お久しぶりです。
そして明けましておめでとうございます。
今年も当ブログを宜しくお願いします。

今回はゴブリンスレイヤー4巻の感想記事になります。
ネタバレ全開ですので、まだ4巻をお読みでない方はご注意ください。

4巻 表紙

今年は姉妹ブログも含め、大量に感想記事投下していく算段です。
いぶそうまほいくetc続きの巻の感想記事も投下していきます。

とはいえ、ラノベを読むのも感想を書くのもかなり久しぶりです。
ですのでしばらくの間、読み易いゴブスレシリーズの感想を続けていきます。



ゴブリンスレイヤー 4(GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:神奈月 昇先生

ゴブリンスレイヤー4 (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2017-01-17




1巻は時系列が数珠繋ぎとなる4つのエピソード。
2巻は水の街。下水道と遺跡を舞台にした長編エピソード。
3巻は拠点である辺境の街が舞台のシティアドベンチャーでした。

そして今回、4巻は1巻から3巻の間で起こったショートエピソード集です。
各章話が独立しているのでとても読み易くなっていますよ。

ゴブリンスレイヤー4巻は※1外伝、ブランニューデイでコミカライズされています
小説版は圧倒的な地の文による情景描写により、コミカライズ版よりも非常に読み応えがありました。

個人的に特に面白いと思ったエピソードは2つあります。
今回の感想記事はこの2つのエピソードを中心に書いていきます。

1つ目は新米戦士&見習聖女が奮闘する、
第1章『新米戦士と見習い聖女のお話』

そして2つ目はゴブリンスレイヤーさん、槍使い、重戦士の3人で塔攻略に挑む、
第6章『悪魔に魅せられし魔宮の滅亡するお話』

後者のタイトルは※2ドルアーガの塔のゲームブック版が元ネタらしいですね




第1章『新米戦士と見習い聖女のお話』――。

装備も戦略も経験も足りていない2人パーティが下水道に挑む話です。
アニメ版だと第5話ですね。他のいくつかのエピソードと組み合わされています。

思えばゴブリンスレイヤー1巻。
冒頭でゴブリンスレイヤーさんと出会う前の女神官は4人でゴブリンの巣穴に挑みました。
4人は職業だけで見れば前衛後衛それなりにバランスが取れたパーティでした。
もっとも、経験も準備も対策も色々足りていなかったですが……。

それに比べると、新米戦士と見習い聖女の2人パーティはさらに厳しい構成です。
たった2人なのでちょっとのダメージがパーティ壊滅の致命傷になりかねません。
しかも懐事情は芳しくありません。
明日どころか今日を生きるのすら困窮状態です。
どれだけ2人の状況が厳しいものなのか、Wizardryシリーズなどをプレイしたことがある人は想像するに難くないと思います。序盤の金欠凄く辛いんですよね……。

戦力が不足している以上、集団戦闘なんてもっての他。
技能を習得し、経験を積み、懐が温まるまで慎重に慎重を喫したプレイが求められます。
しかしなんということでしょう。武器を落とし命からがら脱出しました。

少し話が逸れますが、Wizardryシリーズにロクトフェイトという呪文があります。
これはキャンプ中に使うとロクトフェイトを忘却する代わりに拠点に帰れます。
しかし戦闘中に使うとペナルティで所持している装備品とアイテムの殆どを失います。
外伝の五つの試練だとパーティが所持してる全ての装備品とアイテムとお金を失います。
パーティの建て直しって装備品やアイテム、お金があるから容易に行えるんですよね。
それらを失うと、それなりにレベルが高かろうが建て直すの大変なんですよね……。

それと似たようなことがたったの2人パーティで起こったのです。
死活問題ってもんです。
お金が無いので他の人に借りようとしますが、借りた武器を無事に返せる補償が無いです。
中には貸せる人(槍使い)もいました。
しかし筋力が圧倒的に足りてないので扱えないのです。

ピンチ。ピンチ。大ピンチです。
下水道に行かないと武器は取り返せない。
しかし下水道に行くための戦力が無い。
資金も無いんですから誰かに依頼することも助っ人を雇う余力も無いです。

そんなところに現れたのがゴブリンスレイヤーさんです。
ゴブリンスレイヤーさんは言葉が足りないので勘違いされ易いです。
事実、この2人もゴブリンスレイヤーさんのことを勘違いしていました。
実際言葉足りずで常に鉄兜を被り、四六時中ゴブリンのみを狩りまくってたら誤解されても仕方が無いのです。ましてや2人は辺境の街での経験が浅いのですから。

そんなゴブリンスレイヤーさんは偶然棍棒を持っていました。
技能が無くてもぶん殴るだけである程度結果が出せるシロモノです。
ゴブリンスレイヤーさんのアドバイスを素直に聞き、棍棒を購入しました。
言及がありましたが、剣に比べると安価なのでした。
てっきり郊外に出て適当に見繕ってくるかと思ったのですがそんなことは無かったです。

アニメ版はゴブリンスレイヤーさんが新米剣士に何の武器が使えるかを聞き、そこから棍棒を推す流れになっています。結構違うので比較すると面白いですよ。

小説版。
印象に残ったのは女神官の認識票が黒曜等級に進級したのを見て2人が省みたことですね。
絶対的な壁。
そして2人を見て、自分たちも頑張らないと、と炎が再点火した流れがとっても良かったです。
勢いをキープしたまま、下水道に挑む前に装備とプランの再点検を行ったのも良かったです。
心が成長したーって伝わってきましたし。

後半の下水道探索は前半の探索以上に読んでいてワクワクしました。
必死さが伝わってきます。
土壇場の機転は見応えあります。
何よりボス戦がありました。

2メートルのGですよ……。
普通のGですら恐ろしいのに人を喰う2メートルのGですよ。
なお、この世界のGは小さかろうが人を襲います。
……怖すぎですよ。
しかもそのお腹の中に剣があるって言うんです。
冒険者って冒険しようが身なりが綺麗でいられるわけがないって思い知らせてくれます。

前半も後半も2人は体液返り血その他で汚れまくります。
冒険者とは綺麗仕事ではないのです。汚れる仕事なのです。
がむしゃらになって、叶えたい夢があって、身体は汚れてもとても輝いているのです。
みんな一生懸命に生きている世界なんだなと教えてくれます。
当たり前っちゃ当たり前なんですけどね……。

>「精一杯やって、貢献して、お金ももらって、生きてるんじゃない。文句なしでしょ?」
(4巻、位置No.595-596より引用)

四方世界は要は神々が見守るゲームボードの世界観ですけど、その中で必死に生きてるって伝わってくる良いセリフだと思いました。

なお、この感想記事を書くにあたってwikipediaを参照しまくっています。
その中で触れられていたのですが、この2人は今後も出番があるようで成長した姿を再び見るのが非常に楽しみですね。

余談ですが、女神官の認識票が白磁等級第十位から黒曜等級第九位に変わったのはオーガとの戦いのあとです。
小説版とアニメ版の比較をすると、小説版では女神官が2人と再会した時、女神官は返り血まみれでした。なお、コミカライズ版は小説版を順守した展開になってます。

しかしアニメ版の第5話は2人がゴブリンスレイヤーさんからアドバイスを貰った時、女神官はその場にいませんでした。
つまりゴブリンスレイヤーさんが連れ回している(ように2人からは見える)女神官が黒曜等級第九位に進級したことをこの時点で知る術が無いです。
2人がゴブリンスレイヤーさんに対する印象は2つの媒体で少々異なっていると思われます。




第6章『悪魔に魅せられし魔宮の滅亡するお話』――。

ゴブリンスレイヤーさん、槍使い、重戦士の3人で祈らぬ者ノンプレイヤーが創った塔に挑むお話なのですがこのエピソードの冒頭で前日譚が描かれます。
コミカライズ版における、この『彼女』の顛末部分が某所で一時期話題になっていたのでそれでこのエピソードに興味を持った口です。

個人的にゴブリンスレイヤーに限った話ではありませんが、小説がスゴイと思う部分のひとつに、『痛みを含めた感覚を体感できる描写の強み』があります。
漫画だと絵によって、アニメだとアニメと声優さんの演技によって痛みが表現されます。
しかしそれを見た人はどういう痛みなのか、というのを見たまま・聞いたままでしか判断できません。

例えばナイフで刺された描写は、『刺された』、という『事実』が読者に伝わります。
しかしナイフで刺された『痛み』がどのようなものなのかは外面しかわからないのです。
『痛そう』と『痛い』は似て非なりますからね。

しかし小説は痛みがどのような痛みなのか例えを用いて表現することができます。
文字を通して読者の人に痛みという感覚を追体験させることができるのです。

『彼女』が空に引っ張られていく時の鉤爪の痛み。
『彼女』が地上から射られる矢の痛み。
『彼女』が空から落ちる空気圧の恐怖。
『彼女』が即死だったからこそ何も感じずに死を迎えた無の静けさ。

小説は読者の人を物語の世界へダイブさせることができる、とわたしは見立てています。

さて、冒頭数ページを用いて『彼女』は空から落ちて亡くなりました。
このお話を読んでいくと、この展開が尾を引いて実に皮肉が効いていくなぁと思いました。
ガーゴイル然り、黒幕然り。
高いところから落ちれば死ぬ。
当たり前といえば当たり前なんですけど、乾いた笑いが出ちゃいますね……。

さて、この3人が選んだ塔を踏破するために用いた攻略手段は凄く面白かったです。
この攻略部分、今後アニメ2期があるなら超見たいですね……見栄え凄く良さそうですし。

似たような状況にH×Hのハンター試験の3次予選があります。
スタートとゴールが違えど、本質的にやってることは殆ど一緒なのです。
そんなことは運営・黒幕サイドから見れば百も承知。対策は立てられて当たり前です。
H×Hは結局塔の中に進んでいきました。対抗手段がありませんでしたから。

しかしこの3人は違います。
対策に対する対策があったのです。
そもそも塔をよじ登っていくなら手にせよ足にせよ余裕は無いのです。
そこを襲撃されれば、なすすべもなく落下して死体が増えるはずなのです。普通であれば。

しかしこの3人は違います。
それぞれ異なったプランを用意していました。
この対抗手段に対する対抗手段。メタゲームに対するメタゲーム良かったですね……。

特に槍使いが用いた呪文と似たような呪文(魔法)は古今東西色んなRPGで登場します。
けれどこういう使われ方ってあまり見たことが無かったです。
TRPGがベースになっているからならではのユニーク・自由に富んだ方法だと思います。

黒幕との戦いはもっと面白かったです。

>「まともに相手をする必要はない」
(4巻、位置No.2246より引用)

勇者パーティ御一行との見事な対比になっています。
ゴブリンスレイヤーは滅ぼすこと、勝つことが目的であり、過程を重視しません。
いかに効率よく、いかに被害を抑えて勝つかを重視します。
だから勝つための手段は(周りから咎められますが)選びません。

えー……良いの、それで? な終幕。
理屈はわかるんですよ。それが一番効率が良いでしょうし。
でも、こう……心がもやっとしちゃいます。
でも、ゴブリンスレイヤーさんだからこそな方法ですよね。
正攻法は正攻法であり、効率の良い方法とは限らないのですから……。




4巻の中で、他に大きくグッと来た場面が2つあります。

ひとつは作中の中でTRPG……とまでは行かないでしょうけど(即興で行うには難易度が高いですし)ボード盤で遊ぶ場面。
ゲームの世界でゲームをするって結構好きなんですよね。
過程は描かれてないですけど、遊びから何かを学ぶって素敵だと思うのです。


もうひとつは戒律、アライメントについての言及があったこと。
Wizardryシリーズなどを遊んだことがある方はご存知だと思いますが、アライメントが善と悪の混成パーティは拠点で組むことができません。別々にパーティを組んでダンジョンの中で合流するんですよね。
これはWizardryというゲームのルールであって、実際にするとどうなるのかーは想像にお任せなのです。
4巻において、冗談交じりとはいえ、善と混沌(悪)の混成パーティを組むとどうなるのか語られています。やはりろくでもないことが起こるようですね……。


余談ですが、ゴブリンスレイヤーTRPGが既にリリースされているのはご存知でしょうか。

特設サイト

kindle版
ゴブリンスレイヤー TRPG (GA文庫)
川人忠明とグループSNE
SBクリエイティブ
2019-05-14


kindle版 リプレイ集
ゴブリンスレイヤー TRPG リプレイ 死と罠の街ランサペール (GA文庫)
川人忠明とグループSNE(原作:蝸牛くも)
SBクリエイティブ
2019-08-09


ゴブリンスレイヤーが色んな媒体、ゲームとコラボしているのは比較的有名だと思います。
しかしゴブリンスレイヤーの世界観の中で遊ぶことができるゲームとなると数は一気に減ります。ゴブリンスレイヤーTRPGは多数のTRPGやファンタジー世界を創造したグループSNEさんが製作に携わっていますので、遊んでみたい、という方は触れてみると良いのです。
データ集として見てもとても見応え抜群(ページ数滅茶苦茶多いですし)ですのでオススメですよ。

なお、TRPGの中で戒律(アライメント)に対する言及は流し読みした限り無いです。
仮にアライメントの概念があると、いざ人が集まって遊ぶって時に一緒にパーティ組めないキャラが発生する、というのはとても都合が悪いですよね……。




ということで、
2つのエピソードを重点的に書きましたがゴブリンスレイヤー4巻の感想記事でした。

他の8つのエピソードもそれぞれ1~3巻の出来事になっていて、今まで見ることができなかった一面をご覧になれますのでとても良かったです。

その反面、ゴブリンをスレイする描写そのものは3巻未満と小粒になっています。
3、4巻とゴブリンを狩る描写が減っていますが、次の5巻はたっぷりゴブリンを狩るお話のようですし、充電期間と見立てることができるのかもしれないですね。

それでは次の巻、5巻の感想記事を次回記事でアップします。



※1:外伝含めコミカライズ版はマンガUPでご覧になれるので読んでみると良いのです
※2:『悪魔に魅せられし者』、『魔宮の勇者たち』、『魔界の滅亡』の3冊です。kindle版400円(魔界の滅亡だけ500円)と想像よりもずっと安いのでぶっちゃけ買いそうになってます