、孝弘君たちは森を進みます。

先に書くと1巻の段階では異世界に人間がいるのかどうかは一切不明のままです。
探索班は帰ってきませんし、水島美穂を想っていた高屋君も、二つ名を冠するチートスキルを持った生徒たちも出てきません。森から抜け出すことなく物語は終わります。
だからモンスターが生息していること、魔法の概念がある以外にこの異世界がどういう世界なのかほぼ不明です。

帰ることができるのかわかりません。
そもそも食糧問題がある以上、留まることもできません。明日が、見えないのです。

そういう意味では、タガが外れた生徒たちはある意味では幸せかもしれません。
極限状況に置いて、自業自得の結果になれど、最期にやりたいことをやって死ねたのですから。絶望を抱いたまま虚無に呑まれて死ぬよりは幸せなのかもしれません。
無論、だから許されるのかは別の話です。秩序があるが故に理性が働き、人は善性で行動できます。
けれどその『ルール』が外れる状況になってしまえば、それは善性を失えば力が支配する世界になってしまいますからね……ルールは守られてこそのルールなのです。



後半は女の子モンスター、白いアラクネの少女との死闘が行われます。
モンスターによって自身が抱く価値観が異なるという、まさにこの小説に相応しい主題に突入します。
ちなみに白いアラクネの少女は一人称が妾(わらわ)で古風な言い回しとキツネっ娘系で見かけるタイプのキャラになっています。孝弘君のことを主(あるじ)と呼びます。

アラクネもまた、孝弘君とパスが繋がることによって自我が芽生えた眷属モンスターです。
巨大蜘蛛から女の子が生えていると言えば想像できるでしょうか。銀髪ですし古風に近い言葉遣いなので中々個性が強いキャラです。

ただリリィやローズと大きく異なる部分があり、このアラクネの少女は孝弘君を独占したいと考えています。そしてリリィやローズと違い、モンスターとしてのレベルはもっと上位のもの、ハイモンスターになります。つまりリリィやローズでは根本的にレベルに差があり過ぎて太刀打ちできません。

ローズのスキルは道具作成能力です。孝弘君たちの武器防具は基本的にローズが作成してくれます。
さらに自らの腕などを取り外して交換することもできます。
そんなローズですが、一撃のもとに吹っ飛ばされて半壊します。絶対的な力の差、というやつですね。
リリィは擬態能力のほかに水島美穂が獲得していた魔法スキルがありますけど、やはりアラクネに対抗するには厳しく、やはり敗北します。
当然、戦う力が無い加藤さんで対抗することもできません。なす術がなく、孝弘君は攫われてしまいました。

ウチはこの小説を読んで、面白いと思い始めたのはこの辺りからですね。
それまではモンスター娘系って昔はともかく、今だと萌え属性にもありますから、意外と見る機会があったんですよね。ならどこで差別化されるかで面白さが決まるといっても過言では無いと思います。
正直なところ、前半戦だけでは評価に困る部分が多かったです。

この『モンスターのご主人様』が面白いと思ったのは、まさにこの後半からなんですね
具体的には上でも書きましたが、加藤さんがリリィとローズと問答するシーンです。

モンスターだから決して人間にはなれないけど、戦闘能力があるリリィとローズ。
人間だけど戦闘能力が無く、孝弘君の力には決してなることができない加藤さん。

対比の構図ですね。
その上、孝弘君が攫われたことでリリィはブチギレています。
だから一刻も早く孝弘君を助けたいのです。そうなると『お荷物』になっている加藤さんの処遇をどうするのか、という問題が発生します。

モンスターであるリリィは加藤さんを放置して孝弘君を救出することも、加藤さんを放置しないで一緒に孝弘君を救出する選択肢もあります。
前者を決行した場合、救出できる確率が上がる反面、全て無事に成功したと仮定したとして、孝弘君に嫌われてしまう未来も同時に想像できます。
後者を選んだ場合、お荷物である加藤さんと一緒に行動するのですから、当然移動速度が落ち、ただでさえ劣勢なのに戦闘になると更なるハンディを背負うことになります。

だからどちらを選んでも何かを失うんですね。
そして最上位に来るのが孝弘君である以上、孝弘君からの信頼を犠牲にしてでも助けに行こうと思うわけです。

けれど根本的な部分を、リリィは忘れているんですね。
仮にこのまま加藤さんを放置してローズと二人で挑んだとして、勝ち目の無い戦いをしようとしているという根本的な問題を。

加藤さんのロジックの展開はとても見応えがあります。
理に適っている上に段階的にリリィを、ローズを説き伏せていくので、それまでの暗くて自己主張が大人しかった加藤さんのイメージが一変します。
加藤さんもまた、この小説においてとても重要なポジションなのだと気付かされます。

「わたしは加藤さんのことを羨ましいと確かに思っていて……」
(1巻、No.4181-4183より引用)

「嫉妬、してるかもしれなくて……」
(1巻、No.4185-4186より引用)

「こんな汚い感情を抱いているって知られたら……ご主人様に嫌われちゃう」
(1巻、No.4186-4187より引用)

それはまさに、人間らしさであるということ。
ローズに指摘され、加藤さんに指摘され、リリィもまた、心が成長していきます。
自らの醜さを認めること。自らの非を認めること。
間違いを認めることは物凄く難しいのです。理論武装を固めるのは簡単です。けれど、それを認めることは難しいのです。敗北すると同義だと捉えてしまえるのですから。

アラクネと戦うのが目的ではありません。
孝弘君を救うのが目的なのです。
目的の優先順位をはき違えたお陰で、孝弘君を除いたパーティは加藤さんがいなければ壊滅するところでした。勝率ゼロの勝負を挑んでも、意味が無いのです。

ならばどうするか。
プランを練ります。アラクネを倒すプランではありません。孝弘君を救うプランです。
だから、アラクネは決して倒せなくても良いのです。

しかしアラクネに捕まっている孝弘君を救出できても、アラクネが追いかけてくるのは間違いないですし、やはり戦闘に突入してしまうと勝ち目がありません。
ならばどうするか。それはリリィもローズもモンスターである――眷属であることを利用します。リリィやローズにあって、アラクネに無い部分を突きます。弱点を攻めるといっても過言では無いでしょう。

故にアラクネの牙城は崩れます。
自らが気付かなかった弱点をさらけ出され、自分を持って自分にトドメを刺すのです。
眷属であるとはどういうことなのか。孝弘君を想う気持ちは同じなのに、どうしてリリィたちとは違うのか。その差が、毒の刃となってアラクネを襲うのです。

アラクネの少女によってモンスターがモンスターテイムによって自我を獲得する一端が語られます。この世界のモンスターの在り方について語られます。
けれどそれは一端に過ぎません。まだこの小説はプロローグです。森から脱出してからが恐らく本番なのでしょう。

1巻は綺麗に終幕します。
モンスターであること。人間であること。
ひとつの答えを出し、ひとつの道を築きます。
けれどそれはエピローグであり、同時にプロローグです。

まだ、物語は始まったばかりなのです。



ということでモンスターのご主人様、1巻の感想でした。
上でも書いていますが、心情描写の事細かさに惹かれました。
2巻以降も継続読書確定です。予想と違う方面で面白かったです。
二つ名を持つチートスキルを持った生徒が全く出てきませんでしたが、2巻以降で出てくるんでしょうね。女の子の名前もありましたしどういうキャラなのか非常に楽しみです。

前半よりも後半で畳みかけてくる小説なので、もしお読みになる際は、前半で投げ出さずに後半も読まれることをお勧めします。


ひとりを除いた全ての役者は舞台に集う。
全てを見届けるために。全てを清算するために。全ての歯車を元に戻すために。

カナミ、ローウェン、リーパー。
三人の『親友』は、互いに互いを想っているが故に譲れない。
譲れないからこそ、それぞれの決勝戦が幕を開ける。

全ての清算が負債として襲い掛かる3巻――。
全ての清算が経験として実りをもたらす6巻――。

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異世界迷宮の最深部を目指そう 6 (オーバーラップ文庫)
著:割内タリサ先生
イラスト:鵜飼沙樹先生
今回は異世界迷宮の最深部を目指そうの6巻の感想です。
ネタバレ多いです。というかネタバレしかありません。本当にご注意ください。
あと『続きを読む』を設けているので察していただけるかもしれませんが、今回の感想記事、ガチのガチ、超ガチの超長文感想です(引用込みで20000文字オーバーです)。全部読むと時間潰れます。ご注意ください。


続きを読む

盤上の役者は、フウラと呼ばれる川にに浮かぶ巨大船施設、ヴアルフウラに集います。
光も闇も全てを呑み込んで。希望の光も、復讐の炎も全て、全て……。

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異世界迷宮の最深部を目指そう 5 (オーバーラップ文庫)
著:割内タリサ先生
イラスト:鵜飼沙樹先生
今回は異世界迷宮の最深部を目指そうの5巻の感想です。
ネタバレ多いです。ご注意ください。

殆どの今まで登場した重要なネームドキャラが登場します。
相変わらずパリンクロンが雲隠れしていますが、6巻辺りできっと登場するんでしょうきっと。

意外だったのはフランリューレ御一行が再登場したこと。
まさか天上の七騎士になっていたとは……嬉しかった半面、後述しますが弟君の変容っぷりに胸が痛みました。
そりゃそうだわなと。正当性があるかは別にして、兄に引き続いて姉も奪われようとしていますものね……。何というか、2巻の苦労人気質のライナー君好きだったんですけど、ここまで性質が反転するとは……。6巻まで尾を引いていますし、円満解決は不可能にせよ、最低でもフランちゃんと仲直りする展開になって欲しいですね。

さて、5巻は何といってもスノウを再評価する流れがとても多いです。
ディアに負けず劣らず凄い依存症だった。やっぱりヤンデレじゃねーか! と思ったのは内緒。そして可愛い。ヒロインレース街道爆走中ですね。フランちゃんしか癒し枠いないのか?

スノウは2巻でもそこそこ強く、4巻でもそこそこ強い者として描かれていました。
まぁ5巻読むとひっくり返りますね。グレンに対する再評価もセットで、ラスティアラとタイ張れる希少な人物……というか最強クラスの人だったとは。

5巻の序盤にドラゴン退治の場面があるんですが、この小説ってボスモンスターを倒すと称号と称号に準じたパラメータアップがあります。
ドラゴン退治にスノウが乗り気だったのは、てっきりドラゴニュートであるスノウ自身を倒してほしい……。
つまり、現状のしがらみから逃れるために、カナミ君に自分を殺してほしい――逃避からだという想像を立てながら読んでいました。

4巻のスノウは、今まで多数の失敗を経験した辛酸たる経験からダウナーでやる気が無いキャラだと思っていました。
しかしスノウの性質は一枚岩ではないことが明らかになります。
失敗し続けた結果、何かに縋り続けないと自分を保てない一面が明らかになります。
過去がいよいよ明らかになったんですが、……そりゃそうなるよなぁと。ラスティアラの言っていることは正論なんですが、正論という名の暴力ですねあれは。あれではスノウは救えない。諭せない。
ただしラスティアラがスノウを救えるのもまた事実です。
シッダルク卿と結婚する、カナミ君と結婚する、この二つでない第三の選択肢を提示できるのは、この場において恐らくラスティアラしか存在しません。ウォーカー家という鎖から解き放たれるには、スノウ自身の力だけでは解決できないのです。ウォーカー家という体裁が壊れてしまいますから。

そしてスノウと並行するようにカナミ君自身も大きく揺らいで変化します。
正確にはゼロに向かって収束していきます。
強力なパリンクロンの洗脳が掛かっているにも関わらず、違和感と残滓から推理し、ほぼパーフェクトな正解を引き当てます。
何より前回の感想で書いていた、マリアが妹ではない事実に自力で気付けるとは……やはりカナミ君人間離れし過ぎですよ。



違和感の正体に気付き、即座に腕輪を壊そうとします。
4巻ではあれだけ壊さないように壊さないようにしていましたけど凄い変化です。
この腕輪に対する精神的ロックは、4巻でパリンクロンが述べていたと思いますが、確か妹と同列クラスに大切なものであるという認識になっているんですよね。
だから壊そうという考えに至れなかった。
けれど綻びが生まれ、真実に近づき、カギを握るのが腕輪にあるとカナミ君は気付きました。ならばあとは壊すだけです。壊すだけなんですけどこれがまた簡単には行きません。
まずは無意識下で守ろうとするオートガード。これはまぁ4巻を読んでいれば予想が付きます。

問題は腕輪自身が物凄く硬かったこと。
お陰でカナミ君の力では壊せません。しかもカナミ君に執着してしまったため、ローウェンもスノウも壊す意思がありません。
ならば頼れるのはラスティアラとディアだけです。二人を呼び出して腕輪を壊してしまえばいい……と思ったらカナミ君が4巻で築き上げてきたものすべてが立ちはだかります。
じゃあどうすれば壊せるのか……そこで舞闘大会が出てくるっていう。

美しい流れですよね。そして理に叶っている。
カナミ君が舞闘大会に進んだのは、仕組まれていたこともありますが、カナミ君が自分と向き合い、先に進むためです。

舞闘大会そのものにベット(Bet)がどんどん高く積み上げられていきます。
ローウェン、リーパー、スノウ、ラスティアラとディア、シッダルク卿、天上の七騎士、そしてカナミ君自身。全てを勝ち得るためには、全てに勝たなければいけません。
勝たなければバッドエンド、誰かは救われても誰かは救われません。
カナミ君が目指さなければいけないのは、自身も含めた全員の救済です。
だから負けられない、負けるわけにはいかないのです。

舞闘大会を主軸にしつつ、複雑に物語は展開されます。
個人的に5巻は舞闘大会をずっとし続けて血沸き肉躍るバトルパートが続くと思っていました。けれどそれは違いました。でも読んでいてとても爽快でした。
というのも読み手であるメタ視点から見れば、誰が勝つのか展開から鑑みて闘う前からわかってしまいます。でも結果に向かうためには過程が必ず存在します。その過程が、読者を魅了するのです。

特にカナミ君の最初の闘いは目を見張るものがありました。
相手はカナミ君の大ファンの魔法学院の女の子3人組。カナミ君がちょちょいと力の片鱗を見せてサクサクっと勝利すると思っていました。
でも大ファンであり、お金持ちという立ち位置を最大限に活かした、それはそれは素晴らしい闘いでカナミ君に立ちはだかります。
TCG用語でメタを張るというものがあります。
メタとは流行や相手の出方を予測し、それに有利になる戦略を用意することを指します。
これと同じことを3人組はやってのけます。
カナミ君をよく観察し、有利に運べるにはどうすればいいか、手持ちのカード(戦力)の中で、最大限の知力と戦力を用いてカナミ君に肉薄します。舞闘大会のルールも最大限に利用しますし、カナミ君が勝つことがわかっていても盛り上がっちゃいますよあれは。

ローウェンもそうです。
ローウェンの強さは4巻よりも5巻のほうがいかんなく発揮されます。
剣を極めた者、ローウェン・アレイス。枝ですら、彼の手に掛かれば名剣と化します。初戦は魅了されるでしょうあれは……相手も相応に強い分余計魅了されます。
そしてカナミ君がローウェンの剣術を次々にマスターしていくんですが、初見で全て習得とやはり人間離れした実力を発揮していきます。もうこれで何も無いただの人間でしたーなんて通用しませんよ? 身体が耐えられても脳に負荷が掛かり過ぎて耐えきれないでしょ。4巻と5巻の情報を組み合わせると、十中八九カナミ君は1000年前にも実在した人物の転生体かそれに近い存在なのは予想できます。

というかそうじゃないと説明付かないんですよ……ここまでフリがあるんですから。
それならパリンクロンの一連のやり方も納得ができます。

「カナミの兄さんが、ただの人間じゃない? そんなことはわかってる。(略)」
(3巻 位置No.4273/4599より引用)

とある以上、上記のようでなくても秘密があるのは確定ですからね。
ちなみにkindle版だと本文に対してワード検索が使えます。物凄く便利なので一度お試しあれです。

試練を乗り越えさせる、そして『以前のカナミ君』を知っている素振り。
そして次々に無理難題を押し付けるところを見ると、パリンクロンが狙っているのは、カナミ君に対して肉体的、精神的な成長を促している、導いているものだと思われます。

3巻でハインさんが亡くなり、彼の死体を利用しましたけど、彼の死そのものは貶しても侮蔑してもいないんですよね。ということは目的のために非情になれど、パリンクロンにも情があるのが汲み取れます。ただでさえトリックスター系のキャラなので読み難いんですが、全てひっくるめるとカナミ君のために行動を起こしている……としか思えません。

よくよく思い返すと、パリンクロンが本格的に絡んできたのは奴隷市場でカナミ君にマリアを買わせるためです。あの時、パリンクロンはラスティアラの命でカナミ君と接触したみたいなことを言っていますが、3巻を読むとそれは建前で、マリアを買うことがカナミ君に対する何らかのトリガーになっている節があります。
そしてマリアもまた、腕輪による洗脳を施されています。アルティのことを姐さんと親しく呼ぶ辺り、守護者として以上に何か関りがあるとも予測されます。
この時、ティーダのことはティーダとしか呼んでいませんので、関りがあるのはアルティとの間なのでしょう。無論、3巻のようにアルティがマリアを射止めていたからそう呼んでいた可能性もあります。けれどそれならマリアまで洗脳を施す必要は無いんですよね。カナミ君の記憶を好き勝手に忘れさせていたのですから。マリアのことを忘れさせれば良かったのです。

そこまでして偽物の兄妹を作って何をしたいのかっていえば、それはカナミ君に『マリアが妹ではない』と気付かせることだと予測できます。
そしてパリンクロンはニ十層と三十層の試練を受けさせると言っている以上、ニ十層の試練とは、一連の洗脳をカナミ君自身が気付いて看破する、三十層の試練とはローウェンと戦わせることだと思われます。
それぞれ精神的な成長、肉体的な成長が促されます。そうまでしてパリンクロンが得たいものとは、成長したカナミ君そのものなんでしょう。
では成長したカナミ君に何を求めるのかって話になりますけど、結局最深部を目指すことに収束されてしまいます。1000年前にカナミ君が実在したのであろう事実から1000年前のカナミ君に近付けさせたいのかもしれないですね。
4巻において、ローウェンとパリンクロンに会話の機会は恐らく無かったので、『1000年前のカナミ君』を元々パリンクロンは知っていたことになります。
そうじゃないと

「カナミの兄さんが、ただの人間じゃない? そんなことはわかってる。(略)」
(3巻 位置No.4273/4599より引用)

と繋がらないですからね。
異邦人である事実のみなら最初から突きつければいいんですから。

鍵を握るのは恐らく立ち会ったレイルさんなんでしょうね。
ただレイルさんの立ち位置がいまいちわからないんですよね。
カナミ君を助けたいとしつつもパリンクロンに協力的ですし……。
レイルさんも得する『実験』って一体何なんだろうと思ってしまいます。
それこそ『英雄』を作り出すこと、エピックシーカーの存在意義そのもの……くらいしか思い浮かびません。



長いこと脱線しましたが話を戻します。
もしもローウェンとカナミ君が1000年前に元々知り合いだったのだとすると、リーパーとカナミ君も元々知り合いだったことになります。
となるとリーパーがカナミ君と波長が合うような描写があるのも納得です。
というかココまで推理すると、『今いる世界』から見た『元の世界』って何なんだろうって思ってしまいます。それこそ元の世界がカナミ君から見ての異世界転生みたいになっちゃいますからね。

ごちゃごちゃした文章で申し訳ないです。
時間を掛ければもっとシュタッとした綺麗な感想を書けると思うんですが、他にも色々立て込んでいるのでそんなに時間を割けないのです。

さて、上で書きましたがフランリューレ御一行が再登場したのはとても嬉しいです。
でもライナー君が復讐者の道を歩んでしまったのはとても残念です。彼から見たハインさんがそれだけ大きい存在だったってことは明らかですし、カナミ君の言うとおりパリンクロンにまず復讐するのが筋道だと思うんですけどね……。
この再会もイレギュラーだったようですし、燻っていた復讐の炎が再点火したら、それはもう止められませんよねと。相討ち覚悟で挑んできていますもの……あとを考えない攻撃はとても厄介です。『いのちだいじに』ではなく、『ガンガンいこうぜ』ですからね。カナミ君を、ラスティアラを殺せさえすれば彼の目的は成就されるっていう。

怖いのはローウェンがライナー君を連れ去ってしまったこと。
ってことは6巻も十中八九ライナー君の復讐劇は続きます。
カナミ君とローウェンが決勝戦で当たる裏で、ラスティアラ&ディア VS スノウ&ライナー君が展開されるんだろうなーと予想できます。
スノウは揺さぶられていますがまだ心が折れ切ったわけではないですからね……。
諦めないで何か次の手筈を打って来るでしょうきっと。
スノウから見れば二人を殺したいのですから、ライナー君とも利害が一致してしまっていますからね……。



5巻を読んで一番意外だったのは、まさかのカナミ君がボスポジションになったこと。
腕輪壊してめでたしめでたしにはならないだろうなーと思っていましたけど、いやー凄かったです。あの挿絵、カナミ君ゾンビか亡霊かおどろおどろしいアンデットと化していますよ……怖すぎです。
そして激戦を終えてラスティアラがグーをカナミ君に見せる挿絵ですよ。
……あれ? ラスティアラこんなに可愛いの!? っていう。
個人的に異世界迷宮の最深部を目指そうのヒロインレースは、

マリア>スノウ>ラスティアラ>ディア

だったんですけど5巻を読み終えると混戦模様で不等号どうしたらいいのかわからなくなりました。
1巻以降、ディアはどちらかというとヒロインレースから一歩退いた立ち位置だったんですけど、5巻のデートシーン、カナミ君に対する依存性の現れのシーンで返り咲いたというか、2、3巻で沢山出番があったマリアと入れ替わるようにディアのヒロイン力がマシマシになっているんですよね。どっちかっていうとフランと問答しているああいう場面のほうが個人的には好きなんですけど、守りたい、この笑顔というか……よくわかんないや。



さて、カナミ君の記憶は戻りました。
でも『エピックシーカーのアイカワカナミ君』がいなくなるわけではありません。
ジークでもなく、カナミ君でもない、混じり合った第三のカナミ君が誕生したというか。

4巻の行動を散々反省するシーンは大変良かったです。
最善を尽くしているようでそうではないことを自分ツッコミで罵倒しまくるの、凄く良いです。4巻を読み返したくなるような描写です。素晴らしい。
いや実際その通りだろと思っちゃいますよね。特に三十層に落下するところは、かつてティーダやアルティと戦ったことがあるんだから、あれは死にに行くようなものですし。

そして反省してもそれを汲み取り、次に活かす。
関係性が無くなるわけではありません。記憶を取り戻し、先に進むために全て乗り越える……カナミ君が行うのは、ただその一点のみです。

6巻はいよいよ決勝戦、対ローウェン戦です。
記憶が戻ってもリーパー、スノウの問題が残っていますし、積まれたベットは半数近く残っています。カナミ君は運命という名のルーレットを廻し、どういう結果を勝ち取るのか……期待、ですね。

ってことで5巻の感想でした。
4巻は中だるみっていうと少し違うんですけど、特に前半は盛り上がりに欠けるところがあったので、5巻は最初から最後までクライマックスというか、見せ場の連続でとても観ていて気持ち良かったです。というか数日に分けて読むつもりが一晩で読んじゃいましたからね……小説に宿る魔力は恐ろしいのです。

英雄に憧れる者
英雄を目指す者
英雄に縋る者
英雄像を否定したい者


なんかアレですね。第三部は英雄がキーワードになっている節がありますね。



さて6巻の感想ですが少し間が空きます。
先に他の小説で読みたいものがあるので、そっちの感想が多分先になると思います。
多分。まだウチが6巻を買っていないのもあるんですが……6巻の感想はのんびりお待ちくださいです。


1巻が第一部。
2、3巻が第二部。
と見立てると4巻からは第三部ってことになるんでしょうかね。舞台が一新され、ジークの名を棄て、アイカワカナミとしての冒険が幕を上げます。

偽りの平穏。偽りの楽園。
虚飾に覆われた天蓋の下でカナミ君は新たな出会いを紡いでいきます。

先にお断りをさせていただきます。
今回3巻までの確認も含めていくので、今まで以上にネタバレが酷いです。ご注意ください。





異世界迷宮の最深部を目指そう 4 (オーバーラップ文庫)
著:割内タリサ先生
イラスト:鵜飼沙樹先生
今回は異世界迷宮の最深部を目指そうの4巻の感想です。
ネタバレ多いです。ご注意ください。

まず振り返りと確認から進めます。

3巻は壮絶なバッドエンドで幕を閉じました。ジークフリート・ヴィジターとしての命運が尽き、相川渦波――アイカワカナミとして生きることになります。
(すみません。ジークは愛称でフルネームジークフリートでしたね)

さて、カナミ君には強力な洗脳が施されました。
人格は変わらず、しかしほんの少しだけ認識が差し替えられました。

ひと際大きい認識変化は、マリアを妹(カナミ君を兄)として認識していること。
そして一連の出来事は、パリンクロンに助けられたものとして認識していること。

お陰でディアとラスティアラのことは忘れていますし、ジークと偽名を使っていたことも覚えていません。アルティやティーダと戦ったことすら覚えていません。
あと4巻の描写を見る限り、マリアは火を使って方々を認識するスキルを忘れているか思い出せない状態であると思われます。ですので視力を失っている以上、聴力によって周りを認識しています。
ディアのヤンデレ具合が三段階くらいアップしてヒロインヤンデレースを爆走し始めました

さらに舞台はラウヴィアラに移動しています。恐らく聖人ティアラの降誕儀式を台無しにされている以上、カナミ君はフーズヤーズでは懸賞首になっていることでしょう。多分。

この洗脳の面白いというか厄介なところは、洗脳解除をしようと思えば可能である点。ロックは装備している腕輪に掛かっているのが十中八九確定なので、これさえ壊せば恐らくカナミ君とマリアの記憶は戻ります。多数の幸福を犠牲にして。

ラスティアラやディアもまた、カナミ君に洗脳が施されていることに気付きます。気付きますが解除しません。
まだその時が妥当ではないから……が無難な答えじゃないでしょうかね。
パリンクロンは策謀を幾重にも張り巡らせています。この時に解除するのはパリンクロンから見て得の多い展開……という予想も立てることができます。

4巻のカナミ君は実に生き生きしています。平和です。間違いなく幸福です。
マリアから見た4巻は実に幸福だと言えるでしょう。恋人ではなく、兄としてになってしまいましたが、確実に自分の居場所を確保できたのですから。確実に自分が求められる存在になったのですから。
そして添い寝シーンご馳走様でした。相変わらずマリアは嫉妬の炎に燃えています。

偽りの幸福の楽園。記憶が戻るとこれらが全て壊れます。
4巻から新登場する一部の登場人物は、それについて真実を認識しています。
パリンクロンの真意はまだわからず仕舞いですが、他の真実を識る者からすれば、カナミ君とマリアの記憶は善意から、幸福を願っているからこそ解除させたくないわけですね。

4巻はローウェンと出会うまで、出会ってからで展開が大きく二分します。
前半戦はカナミ君がギルド『エピックシーカー』のギルドマスターとして奮闘するお話です。カナミ君は記憶の認識をいじられましたが、『経験値』は残っているわけです。心は覚えていなくても、身体に刻まれた経験という名の記憶までは忘却できないのです。

2巻で登場したスノウ・ウォーカーが再登場し、エピックシーカーのサブギルドマスターとしてカナミ君と協力し合ってギルドを運営していきます。2巻以上にダメ具合が加速します。良いぞもっとやれ!
サブギルドマスターは他にもいますし、彼らの活躍機会も当然あります。

ギルドメンバーは一癖も二癖もある人が多いですが、彼ら彼女らは善性です。
基本的に4巻に出てくる新キャラは、ほぼ全てが『善い人』です。ですのでぬるま湯に包まれているようなふわふわっとした気分で読み進めるのではないでしょうか。

ちなみにウチが特に気に入った新キャラは鍛冶屋のアリバーズさんです。
デザインについて夜を明かしたいです。挿絵があったのがとても嬉しかったです。

3巻までと同じように、次元魔法と氷魔法を駆使して大立ち回りを演じます。3巻までと比べると命の危機に瀕するようなバトルが少ない以上、少々物足りないですけどね……。

後半は三十層の守護者、地の理を盗む者――ローウェンと出会うことで運命の歯車が動き出します。全裸褐色少女という属性盛りすぎ死神リーパーとローウェンは良いコンビというか良い味出しています。何となく脳内ボイス、ローウェンは保志総一朗さんなイメージですハイ。
ローウェンを成仏させるためには一大イベント、舞闘大会(武闘大会でも舞踏大会でもない)を進めていく――ということは、第三部は舞闘大会編……なんでしょうかね。規模というかどれほどバトルを重ねていくかわかりませんが、相応に長いお話になりそうです。

グレン・ウォーカーもいよいよ本格的に物語に絡み始めます。
3巻の頃からそうでしたけど、思っていたのとちょっと違うというか、弱腰の優男だったんだなぁ……と。いや、多分もっと違う一面があるのを期待しています。カナミ君が来るまで先に進んだ者なんですし。



舞闘大会がメインに進みつつ、方々の問題が山積みされていきます。

まず筆頭としてスノウの問題。
スノウの家柄の問題ですね。カナミ君が結婚を受諾するだけでハッピーエンドになりますがそうするわけにはいかないよねと。
カナミ君は真実と向き合うために腕輪を壊す壊さないは別にして、前に進もうとしています。そうするとスノウと結婚するわけにはいかないのです。というかプロポーズがああいうプロポーズなので、その場の流れで受けるわけにもいかないでしょうあれは……。
というかフランちゃんどこいった?

スノウの過去の一片しか語られていない以上、どうしてスノウがやる気を無くしたダウナー系になったのか、まだわかりません。
わかっているのは過去に何度も失敗し、失敗によって失ったものが多すぎたせい……なのはわかります。前フリがある以上、スノウは恐らく過去と向き合う展開が先で待ち受けている……んじゃないでしょうかね。
ケースがケースなのでシッダルク卿との婚約を解消することも、カナミ君と結婚することもしない第三のルートになるだろう予想は付きますけど、そうなると家の問題が一切解消できないです。母君を納得させるだけの新たなカードを用意しないと、きっとスノウは解放されず縛られたままなんだろうなと。

そしてローウェンを成仏させる問題。
ローウェンの反応から見て、同一人物なのか同名の別人なのか同姓同名の転生体なのかわかりませんが、1000年前にも『アイカワカナミ』という次元魔法使いが実在したのであろうことは予想できます。
ならアイカワカナミ君とは一体何者なのか、という問題が浮上します。
単なる同姓同名の別人……ってことは無いでしょう。双方次元魔法使いという共通点がある以上、無関係であるとは到底思えません。
ならカナミ君が『この世界』にやってきたのも大きい意味があるはずです。

つまりパリンクロンがカナミ君に洗脳という名のロックを掛けたように、もっと別の大きい存在もカナミ君にロックを施しているのだと思われます。
そうなると、今のところ一切出てこない妹の陽滝も無関係ではないのかもしれません。
というのは妹の陽滝のことをパリンクロンは認識していたからです。
仮にパリンクロンがカナミ君のように他者のパラメータを見るスキルを持っていたとしても、妹の陽滝を認識することは恐らくできません。ラスティアラができたのは、カナミ君の本名を看破し、異世界から来たという事実までです。

即ち、パリンクロンはもっと別の何らかの方法で、カナミ君の素性を知り得ていたことになります。
パリンクロンもまた、パリンクロンではないもっと別の一面があるに違いありません。
というか流れからするとパリンクロンはラスティアラは『失敗』しましたが、別の誰かの降誕した肉体って考えるのが妥当なんじゃね? って思っちゃいますよ……。

パリンクロンが施した洗脳が解除されるとこうなります。

・マリアとの関係が壊れる
・エピックシーカーのギルドマスターとしての立ち位置が壊れる
・マリアはカナミ君を手に掛けようとした事実を思い出してしまう
・スノウを救うことができなくなる

つまりラウヴィアラで築き上げてきたもの全てが破綻します。破綻すると間違いなく不幸になります。洗脳を解除しなければこれらを全て享受したまま、幸せな余生を過ごすことができます。カナミ君の実力もあって地位もお金も名誉も得ることができるでしょう。
それらを全て棄ててまで、果たしてカナミ君に洗脳を解除する価値があるのか。





あるに決まっているでしょう
カナミ君の第一目的は、元の世界に還ることではありません。
本当の妹である陽滝を守ることです。

認識を変えられ、マリアを妹の陽滝として認識している以上、カナミ君が求めている第一目的は『達成されてしまっています』。
だからこの洗脳を解除するのは容易なようで困難極まりないものになっています。
つまり洗脳を解除するには、まずマリアが妹ではないという認識に戻さなければいけません。

鍵を握るのは夢の世界でリーパーに託した言葉です。
リーパーだけが本当のカナミ君から託された言葉を携えています。

どのタイミングでこの時限爆弾が大爆発するかわかりません。
ローウェンと決着をつける展開も恐らくあるでしょう。
スノウの問題を解決する展開も恐らくあるでしょう。

二巻ラストと同じです。
いくつもの時限爆弾がカウントダウンを始め、今か今かと大爆発の機会を伺っています。

そしてカナミ君に課せられたスキル、『???』。
4巻は一度も発動していません。もしかしたらパリンクロンの手によってこのスキルは喪われているのかもしれません。
ウチは恐らく残っているだろう展開を予想しています。『???』が災厄としてカナミ君に不幸をもたらしたのであれば、今度はカナミ君を希望に導く不幸を与える……そんな気がしてならないのです。
指摘受けたので3巻読み直しました。思いっきり封印されたって表示ありますねorz
一気読みしないと忘れちゃいますね……申し訳ないorz


そしてカナミ君の時限魔法、『ディメンション・決戦演算』が人間離れしてスーパーコンピューターと化してきていよいよチートキャラになってきたなぁと。

ローウェンが言っていたと思いますけど、迷宮は成長を促すためにある……とするなら、今、まさしくカナミ君がそうなっていますよね、と。恐らく今後も右肩上がりでカナミ君強くなるでしょうし、どこまで人間離れしていくやら……。

ってことで4巻感想でした。
4巻は刺激を求める人には退屈な巻で、こういう平穏が好きな人にはたまらない巻になっていたと思います。5巻はいよいよ舞闘大会が開幕するでしょうし、バトルパート目白押しでとても楽しい巻になっている――そう思わずにいられません。


魔法少女育成計画restartは遊園地に例えられるのではないでしょうか。

遊園地で例えると、前編はお化け屋敷と捉えることができます。
来るぞ、来るぞ、来るぞという前フリからの数々の悲劇。
されど謎はひとつも解決されません。空中分解し、放り出さられたまま後編に続きます。

そんな後編は、遊園地で例えるとジェットコースターです。
特に『魔王の城』から物語は核心に迫り、ブレーキが効かない予測不可能な領域に突入していきます。



魔法少女育成計画restart後編(このライトノベルがすごい! 文庫) 
著:遠藤 浅蜊先生
イラスト:マルイノ先生
今回は魔法少女育成計画の3巻の感想です。
ネタバレ多いです。ご注意ください。

魔法少女育成計画と同じくノベル版はkindle版が今現在(2018年5月1日)存在しないので物理書籍で購入することになりますので、そこだけ注意ですね。


電脳デスゲームに巻き込まれた魔法少女は16名。
(すみません前回人数カウント間違えてましたorz)

前編で退場したのは6名です。
ご丁寧に後編のカラー挿絵で『Retire』と表記されています。親切です。
ちなみに前編ラストの2人は『Unknown』、不明扱いになっています。直ぐに死体確認が行われるのですが……中々グロいですね。

さて、前編の感想記事とは違い、今回は最初からネタバレの核心も含めて感想を書いていきます。

まずこの小説、前編も後編もそうですけど、まさか『信頼できない語り手』が仕込まれているとは思いませんでした。推理小説の側面が強かったのです。

この物語は『魔王』を倒せばゲームクリアです。
ところが苦労して魔王城に辿り着いて最奥まで進んだのに、『魔王』がいない。
さらに、

「魔王は留守です。十五人の魔法少女に追われて逃げ回っています。またのお越しをお願いします」
(112Pより引用)

と書かれた情報を入手します。
ゾクッとしました。
予想はしていた展開ではあるのですが、このデスゲームに巻き込まれた魔法少女は全部で十六名。つまり魔王がプレイヤーの中に紛れ込んでいたことが判明します。
プレイヤーサイドがそれに気付くのはもっと後の話です。その前にもっと別の衝撃の事実が明らかになりますからね……。

先に書くと魔王として選ばれた魔法少女のゲームクリアは他の十五名の抹殺です。
別に悪い魔法少女が魔王に選ばれたわけではないのです。ただ、生き残るためには他全員を犠牲にしなければいけません。

じゃあ誰が魔王なの? というお話になります。
展開がまた酷い(誉め言葉)なんですよ。最後三名が広場に集まりますが、この時、魔法少女サイドとして描写があるのがシャドウゲールのみなんですよね。他の二名は魔法少女サイドとして描写が描かれていないのです。嘘ついて読者を騙す地の文が仕込まれていると考えにくいので、消去法でどっちかが魔王って思うわけです。

こうなるとクランテイルは直前の激戦で『敵討ち』をしているので直ぐに候補から外したくなります。そうなると消去法で冷淡なほどに論理的な性格も込みで、プフレが魔王だと推理しちゃうっていうね。

見事に騙されました。それも二重の意味で騙されました。
いやー作者様の掌の上でコロコロ転がされていましたね。AじゃないならBが犯人。Bが犯人じゃないならCが犯人。Cじゃないなら犯人は……A!?
といった具合に。思考停止したわけではないのですが、その可能性は考えてなかったわ……となりました。
何より広場に移動(ワープ)したのは、『生き残った魔法少女三名のみ』。
カラクリがわかった瞬間、凄まじい快感が全身を流れましたね。凄いのです。

では『信頼できない語り手』とは何なのかというと、魔法少女サイドとして描かれているあるキャラクター。描写『されない』地の文が仕込まれています。
つまり魔王であることを隠し、他の魔法少女を抹殺するための『仕込み』の描写が一切ないんですね。
でも誰が魔王なのかわかったあと、何故描写が無かったのかも納得できる答えが示されます。これはこの魔法少女育成計画restartだからこそできた一回限りの大技だと思いました。凄いトリックなのです。





魔王関連のことはあとに置いといて、他の感想を書いていきます。

まずペチカチーム。
前編では誰も退場しない、それは理想的な展開になっていました。

リオネッタと御世方那子は相変わらず口喧嘩を続けますが、決まり文句というかお約束の展開のようでなんだか微笑ましかったです。まさかこれすら伏線とは誰が予想できますでしょうか(滝汗

寡黙なクランテイル、頑張り屋のペチカ、お喋りでカタコト(例えると遊戯王のペガサス・J・クロフォードみたいな喋り方)の御世方那子、お嬢様口調で皮肉屋のリオネッタ。役割分担ができていてペチカのグループは出てくるだけで癒されました。ですが前編は前編、後編は後編。やはりペチカチームも逃れることはできません。

悲劇が加速する前、魔王城でペチカの料理を生き残った魔法少女全員に振る舞う場面があります。この時、生き残っている魔法少女は全部で10名(つまり後編はココまでの時点で退場者ゼロ)。残り約160ページで7人もの魔法少女が退場するんですから後編は苛烈なジェットコースターです。
ちなみにこの挿絵、御世方那子が一見すると映っていないように見えますが、ちゃんと右上の端のほうに映っています。よく本を見開かないとわかりにくいですが……。

『最後』の癒される場面でしたね。
ここを皮切りに空気が一変してしまうのですから……。

一瞬ですよね。リオネッタと御世方那子に対して起こった出来事は。
順風満帆のように見えて、実は器に入った悲劇という名の水が満杯状態がずっと続いていたのです。そしてそれは溢れてしまった……こうなると全てが止まりません。

リオネッタの表と裏はそれはもう凄かったです。
でもそれ以上に凄かったのはリオネッタ自身に隠された秘密。
てっきりあの場面で死んだと思いましたからね。だからあそこからの逆転劇はそれはもう盛り上がりました。けれど絶命させるには至らなかった。
ラピス・ラズリーヌもペチカもそうですが、命を賭けた一撃は確かにダメージを与え、あるいは次に繋がるんですが、それでも絶命させるには至らない。届かないんです。
それだけ『黒幕』が強いことの現れなんですが、もう見ていて辛かったです。
余談ですがリオネッタの最期の少し手前、あの場面は挿絵欲しかったというか見たかったですね。一体どんなリオネッタなんだろうって思っちゃいます。
コミックス版見ろよって話で終わっちゃうんですけどね。

ペチカは前編の序盤から後編の終盤までしっかりと描写があっただけに、退場するとは思いませんでした。生き残れると思っていました。
でもダメですよね。『記憶』が戻った時点で世界が破綻してしまっているのですから。ペチカの恋物語も終幕が与えられてしまったのですから……。
しかし二宮君に惹かれた理由も、『魔法少女育成計画』ならではというか。

「それじゃあ、またね」
(153Pより引用)

読み返すとフラグだよなぁ……死亡フラグという名のフラグだよなぁと思わざるを得ません。ひたむきで健気で、頑張り屋で、最後の最期まで命を賭して頑張って……。
ペチカの魔法は『5分間素手で触れ続けたものを料理に変える』魔法です。
だから戦闘向きでは無かったわけです。戦闘中に5分間触れ続けることは無茶な話です。
でも成功した。ギリギリの瀬戸際で起死回生の一手を打つことができました。
結果的にペチカは退場してしまいますが、ペチカがいたからこそ黒幕を裁くことができたのは言うまでも無い事実です。戦わない魔法少女が弱いとは決して限らないのです。精神性において、確かにペチカは強者だったのです。
友達を守れなかった過去(むかし)、友達を守れた現在(いま)。
後悔を力に変えて、力を勇気に変えて、勇気を希望に変えて、希望という名の命のバトンタッチで……。

クランテイルは終始寡黙ですが固有魔法の下半身を別の生き物に変えることができることにより、言葉に出さずとも心がしっかり描写されているのがとても良かったです。
戦闘に特化した魔法だけあって戦闘場面で活躍する機会は多いです。特に黒幕との激戦は
ペチカの活躍もあって手に汗握る展開がずっと続きます。
個人的にクランテイルはリオネッタと御世方那子の二人が主張し過ぎて影に隠れ、地味なキャラだなーと思っていました。確かに戦闘方面はその特徴ある固有魔法のお陰で主張力があるのですが、非戦闘時は影に隠れ続けているというか……。
それだけに最終決戦は凄かったです。
まさかアレに変身するとは思いませんでした。予想の外を常に用意してくる人ですよね。作者様は……restartは特に後編、読んでいてコロコロ転がされていたんだなぁと膝を打ち続けました。



次にのっこちゃんチーム。

まず夢ノ島ジェノサイ子。
前編でアカネに斬り殺されたはずなのに、どうして死体は消えたのか。再び登場できたのか、@娘々とのラストは一体何だったのかという盛大な謎が残されていました。
全ての謎が解き明かされるのが後編です。
魔法少女育成計画restartが複雑怪奇なことになっているのは、魔王、黒幕、黒幕の協力者と3人の魔法少女がそれぞれ別々に暗躍しています。
だから単独犯で推理してしまうと永遠に答えに辿り着けません。
夢ノ島ジェノサイ子に関してもそう。夢ノ島ジェノサイ子の死体が消えた謎、再び登場できた謎はそれぞれ切り離して考えないと答えに辿り着けません。
……はい、わかりませんでした。そういうことだったのかーと項垂れちゃいましたね。

次にのっこちゃん。
いや、もう凄い魔法少女ですよね。
小学生に何過酷な運命背負わしているのって思ってしまいますよ……。
さらに辛いのはのっこちゃん自身はとても良い子であること。そして自分を騙してもそれもまた自分自身が描いた思いであること。
魔法少女育成計画って精神操作系の魔法が滅法強いんですよね。のっこちゃんの固有魔法はふわふわっとしていてあまり強いイメージを抱きにくいんですけど、まさか全ての因果に繋がってくるとは……読者すら騙す名演技ですよね。ホントに……。
特に終盤にかけてのアレは凄いですよね。
そのまま受け取ってしまって完全に候補から外れていましたから。候補に戻すことすら難しいワープの特性も相まって推理できる人どれくらいいるんだって思ってしまいます。
そして最後の最後、エピローグ。
のっこちゃんがいかに強い魔法少女だったのかが描かれていますよね。
物理的ではなく精神的な強さ。あの場面であの選択を取れるのは尋常じゃない精神力のはずですから……。

次に@娘々とマジカルデイジー。
惜しくも前編で退場した二人ですが、後編を読み進めて『記憶』の描写で評価が変わるんじゃないかなーと。
特にマジカルデイジーはアニメにもなった魔法少女ですし、その手前では……って考えると辛いですね。記憶を改ざんして失っていたからアレですけど、もしも生き残った上で真実を知ったら……って思うと胸が痛みます。



次にディテック・ベルチーム。

まずラピス・ラズリーヌ。
前編と後編で一番印象が変わった魔法少女です。
オフ(現実世界)でディティック・ベルと邂逅するあの場面は二人の印象がかなり変わりました。
それだけにまさかラピス・ラズリーヌがあんなに強い魔法少女だとは思わなかったです。
黒幕との激戦は一秒一秒が克明に描かれた見応え抜群のバトルになっています。
宝石使ってテレポートするのがラピス・ラズリーヌの固有魔法ですが、戦闘に特化させるとあんなことができるんだなーと。多分誰しもが考えて、そして途中で考えるのを止めちゃうんじゃないでしょうかね。
できるけどそういう展開は多分無いんじゃないかなー的な……。

ラピス・ラズリーヌとディティック・ベルの絡みはもっと見たかったですね……。

ディティック・ベルは最後まで生き残ると思ったら中盤で退場してしまって残念です。
探偵の魔法少女だからこそ、真相パートで犯人を突き止める展開を期待していたんですけどね……。
でもディティックベルがいなかったら『事件』は闇に葬り去られていましたよね。
固有魔法が電脳ゲーム世界だと使いにくいことこの上なしでしたけど、それでも死ぬ間際にやっと役に立ったというか。
オフの話が色濃く描かれていた魔法少女でしたし、生き残って欲しかったです。
(別にディティック・ベルらに限った話じゃないですけど)

メルヴィルは、まさかあそこまで強い魔法少女とは思いませんでした。
固有魔法に加え、戦闘のセンスが凄いですよね。土壇場で起死回生の一手を常に考え実行していく、まさに勝利を目指すキャラというか。
前編と後編でかなり印象が変わった魔法少女でもあります。
訛り言葉の陰に隠れて立ち回り役回りが一変するというか。
前編読むととても模範的というか中立的に長期を見据える才女だなーって印象があるんですよね。あれ全部嘘だったのかよとorzlll
いや確かに正しいですよ。
正しいですけど後編読むと「アンタがそれ言うのか」ってなっちゃうわけです。
そして数々の伏線がメルヴィルを中心に収束していくので、終盤は読むのが止められない止まらないっていう。最後の最後まで足掻いた魔法少女ですよね。死ぬ間際まで勝つことを諦めていませんでしたし……。
仮にあの終盤戦を生き残れた場合、一体どういう展開を迎えたのかなーというのは少し気になります。どっちが果たして生き残るんだ的な……ね。

そして唯一わからなかったのが、どうしてチェルナーはメルヴィルに懐いたのかと。
episodesも読み進めた場合、もっと別の魔法少女に懐くんじゃないのって思っちゃうんですよね。うーん……。



次にプフレチーム。

まずウチは読み進めていくうちに、プフレが魔王なのだと予想して読み進めていました。
どちらかというとメタ的な推理ですね。シャドウゲールは地の文の描写がありますし、クランテイルはペチカの敵討ちで熱い描写が描かれているので、もし魔王なら前提が破綻するだろうと思いました。
そうなるとプフレが消去法で魔王候補になるわけです。
シャドウゲールとプフレの二人が最後まで生き残り、シャドウゲールを活かすために自決して終幕する……と思いました。
けれど真実は違いました。プフレもシャドウゲールも魔王では無かったのです。
探偵魔法少女のディティック・ベルの代わりに、プフレはこの『事件』の数々のトリックを暴いていきます。
それだけではありません。魔王が誰なのか突き止めたのもまたプフレです。
末恐ろしい実力ですよね。魔改造車椅子が固有魔法ですけど、その実、凄まじいまでの頭の回転力こそがプフレの強さと言えます。
考えても勝てない可能性は即座に切り捨て、勝てる可能性から最善を尽くす。
一見すると意味が無さそうなガチャですら利用し、勝利のためのピースにする。
そんなプフレですが常にシャドウゲールが中心になった考えが構築されています。
シャドウゲールの妨げになるものは全て排除し、シャドウゲールが生き残れる最善の可能性を模索する。『記憶』の復活で暴かれた真実もそう。二者択一の究極の選択において、1%でも生き残れる可能性を上げるために非情な選択を決断した――ですし。
でもそんな彼女にも良心というか、怒りのような感情もありますよね。マスクド・ワンダーが殺された時がまさにそれです。表には出ない怒り。
ラピス・ラズリーヌというイレギュラーに驚き、交渉用のカードとして『運営』と交渉をする時はプフレの生の声のようなものが垣間見えていると思います。
プフレが目立つ分だけシャドウゲールが常識的な苦労人ポジションとして描かれていますけど、内心プフレのことを滅茶苦茶に言っているので、単なる主従関係を越えた良い間柄だなーと。応用が効きすぎる魔法なので今後登場しますよねと。いや……再登場するの某所で観ちゃったので実は知ってましたハイ(滝汗&全部ぶち壊し



最後にキーク&スノーホワイト。

キークには殺意と憎悪しか抱けないです。
サイドストーリー読むと印象変わるらしいのですが、読むのはもうちょっと後でしょうかね……。
兎に角、キークは善性で全て行っているのが厄介です。
独りよがりで独善的で結果のために全て犠牲にするというか。
さらに性格悪いなーと思うのは、必ず逃げ道を用意している点。逃げ道に気付かなかったのが悪いって言い切れちゃいますからね。見方変えると正しいって見ることができるのがまたもう……。
そんなキークですがラストは溜飲が下がったのかというと、個人的には下がりませんでした。むしろ後味の悪さが三割増しになったというか因果というか。
この物語って最初から最後まで救いが無いなって思うのです。誰も幸せになっていない。
別にハッピーエンドを望んでいるわけではありません。けれどそれ相応に納得できる後味の良さは欲しくなるのです。特にラピス・ラズリーヌに罪無いだろと。
キークから見た模範的な魔法少女、スノーホワイトを前にして一分もブレることが無かった……のがキークの良いところなんでしょうかね。職人肌というかブレるなら最初からあんなことをするなよで帰結しますし。
スノーホワイトから見ても後味の悪い事件でしょうね。因果は巡るというかなんというか……。





ここからは黒幕・魔王関連について感想書いていきます。

魔王と黒幕が別々なのが厄介ですよね。
そして魔王は実は最初から最後までプレイヤーサイドに干渉し続けていたのが恐ろしいっていう。リオネットと御世方那子が口論し続けていたのも干渉のひとつだったっていう。
そういう意味ではキークが魔王として選定した魔法少女は最適の選択だったわけです。
ただこれで魔王がもしプフレだったら上で書いたとおり、最後シャドウゲールを生き残されて自決しただろうなーと思っちゃいます。魔王に選ばれても魔王に選ばれた部分以外は元のままなんですし。

今回召集された魔法少女。
ラピス・ラズリーヌ以外は全員クラムベリーの選抜試験をクリアした者、というのは絶句モノですよね。だからアカネが「音楽家か?」と聞いて回ったのも腑に落ちましたし、そうだと答えた瞬間、ジェノサイ子が斬り殺されたのも納得せざるを得ないっていう。
どうしてアカネがクラムベリーに復讐したいのかはサイドストーリーを読めば容易に想像できます。直接の描写が無いのが恐ろしい……というかなまじギャグで描かれていただけにきつすぎです。笑顔の先に待ち受けているのは絶望の荒野しか存在できないっていう。
戦える魔法少女が生き残れたケースよりも、戦えない魔法少女が生き残ったケースのほうが、彼女たちが受けた精神ダメージはそれはもう計り知れないものでしょう。
シャドウゲールが記憶が戻った瞬間、嘔吐したのがその証。思い出したくもない記憶でしょうあれは。特にシャドウゲールは悲劇も悲劇、大悲劇です。プフレが血に染めるあの光景を見ているのですから……。
そしてラピス・ラズリーヌが二代目だからクラムベリーのことを知らない、ということは先代ラピス・ラズリーヌはクラムベリーの試験をクリアした、ということですか。今後読み進めていけばその辺も語られていくんでしょうかね……見たいような見たくないような……。

ちなみにクランテイルですが今web連載されている小説、魔法少女育成計画breakdownにも確か登場していましたっけね。まだあまり読んでいませんけど、limitedを読み終えた辺りで読み始めようかなーとか考えています。

黒幕はメルヴィルだったわけですが、メルヴィルが何をやったのか挙げていくと多岐に渡り過ぎてメルヴィルが魔王じゃないとわかった時、ちょっと混乱しました。
残りページ数を考えるとそうなっちゃうのは本ならではの悲しいサガ。でもメルヴィルが退場してからが真骨頂というか加速の付き方が二段階くらい上がるというか。
メルヴィルが退場した時点で生き残っているのは、プフレ、シャドウゲール、クランテイルの三名。でもこの三名の中に魔王がいないってのは中々考えにくかったです。
よく考えれば古典的なトリックと言えるんですけど、死体が出ればそりゃ死んでいるって思っちゃいますよね……最初から最後まで裏で糸を張り巡らせて、その上で自分が疑われない一手を常に打っているっていう……魔王の正体は是非とも本編を読んでビックリして欲しいのです。切なさも抱けるラストになっていますよ……。



ってことで魔法少女育成計画restart後編の感想でした。
restartは間違いなく名作だと思いますし、まほいくはrestartからが真骨頂と言えると思います。スノーホワイトが成長してどういう戦術取るようになったのかも書かれていますからね。アニメを観てスノーホワイトに惹かれた人は是非とも購入すると良いのです。


Q. 魔法少女育成計画restartってどんなお話?
A. 魔法少女育成計画+.hack+金田一少年の事件簿(もしくは名探偵コナン)

って書くと相当な語弊がありますが、多分興味持つんじゃないでしょうか。
それぞれの要素が絶妙なバランスで混ざり合い、他に類を見ない凄まじい小説に仕上がっています。読み始めてある程度まで進むと、気になり過ぎて最後まで読んでしまう――そんな小説がまほいくシリーズ第2巻です。

ちなみに.hackをチョイスしてSAOを選ばなかったのは群像劇だからですハイ。
キリト君に該当できるポジがいませんし(プフレがらしいっちゃらしいですが戦わない魔法少女ですし)。



魔法少女育成計画restart前編(このライトノベルがすごい! 文庫) 
著:遠藤 浅蜊先生
イラスト:マルイノ先生
今回は魔法少女育成計画の2巻の感想です。
ネタバレ多いです。ご注意ください。
今回の記事は前半は解説寄り、後半が感想メインです。特に後半ネタバレが酷いです。

魔法少女育成計画と同じくノベル版はkindle版が今現在(2018年5月2日)存在しないので物理書籍で購入することになりますので、そこだけ注意ですね。



さて、1巻から舞台は一新され、新たなフィールドで魔法少女同士が戦い合う――と思ったら全く異なる展開。バトルロワイヤルから電脳デスゲーム系になります。

restartは最初から『黒幕』がわかっています。
キークという魔法少女が電脳ゲーム世界を作ってしまい、そこに16人の魔法少女を閉じ込めたことで悲劇の幕開けとなります。

今回の魔法少女は前回と違い、最初から試験を合格した現役で活躍する魔法少女です。
つまり自分の固有魔法の強さ・限界を把握しています。さらに一部例外を除いて協調性があり、クリアを目指して手を取り合っていきます。

restartに込められた意味は後編になると真意がわかるのですが、あるルールに従って集められたのが、今回デスゲームを繰り広げる16人の魔法少女です。
restart――つまり何らかの理由で『やり直す』。再試験を行うためにデスゲームを行うことになります。

戦闘能力に特化した魔法を持つ魔法少女もいれば、情報収集に特化した魔法を持つ魔法少女もいます。能力的にどちらにも属せない、一見するとどうやって活躍するんだろうという魔法少女もいます。

例えば主人公格のペチカは『とても美味しい料理を作れる』という固有魔法を持っています。前編の表紙絵の女の子ですね。ペチカの視点でお話が展開する場面は沢山あります。
魔法少女育成計画シリーズのカラーページで紹介される魔法少女コーナーは、どちらかというと固有魔法が過小申告されています。
ペチカの場合、触れた物を美味しい料理に変えることができます。厳密にはもう少しルールが追加されるんですけど、説明には十分でしょ。

こう書くと、一体ペチカはどうやって活躍するんだろ、と思うのではないでしょうか。
魔法少女は変身している間、飲まず食わず眠らずで活躍し続けることができます。解除しない限り、料理に頼る必要性は一見すると無いんですよね。
ところが巻き込まれた電脳デスゲームでは空腹の概念があります。
飢えは辛いです。ペチカの料理を作る魔法は、『役立たず』であるペチカに活躍の場を与えます。ペチカの『チーム』は特にほんわかする組み合わせなので必見なのです。


少し脱線しました。本筋に戻します。
1巻と違い、restartで活躍する魔法少女はそれぞれ現役で活躍する魔法少女です。
『魔法の国』から正式な魔法少女として認められ、悪をくじき、弱きを助けます。

さて、ここで問題になるのが魔法少女は果たして『職業』として認められるのか、という点です。これに関しては次シリーズのlimitedのほうがより詳しく書かれるのですが、restartの序盤、マジカルデイジーのパートで生々しく説明があるのでご覧になると良いのです。……魔法少女に夢も希望も無いじゃないかと思うこと安請け合いです。


デスゲームもかなり凝った趣向が用意されています。
普通のデスゲーム系は閉鎖空間なり電脳空間なり閉じ込められると、クリアするまで脱出できないのが定石です。脱出されたらデスゲームの根底が崩れちゃいますからね。

ところが魔法少女育成計画restartのデスゲームは一味違います。なんと脱出できます。
正確には現実世界に帰還することができます。

どういうことか書くと、現実世界で3日間とゲーム内世界で3日間(現実世界だと一瞬)を交互に繰り返すことになります。

ゲーム内で死ぬとリアルの身体も死にます。

ただし、例えばゲーム内世界で首チョンパされてもリアルの身体に起こるのは心臓麻痺による突然死ですので、そういう意味では『綺麗な死体』となる今シリーズは『救い』があるのかもしれません。巻き込まれた側は溜まったものじゃないですけど。

では現実世界とゲーム内世界を交互に繰り返すと、一体どういうメリットがあるのでしょうか。それは登場人物のひとり、探偵系魔法少女ディティック・ベルが現実世界だからできるあることを証明します。現実世界に還ってくるパートがあることにより、より物語に深みが、厚みが増す展開になっています。

デスゲームはゲームクリアすることで終わらせることができます。
ゲームクリアとは立ちはだかる『魔王』を倒せばゲームクリア扱いになります。
無論、そんな簡単な話ではなく、立ちはだかる敵モンスターのせいで斃れる魔法少女も数名出現します。
最初に退場する魔法少女はフラグが立っていたとはいえ、そんな序盤では死なないだろうと思っていただけにビックリしました。キャラが立つと死亡フラグなんでしょうかこのシリーズは。

ちなみにデスゲームに巻き込まれるだけだと相当な理不尽ですが、様々な『条件を満たす(クエスト)』を行うことで該当するだけの『賞金』をゲットすることができます。それとは別に参加するだけで賞金が貰えます。
実際賞金が振り込まれた描写もありますので、賞金のためにやる気が増す魔法少女も出てきます。キークが独断で行っているので、キークはお金持ちなんでしょう。きっとね。

別に魔法少女たちはゲームに参加したくてゲームをしているわけではありません。
いきなり巻き込まれた形になるので、当然ながらゲームマスターに反旗を翻すんですけど神の上の存在、どうにもできないので渋々ゲームクリアを目指します。

そうなるとソロよりもチーム(パーティ)を組むほうが方々で都合が良くなります。
ただし全員一緒というわけにもいきません。
これは二番目に脱落した魔法少女が発生したことで顕著な展開になります。
敵はモンスターだけでなく、味方であるはずの同士、魔法少女の中にもいることが確定してしまうのですから。ただし犯人は誰なのかわかりません。自然とチームとチームの間で距離がとられていきます。

魔法少女同士数名でチームを組み合う関係上、チームごとに空気感が生まれます。
マジカルデイジーチーム、ペチカチーム、プフレチーム、ディテック・ベルチーム。そしてソロで活動するアカネですね。アカネは別としてそれぞれの4チーム、ほんわかする描写が沢山ありますのできっと読んだ人は癒されるに違いありません。

先に断りをいれると、ソロで活動しているアカネの魅力はサイドストーリー集、episodesに収録されているので、本編だけ読んでアカネを「何こいつ」って思われた方は是非読んで欲しいです。アカネのイメージが180度変わること間違いなしですので。
(と同時にrestartとセットで、なんて残酷なシナリオを作者様は思いついたんだってと思ってしまうでしょうね……)


冒頭で、

Q. 魔法少女育成計画restartってどんなお話?
A. 魔法少女育成計画+.hack+金田一少年の事件簿(もしくは名探偵コナン)

と書きました。

電脳ゲーム世界を冒険し、ゲームクリアを目指す.hack的な面白さ。
味方の魔法少女を殺していく『真犯人』を調べる金田一少年の事件簿的な面白さ。

この2つの融合具合が凄いのです。

中後半、とても大きな謎が発生します。
端的に書くと登場人物の一人がみんなの目の前で『殺されます』。
ところが誰がどうやって殺したのかわからないんですね。一見すると全員監視下で正しい手順をしているように見えるので、誰にも殺せない……『不可能犯罪』というやつです。

この、『真犯人』が『どうやって』殺したのかというトリック的な面白さですね。魔法少女だからって何でもできるわけではありません。固有魔法がどこまで作用するか推理し、何が裏で行われたのかじっくりと解き進めていけば、きっと後編の『答え合わせ』はより面白く感じることができるでしょう。

というかウチ個人は推理漫画、推理小説が好きなんですけど、推理劇方面で魔法少女育成計画restartをお勧めしたくなるんですよね。
後編で暴かれる怒涛の答え合わせは膝を打つこと間違いなしだと思いますので。加速の付き方が1巻の非じゃないくらい尋常じゃないんですよね。
「それ伏線だったのかよ!」とか、「それで○○が××だったのかっ!」的にドーパミンがドバドバですよ。魔法少女同士によるバトル以外でも楽しめたのは予想外の収穫過ぎました。


最後にゲームマスターサイドでもお話が展開されるのがrestartの面白さです。
ゲームマスターであるキークは、ある理由で魔法少女たちを集めてゲームに強制参加させました。これは再試験の意味合いが非常に大きいです。

ではキークから見た模範的な魔法少女も当然いるわけです。そんなキークから見た模範的な魔法少女が、1巻で生き残ったスノーホワイトなんですね。

1巻の段階だと右往左往して終始戦闘方面的な活躍の場は無く、ほとんどが犠牲になっていく魔法少女たちに対して悲しみを抱き、涙を浮かべ、心が打ちのめされていきました。

そんなスノーホワイトですが、1巻とrestartの間で修業します。
修業はスノーホワイト育成計画で描かれているので、気になるって方は前回記事をご覧になると良いです。
そんな修行を終え、スノーホワイトは大幅にパワーアップして帰ってきました。

スノーホワイトの固有魔法は、『困っている相手の心の声が聞こえる』です。
一般的なテレパスと違い、相手が困っていないと心の声が聞こえないのでとても条件が限定されます。
これが『相手の声が聞こえる』だけだとどうなるのかというのは、スノーホワイト育成計画で描かれています。テレパスが登場するサブカルではよくあるアレなことになります。怖すぎでしょ……。

さて、修行を終えてスノーホワイトがどうなったのかというと、心身共にパワーアップします。身体方面は使えるものは何でも使う、たとえが悪いですが泥臭さを身に着けます。
問題は魔法方面。『困っている相手の心の声が聞こえる』の本質的な部分は変わらずに、全く違う進化を果たしてとんでもないことになります。
心を持たないとか本質的に心を読まれない限りはスノーホワイトがチートキャラと化してしまった、と思う人も出てくるかもしれませんねあれは……。

そんなスノーホワイトがrestartでも登場します。
駆け引きの強さも強くなったスノーホワイトの活躍も、是非ご覧になって楽しむと良いと思います。メインで活躍するのは後編ですが、前編でも強くなったスノーホワイトを目にすることができますので。





ここまではどちらかというと世界観に対する説明を中心に書かせていただきました。
それではここよりrestart前編の感想を書いていきたいと思います。
感想という名の殴り書きです。まとまっていないのでご注意ください。


まずマジカルデイジー。
魔法少女ってあんなにわびしい生活になるのかと頭が痛くなりました。
そりゃ魔法少女として活動している時間は、全てリアルの生活が犠牲になっていますものね。他の職業を兼任しつつ魔法少女も並行して行う敷居の高さを垣間見えました。

そしてマジカルデイジーの固有魔法の凶悪さは笑いました。
あれですよね。分子分解の殺人光線打ち出すってことですよね。致死性が高すぎて早い段階で退場するだろうなと思ったら本当に最初の退場者で唖然としました。
それも誰かに殺されるんじゃなくて事実上の自殺(事故)ですからね……このデスゲームはヤバいと思いました。


別の意味でヤバいと思ったのは、上で書いた死体はあくまで突然死のみに留まること。
電脳ゲーム世界でダメージを受けても現実にフィードバックしない(するのは死んだ時のみ。心臓麻痺として処理)のは現実なのに現実ではない(ある意味では事実ですが……)的な意味で恐ろしさがにじみ出るだろうなーと思いました。

それを調べて突き止めるディテック・ベルも良い味出しています。
ディティック・ベルが調べて突き止めなければ、死が現実にフィードバックすることに対する確証性が無かった=ファルの発言に真実味が出なかったですものね。


ファヴとファルって同型の電子妖精ですけど、ファヴの前例があるだけにファルに対してはどこまで信用していいのか常に不信感を持って小説を読み進めていました。
表層と深層って違いますし、着飾っていても実は裏では……なんてこともあり得ますし。
キークが暗躍しつつも実はファルが真の黒幕だったーなんて展開も予想しちゃいます。

けれど読み進めれば読み進めるほど、ファルがファヴと違って魔法少女たちを助けよう助けようと善処しているのが伝わってくるんですよね。じゃあ信じていいのか、信じ切っていいのか、背中を見せた途端に本性出すんじゃないかって警戒しちゃうっていう。
語尾がなまじ同じなだけに……ですね。

ロボット三原則ってありますけど、キークの魔法によって強化された電子妖精だからこそファルは叛逆できる余地がありましたよね。これが半端だったらファルはあそこまでギリギリの言葉を出すことはできなかったんでしょうね。


次にペチカチーム。
後編を最後まで読むと印象がかなり変わると思います。表層はあくまで表層というか。
別に悪い意味じゃないんですよ。良い意味なんですよ。良い意味で騙されたーというか。後編読むと前編読み返したくなるパーティというか。

役立たずの烙印を押されたペチカが奮闘して信頼を掴み、ペチカが中心になっていく過程は実に良かったです。その分リーダーであるクランティルの影が薄くなっている気がしますが、後編で一気に花が咲くので前編だけだと少々淡泊というか。
クランティルの魔法は応用というか妄想するのが楽しいのです。何と組み合わせれば何ができるんだろうー的な……ね。

御世方那子は読み返すと地味に伏線が張られていて、

 御世方那子には、とても可愛い「たまちゃん」というお友達がいて、しかしゲーム内に連れてくることは叶わなかった。ファルに聞いたところ、魔法少女の武器とコスチュームくらいしかゲームに持ち込めないのだという。
(83Pより引用)

こんなところに伏線張っていたのかっていう。
どの辺が伏線なのかはrestartだけでは読み解けないのが末恐ろしいですね。確かに別のところで伏線あったんですけど、まさかここに繋がってくるとは……。

御世方那子とリオネッタが頻繁に揉めるシーンが好きです。
好きなんですけどこれまた後編読むと印象が変わってしまうっていう。ほのぼのとしたシーンにすら伏線張られていて、怒涛の勢いで回収される伏線のお陰で前編で書ける感想って結局後編を読み終えてしまうと断片的になってしまうではないかっていうね。

なお、リオネッタですが人形の外見はマジカルアンドロイドという前例があっただけに油断していました。何のことかは後編に書きますね。気持ちの良い騙されたーでした。お嬢様口調で漢字名なのにカタコト日本語な御世方那子と会話相性良いなーとか色々書きたいんですが上手くまとまりそうにないので止めておきます。
ただ、のっこちゃんは別格として癒された一角を担っていたのは、間違いなくこの二人だと断言します。

ペチカはっていうと電脳ゲームパートよりも、リアルパートのほうがやはり印象に残ります。魔法少女は魔法少女であることをバレてはいけないというルールがありますが、バレなければリアルで誰しもに見られる活動が可能であるという観点を最大限に利用したキャラだと思いますし。

その上でやはりペチカも前編と後編で一気に印象変わっちゃうっていう。前編で生き残ったキャラ、生き残れなかったキャラ。結局全員印象が丸ごと変わってしまうのがrestartの恐ろしさですね。あーもう前編と後編をセットの感想記事にしておけば良かったですね全くorzlll


次にラピス・ラズリーヌとマスクド・ワンダー。

はいはいはーい。魔法少女育成計画restartで好きなツートップです。
どの辺が? そりゃあもう、ポーズ取り合うあの場面で一気に惹き込まれました。

しかもラピス・ラズリーヌはあの清楚正統派っぽい見た目で「~っす」ってキャラですからね。ギャップ萌えってヤツですよ。前編だけだと頭ゆるい子っぽく見えるのがアレですが、東北っぽい訛りを喋るメルヴィルの翻訳できていますからね。この時点で才女の才覚が現れているわけです。それだけに後編で一気に化けるのは魅了されること間違いなしですよ……。

マスクド・ワンダーは強烈な決め台詞があります。

「我が名はマスクド・ワンダー! 力ある正義の体現者『魔法少女』!」

これだけで優勝です。初見時盛大に吹きました。
それだけにクセに残るんですよね。作者様のセンス大爆発です(誉め言葉)。

あとepisodesを読まないとわかんないんですけど、意外なところで他魔法少女と繋がりがあったことがわかったりと後になってより良い味が出るタイプです。
それだけにあんなに早く退場するとは思いませんでした。何気に魔法のポテンシャル☆5と世界を変えかねない力の持ち主なので、悪用すればそれはもう凄いことになったんだろうなーと……。


次にディティック・ベル。
探偵と魔法少女という面白い組み合わせだと思いました。
その上でこの小説になくてはならないキャラだと思います。ディティック・ベルがいたからこそ、このデスゲームをクリアできたのだと思いますし。

後編のお話になってしまいますがラピス・ラズリーヌとの絡みが好きです。
大好きといっても過言ではないです。前編では推理に主軸を置いている反面、主張力は抑え気味な印象があるんですけど、後半のある場面で一気に魅力が開花したというか。

そしてシャドウゲールに負けない苦労人ポジションに見えました。
一見するとまとめ役として最適なようで、イロモノ揃いの他メンバーをまとめるのは荷が重すぎたというか……。


次にプフレとシャドウゲール。
シャドウゲールは後編の表紙絵に抜擢されているとおり、このデスゲームをクリアする超重要な要になった魔法少女です。
そしてシャドウゲールはプフレとセットで電脳ゲームパートもリアルパートも大活躍するっていう美味しいポジです。

ちなみにシャドウゲールの名前を見て、真っ先にシャドウグールと見間違えたのは秘密です。(遊戯王参照)

シャドウゲールは振り回されている苦労人ポジがにじみ出てているんですけど、全幅の信頼をプフレに捧げているのがよくわかる上で割と身も蓋もなく滅茶苦茶に貶しているのが良いなーと。嫌っているわけではなく、信頼しているからこそ遠慮が無い発言をしているというか。

プフレも同じ。でもどっちかっていうと、プフレは底が見えない恐ろしさのほうがありますよね。冷淡ってわけでは決してないんですけど、研ぎ澄まされた刃の先端というか、一にも二にも十にも論理的思考の極地というか。勝ちに貪欲というか。
布石をどんどん打っていてやはり後編で回収されるっていう。特に一見すると無意味そうな『ガチャ』が実は重大なカギを握っているとは夢にも思いませんでしたよ……明かされるのは後編なのでその時に詳しく感想書きます。

あとプフレは『猛スピードで走る車椅子を使うよ』というカラーイラストの説明を見て、てっきり足が不自由な魔法少女なのかと思っちゃいましたです。普通に歩けるじゃんっていう。
その上でシャドウゲールとの相性の良さは凄まじいですね。車椅子の概念がどこかに吹っ飛んでいきましたですよ……。


次に夢ノ島ジェノサイ子。
ムードメーカーですよね。立ち回りがとてもステキでオタク知識も相まってマジカルデイジーらとの会話がとても微笑ましかったです。

さてこの魔法少女は固有魔法がとても強烈で、1巻のハードゴアアリス並みにどうやって退場するんだろって気になっていたキャラです。
……相性が悪すぎましたね。無敵に近い防御でもどうしようもない攻撃もあるというか……無念としか言いようが無かったです。早い退場が惜しかったです。
ただ前編のクライマックスでああいうことがありましたし、前編を読み終えた時は割と頭が混乱していたのを覚えています。死んでなかったの? って思っちゃいましたし……。


次にアカネ。
電脳ゲームパートにおいて、ソロで活動している魔法少女です。
なんであんなことになってるのって思っちゃうんですけど、episodes読むと「こりゃ心が壊れるわ……」って思っちゃいますね。

restartでは終始殺意を飛ばしまくった心が壊れたキャラと化していますが、サイドストーリーの挿絵の笑顔、そして善性に溢れた性格が辛い……。

多分魔法少女育成計画において、一番酷い仕打ちを受けた魔法少女ではないでしょうか。あのサイドストーリー、なまじギャグと化しているだけにそのあとを想像すると筆舌に尽くしがたいことがあった、ですよね。結果の想像はできても過程の想像できない(拒否)ですよあれは……。


次に@娘々
まずなんと凄まじい名前なんだと思いました。そして一昔前の漫画やアニメでちょくちょく見かけたあの口調でキャラが立っています。
強キャラ感と不安感のアンバランスさで奇妙な魅力が立っているキャラだと思います。特に対アカネ戦の大活躍、そして非業の最期を遂げるアンバランスさですね。
魔法少女育成計画restartの前編は、後編と比べると「え、こんなところで退場するの」という予想だにしない幕引きがあります。

マジカルデイジーもそう。マスクド・ワンダーもそう。そして@娘々もそう。
あの場面で夢ノ島ジェノサイ子が再登場したのは意味がわかりませんでしたし、てっきり
夢ノ島ジェノサイ子が操られているか何かで@娘々を殺そうとしている……と思ったらアレですからね。あれは予想できそうでできないですよ……しかもこの時の展開はそのまま後編の伏線にもなっている末恐ろしさですよ。


次にメルヴィル。
前編だけ読むと意思疎通が困難だけどすんごく良い人に感じました。
意思疎通の関係で、ラピス・ラズリーヌとセットで登場する場面が多いので、あー終盤までこの二人は生き残るんだろうな、もしくは二人セットで退場するんだろうなと思いました。

そんなメルヴィルですが、やはりサイドストーリーを読むと印象が変わるキャラです。可愛いんですよ……これがまた。まさかあの魔法少女と面識あるとは思いませんでした。


次にチェルナー・マウス。
読み終えると、ある予想ができるのではないでしょうか。
その予想をドンピシャで当てたので実に一人勝ちーみたいな変な(?)充足感がありました。ケースが異なりますが前例がありましたし、割と何でもありなんだろうなと思いました。そうなると一体どうやってスカウトされたんだろって思っちゃいますね……。
似たようなケースは次シリーズ、limitedにもありますけど、あの場合は有無を言わさず強制契約に近いものでしたし……。
チェルナーの魅力はepisodesに収録されたサイドストーリーですね。やっぱし。
restartを読んだあとでこのサイドストーリーを読むとチェルナーに対する印象が変わると同時に、何とも言えない切なさに包まれましたね……。

あとやはりチェルナーは固有魔法が単純明快にして強力無比なところが良いですよね。
まるで大怪獣バトルのように盛り上がるあの場面はとても面白かったです。
と同時に退場フラグが同時に立っちゃいましたよね。マジカルデイジーもそうですが、強すぎる魔法少女って烙印が押された瞬間に死亡フラグが立ってますよね……。

基本的にrestartに登場する魔法少女ってスノーホワイトと約2名を除くとみんな良い子なんですよね。良い子なんですけどこうしてデスゲームに巻き込まれてしまったっていう……ifを考えちゃいますよね。チェルナーは幸せになって欲しかったって思ってしまいましたし。


次にキーク。
ゲームマスターです。今回のお話の諸悪の根源です。
ただキークもまた、後編を読み終えると印象が少し変わります。
これが良い意味でなのか悪い意味でなのかっていうとわかりません。後味の悪さは大きくなりましたね……溜飲が下がるということは無かったです。
キークは凄く自分勝手ですけど、決してそれが悪いこととして行っているのではなく、本人から見れば良いことを行っているって思っているんですよね。大迷惑にも程があるんですけど……そんな気持ちは後編、ラピス・ラズリーヌ関連で吹っ飛んじゃいましたけどね。それについては後編の感想で詳しく書きます。

ちなみにキークは衣装がかなり過激なことになっています。
アニメにもしなった場合はどうなるんだろって思っちゃいます(そっちかよ


最後にのっこちゃん。
癒し枠。小学生なのに魔法少女歴がとても長いという大ベテランです。
のっこちゃんまでが魔法少女名です。どうしてちゃんまで付いたのかって理由で盛り上がった序盤はほんわかしましたです。
その上母親思いで魔法少女と魔法少女を繋ぐ潤滑剤の役割を担っているというか。

そんなのっこちゃんも例外ではなく、後編を読むと印象が変わります。
印象が変わるツートップがのっこちゃんとラピス・ラズリーヌではないでしょうかね。良いか悪いかは別にして。のっこちゃんの場合はふり幅のメーターが振り切れます。本当に……本当に……どうしてこんな……。


前編も後編も、restartでとても良いワードが出てきます。

 戦う魔法少女と戦わない魔法少女

戦わない魔法少女が弱い……とは限らないわけです。
戦闘向きの性格、戦闘向きではない性格。
restartはどちらかというと戦闘向きの魔法少女が早い段階から退場します。けれど残った魔法少女が弱い……なんてことは全く無いのです。
魔法少女の強さは固有魔法、そしてセンスが大きく占めると言っても過言では無いと思います。一見すると役に立たなそうな魔法も使い方次第では十二分に化けるのです。
特に後編のペチカは目を見張るものがあります。さすが前編の表紙絵を飾った魔法少女だなーと思いましたからね。


前編はデスゲームをコツコツ攻略することに主軸が置かれています。
それとは別に、一体イベントアイテムを誰が隠し持っているのか、という謎が大きく残ります。この謎が解けても第二第三の謎が立ちはだかり、結局前編だけでは推理しきれないじゃんっていう。
そんなrestartですが、前編はじっくりとお話が進む分だけスローペースな印象がとても強かったです。退場する魔法少女の人数が少ないのも原因かもしれませんね。後編は後半怒涛の勢いで退場していきますし……。

ちなみにコミックス版は個人的にオススメしにくいです。
理由は最初のマジカルデイジーのオフの部分が最初の段階で省かれているからですね。
魔法少女の光と闇というか、そういう現実が待っているのかーって思ってしまうの大事だと思うんですね。血みどろ殺戮だけが魔法少女育成計画の魅力では無いと思うのです。世知辛いブラック会社よろしくな部分が明らかになっていくところも好きなんですよね。


ってことで魔法少女育成計画restart前編の感想記事でした。
ほぼ全員分の感想を後半書き殴りに近い形で書いたので読み難い記事になっていると思います。ごめんなさい。後編は読み易い記事にしたいですね……。


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