今のところ良い感じにペースをキープできて嬉しいです。
このまま11巻までアップして、時期が重なれば最新12巻の感想もアップする算段です。

今回はゴブリンスレイヤー6巻の感想記事になります。
いつもどおりネタバレ満載でお送りします。
あと今回の記事、長さが前回の2倍以上あるのでご注意ください

GS6



ゴブリンスレイヤー 6(GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:神奈月 昇先生

ゴブリンスレイヤー6 (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2017-09-15



1巻は時系列が数珠繋ぎとなる4つのエピソード。
2巻は水の街。下水道と遺跡を舞台にした長編エピソード。
3巻は拠点である辺境の街が舞台のシティアドベンチャー。
4巻は1巻から3巻の時間軸で描かれるショートエピソード。
5巻は冬の雪山の長編エピソードでした。

今回6巻はゴブリンスレイヤーさんの故郷があった村の跡地に訓練場を建築する流れです。
6巻はゴブリンスレイヤーさんと女神官にスポットライトが当たるシーンが多いです。
女神官がゴブリンスレイヤーと出会って2年目に突入しました。

季節は春。
多数の新人が冒険者として冒険者ギルドに志願しに来ます。


さて少し話が脱線しますが、この記事を書いている時点で既に7巻を読み始めています。
7巻の季節は夏だと冒頭で明記されています。
注目すべきは各巻の季節の流れ
4巻は1~3巻のショートエピソードなので省きます。

GA文庫 ゴブリンスレイヤー公式サイト

1巻は冬でした。
2巻は夏。アイスを食べる描写からも分かり易いです。作中に初夏と書かれてます。
3巻は秋。お祭りの話でしたよね。
5巻は冬。極寒の雪山でした。
6巻は2年目の春。
そして次の7巻は夏です。

――そう。2巻以降、1巻毎に季節がひとつずつ進んでいるんですね。

> 最初は、冬越しに備えて貯蓄されていた穀物が盗まれた。
(1巻、位置No.169より引用) 

>「もう……。半年なんですよね……」
> ゴブリンの巣穴で、死にかけてから。彼によって、命を救われてから。
(2巻、位置No.1661-1663より引用)

とあるので四方世界を仮に1年12カ月だと仮定すると、
女神官がゴブリンスレイヤーさんと出会ったのは11月から12月頃だと思われます。
そして、

> 知り合ってから一年になろうともいう相手だ。ゴブリンスレイヤーは溜息を吐く。
(5巻、位置No.262-263より引用) 

>「新年の祝いで手薄な今日は、ゴブリンどもの報復攻撃の可能性がある」
(5巻、位置No.3546-3547より引用)

> ゴブリンスレイヤー は、微かに笑った。
>「今年も、どうか宜しく頼む」
(5巻、位置No.3610)

とあります。
時系列を整理すると、

女神官がゴブリンスレイヤーさんと出会ったのが11月。
妖精弓手らと出会ったのが12月中だと思われます。

思われるんですが……。
1巻、冬っぽい描写が殆ど無かったので深く考えないのが多分正解なんだと思います。
……1巻に限って言えば。

もしくは5巻の雪山は四方世界の寒い地方の話……とか?
暑い地方もありそうです。11巻がそういう話らしいですし。
辺境の街は冬そんなに寒くないーとかならだいじょぶそうです。

あれこれネットで調べたんですけど、時系列関連のまとめが見つかりませんでした。


話が逸れました。
1巻1巻が1季節であり、大きなキャンペーンの一幕として見立てることができます。
なぜ5巻の時点で気付かなかったわたし。あっちこっちから後ろ指差されてそうですorzlll

……そういう意味では、アニメ版は1巻と2巻の流れが多少いじられてややこしいことに。
アニメ版のゴブリンロードとの戦いは初夏に行われてきたことになります。




話を戻し、ココからは6巻の感想を書いていきます。

まず特筆すべきはゴブリンの暗躍っぷりですね。
個人的に1巻よりも凄惨で一番エグかったです。
それなりに名の知れた5人パーティーの全滅描写。
さらに新米冒険者が多数犠牲になりました。

かつて1巻では冒頭で女神官が組んだパーティのうち、女神官以外3人が壊滅しました。
さらにエルフの山砦では鋼鉄等級の貴族令嬢率いる女性4人パーティーが全滅。
(貴族令嬢と令嬢剣士はそれぞれ別人です)

しかし5巻はそれらをさらに上回る被害が出ました。
しかも一歩間違えればゴブリンスレイヤーさんたちもそれに連なっていました。


対する冒険者側はこれまで何も対策を打ってこなかった訳ではないようです。
今回6巻は新人冒険者向けの育成施設、訓練場を建設する流れになります。

>「最近、ですね。ああいう稽古を専門にやる、訓練所を建てようって動きがあるんですよ」
(1巻、位置No.3280-3281より引用)

訓練場(上は訓練所ですが)の話そのものは1巻から出ていました。
1年と1季節越しにようやく話が大きく動いた、ということでしょう。

何と訓練場の建築のきっかけになったのは5巻の令嬢剣士。
憑き物が落ち、カドが取れて大きく成長した姿が描かれています。
1巻毎に1つ季節が進むのはこういう部分でも便利ですよね。
これだけの時間があれば、裏で色んな出来事があったことに対して説得性が生まれますし。

読んでいてとても印象に残ったシーンがあります。
女神官たちのことを友達と呼び妖精弓手たちも令嬢剣士のことを友達と呼んだ2つの場面です。

冒険者仲間ではなく、一時的とはいえ苦楽を共にした仲間を友達と呼ぶ。
特に妖精弓手は令嬢剣士に対して比較的辛辣な扱いでした。
しかし作中、一番最初に「友達」と呼んだのが妖精弓手なんですよね。

ニュアンス的に考えると、友達関係なのは女性陣同士なのだと思われます。
牛飼娘や受付嬢もカウントに入っているようです。

キーワード検索をかけると、この『友達』という言葉は6巻のいくつかの場面で登場します。
牛飼娘がゴブリンスレイヤーさんが夜の街に行こうとする時、ゴブリンスレイヤーさんが逢う相手のことを友達と呼び、そしてゴブリンスレイヤーさんがそれを肯定したのは特に印象に残りました。

ゴブリンに対する復讐者として孤独だった過去。
女神官と出会い、1年を経て多数の絆が生まれた現在。
6巻はゴブリンスレイヤーさん、女神官と復讐鬼と化している少年魔術師を軸にそれぞれの過去と現在が交錯する展開になっています。


少年魔術師はかつて1巻で登場した女魔法使いの弟です。
少年魔術師の復讐対象は無論ゴブリンです。
1巻において、女魔法使いはゴブリンに致命傷の一撃を与えられました。
しかし女魔法使いに(これ以上苦しませないためとはいえ)トドメを刺したのはゴブリンスレイヤーさんなんですよね

ある意味では少年魔術師の復讐対象はゴブリンスレイヤーさんなのです。
少年魔術師の正体に真っ先に気付いたのは女魔法使いとパーティを組んでいた女神官。
エグい展開だなぁと思いました。ゴブリンスレイヤーさんに影を落としましたし。


この少年魔術師が絡むエピソードの中で、四方世界の呪文の仕組みが6巻でようやく出てきました。
魔法使いなどが使う真言呪文。
三小節(詠唱)の組み合わせで何の呪文(結果)が発現されるか変わってきます。
そこからさらに発展させていくと……という面白いことがわかるのが6巻の醍醐味のひとつです。

ちなみにこの世界の呪文は、

魔法使いなどが使う真言呪文。
女神官などが使う奇跡。
竜司祭などが使う始竜術。
精霊使いなどが使う精霊術。

の4種類に分かれています(TRPGより引用)。

なお、TRPGでは小説に登場しない呪文も多数載っています。
さらにその呪文に必要な詠唱の言葉とその各小節の意味も載っています。
気になった方は是非是非購入すると良いのです。

例えば小説で登場した《火球》(ファイアボール)はTRPG用にリビルドされてますが、どれくらいの射程距離なのか、大きさはどれくらいなのか、などが成長具合で5段階で表されています。
こういうのを知っていると世界観に対する認識がより深まっていくと思います。
ゴブリンの歯を触媒にしてゴブリンを創る《小鬼》(クリエイトゴブリン)なんてゴブリンスレイヤーさんが反応しそうな真言呪文もありますよ

ゴブリンスレイヤーTRPG
ゴブリンスレイヤー TRPG (GA文庫)
川人忠明とグループSNE
SBクリエイティブ
2019-05-14





それではココからは作中の流れに沿って感想を書いていきます。

春。
多数の新人冒険者が冒険者ギルドを訪れます。
ゴブリンスレイヤーさんはその特異な風貌、言動から新米冒険者らから奇異の目で見られます。
疎まれます。
笑い声が飛んできます。

しかし笑わない新米冒険者たちもいました。
吟遊詩人による伝承でゴブリンスレイヤーさんの活躍を聞いた者。
かつてゴブリンスレイヤーさんに自分の村を救われた者……。


ゴブリンスレイヤーさんを取り囲む環境は1年前と大きく違うところがあります。
――そう。ゴブリンスレイヤーさんは現在ひとりではありません。

仲間がいます。
絆が育まれています。
ゴブリンスレイヤーさんはもう、孤独な冒険者では無いのです。
ゴブリンを狩り続ける目的が変わらなけれど、それを支援してくれる仲間がいるのです。

>「お、ゴブスレさんとこのじゃん。うぃっす!」
>「ちょっと、もう! もっときちんと挨拶してよ、あたしが恥ずかしいじゃない!」
(6巻、位置No.188-190より引用)

月日の経過は新米戦士ら多数のロビーにいる冒険者の認識を変えました。
ゴブリンスレイヤーさんを揶揄しない者たちは、即ちゴブリンスレイヤーさんの活躍を知る者たちです。新米冒険者たちが生き残っていけば、彼ら彼女らもゴブリンスレイヤーさんに対する認識を改めていくでしょう。


ゴブリンスレイヤーさんの内面も変わっていきました。

>「これでも新人の方々が受諾した後なんですよ?」
>「やれそうなのか?」
(6巻、位置No.276-277より引用) 

> ゴブリンスレイヤーは女性が攫われたという報告のあるものを、束の上へ並べ直した。
> 冒険者が既に向かったという箇所は下に回す。未だ被害が軽微なものは真ん中だ。
> 全部で十件はあろうか。にもかかわらず、彼は平然と言った。
>「この順番で一通り回る」
>「はい、わかりました。気をつけてくださいね! あ、あと水薬などは……」
>「もらおう」
> ゴブリンスレイヤーは、ちらりと背後の仲間たちの方を窺った。五、いや、予備を入れて六。
>「治癒、解毒剤、強壮。六本ずつ頼む」
(6巻、位置No.296-303より引用)

ゴブリンスレイヤーさんが女神官と出会った頃はどうだったのかというと、

>「放っておけません! すぐ助けに行かないと……!」
> 彼の答えは、一切の迷いがない。
>「好きにしろ」
>「え……」
>「俺は山の巣を潰す。最低でも田舎者かシャーマンがいるはずだ」
> 女神官は、呆然とした様子で彼の顔を見た。鉄兜に隠れて表情はわからない。
>「いずれ、もっと大規模になるだろう。そうなったら面倒だ。ここで叩かん手はない」
>「み、見捨てるんですか……!?」
>「何を勘違いしているのかは知らんが……こちらを放置するわけにはいかん」
> 彼は淡々と言って、首を横に振った。
>「だから、お前は好きにすれば良い」
(1巻、位置No.1044-1051より引用)

こんな感じ。
かつて、ゴブリンスレイヤーさんはゴブリンを狩ることに終始していました。
無論、出先で冒険者がピンチに陥っていて、生きていれば彼らを助けました。
しかしそれは洞窟などゴブリンが棲む敵地での話です。
ロビーで新人冒険者にかまけることは無かったのです。

ゴブリン以外に見向きもしなかった過去。
新人冒険者を心配……というと少し違う気がしますが、気を回せる現在。

それだけではありません。
女神官を始めとしたパーティメンバーに対する一定の配慮。
10箇所も回るのですから長期戦になるのは間違いありません。
その上で最初からパーティプレイ前提の立ち回りになったのです。


少し端折って戦闘パート。
あえて言わせていただきます。

とうとうやりやがった……(誉め言葉

っていうかスクロール2枚目入手(もしくは魔女に用意してもらった)んですね。
5巻から引き続いて水中呼吸の指輪大活躍ですね……無茶苦茶過ぎる(滝汗

ゴブリンの巣を駆逐できた代わりに塩害が発生しました。
3枚目がもし登場するなら、海中じゃなくて川を召喚する方向に……は無理なんですよね。
深海の水圧を活かした高水圧カッターの側面もありますし。




少年魔術師に対してまず一言。

呪文使用回数1回。
物理方面明るくない。

……魔法使いがソロでゴブリン退治って無理過ぎません?

どれだけ周りが見えず、自意識過剰なんだと終盤までツッコミの嵐になる少年魔術師。
普段はやんわりとした警告に留める受付嬢さんもさすがに止めに入ります。

少年魔術師クン。ゴブリンに怨嗟を募らせつつもゴブリンを舐めています。
ゴブリンスレイヤーさんもかつてはこうだったのでしょうか……いや、それは無いでしょう。
何故なら少年魔術師は伝聞でゴブリンを認識していますが、ゴブリンスレイヤーさんは目の前でゴブリンたちが行った悪逆非道の数々をその目に刻み込んでいます。
百聞は一見に如かずなのです。

ゴブリンスレイヤーさんは少年魔術師、受付嬢とやり取りしつつ、新米冒険者の安否の確認を行いました。この辺もかつてのゴブリンスレイヤーさんの言動から考えられないです。

ゴブリンスレイヤーさんが泊まる宛ての無い少年魔術師を牧場に連れて帰ります。
事情を話すと叔父さんがブチぎれます。

>「…………登録したての冒険者なんざ、そこらの無頼漢と変わらんのだぞ?」
(6巻、位置No.918-919より引用) 

1~2巻で大きく書かれてますが、白磁等級の冒険者から黒曜等級に昇進するには、実力があるだけでなく人格や貢献度も問われます。依頼達成で獲得した報酬金額も監査の対象のようです。

例えば女癖が悪かったり性格に難ありだといつまでたっても昇進できないのです。
つまり白磁等級とは信頼されていない等級と等しいのです。
逆に言えば超強いけど一部問題があるから白磁等級の冒険者――という規格外な人もいそうです。

1巻で書かれてますが、白磁等級だけでなく、黒曜等級、鋼鉄等級の10位から8位までを併せて新人冒険者の扱いなんだそうで。

そういえば2巻で、圃人斥候ら3人が鋼鉄等級から青玉等級への昇級審査を受けるシーンがありました。圃人斥候は悪いことをやらかしてましたが、一緒にパーティを組んでいた人は昇級を何度も失敗しているようですし、中堅冒険者になるのは並大抵の努力では叶わなさそうです。


> ──冒険者、戦士ってのは、武器を振り回すものじゃあないのか?
(6巻、位置No.1069より引用)

少年魔術師はゴブリンのみならず、伝聞でしか冒険者の戦いを見たことが無いようです。
いわゆる教科書タイプなんでしょうね。
学院を飛び出してきたようですし、基礎も中途半端にしか学んでいないのでしょう。

さらにゴブリンスレイヤーさんに注意しつつも盛大に寝ました。
不味いシチューだったらテーブルぶっ倒してやると心の中で啖呵を切ってた割に3杯もおかわりしました。
甘ちゃんというか、勢いだけなのです。


思えば第2章以降のゴブリンスレイヤーさんの少年魔術師に対する行動のひとつひとつって、やり方は不器用ですけど冒険者として、ゴブリン狩りとしてのレクチャーをしているんですよね。
令嬢剣士に引き続いての第三のゴブリンスレイヤーと化してますし、思うところが多かったんだろうなって思いました。


話は進み、女神官の昇級審査の話へ。
人格に問題はなく、戦闘で大活躍しているのにどうして落ちたの……と思ったのですが、なるほど納得できる理由でした。
この理屈がOKなら位の高い冒険者パーティにおんぶでだっこすれば自ずと昇進できりゃいますものね……。

少年魔術師が女神官を大音量で馬鹿にしたことで、見習聖女がキレるのが印象に残りました。
思えばこの2人のペア、巻数が進むにつれてどんどん出番が増えてますね。
相変わらずの2人パーティですけど、ネズミ狩りを続けているようですし、着実に成長しているのが伺えます。

周りが女神官の肩を持ってくれるのも女神官が1年間で築き上げた信頼の証ですよね。
まさに信頼は一朝一夕では成し得ることができない証左です。
そしてこういう流れになるのか……と先を考えるととてもワクワクしました。
女騎士も最初はゴブリンスレイヤーさんに辛辣な物言いをしていたところから鑑みると、相当丸くなりましたねホント……。

ゴブリンスレイヤーさんは仲間を見ます。

自分にできること。
自分にできないこと。

心が成熟していっているのを感じました。




黒曜白磁等級の入り混じったパーティが壊滅するまでの回想録。
第5巻の令嬢剣士のパーティもそうでしたけど、直ぐに退場するキャラであっても味のあるキャラが多いです。端的に(出番的に)もったいないって思ったのはわたしだけでしょうか?
蜥蜴人の最期の言葉はグッと来ました
いやー死に際でこういうセリフ言える人中々いないでしょ。

本来はこんな感じで少しの不運とミスが命取りになる世界なんですよね。
そして男だろうが女だろうが容赦なさすぎる展開で肝が冷えます。
もし6巻が今後アニメになるならこの戦闘かなり観てみたいです。
見せ場多いんですよね。
全滅するって宣言されていても『いけそう』って思わせてくれますし。


そして時が経ち、現在へ。
この壊滅したパーティが未達成の依頼を達成するためにゴブリンスレイヤーさんたち+少年魔術師御一行が来るんですが、この依頼も含めて最初のスクロール戦以外は全て訓練場と密接な関りがある展開になっていきます。
5巻でゴブリンパラディンがあんなことをしていましたし、今回も裏があるんじゃないかって思っちゃうわけです。

女神官はゴブリンスレイヤーさんからかつてアドバイスされたことを自分なりにくだき、陵墓に行く前に準備を行います。
そして少年魔術師に対し、面々がパーティの役割の在り方について説いていきます。
これは少年魔術師に対する言葉ですが、同時に読者に対しても伝えているように感じました。
6巻目ですが、新規読者の方が1巻からではなく、6巻から読む人もいるでしょう。
少年魔術師を通して新規読者さんにも分かり易い説明になっていると思うのです。


>「通路の幅次第ですけど……。今回は六人ですから、三人二列か二人三列と思っています」
(6巻、位置No.1760-1761より引用)

凄く好きなセリフです。

どうしてかというと、Wizardry的に考えると2828しちゃうセリフなんですよね
Wizardryは8とオンラインは別ですけど1から7まで、あと外伝なども正方形のマス目を移動する3DダンジョンRPGです。
この1マスの大きさって果たしてどれくらいなのか? という命題があるんですよね。

通常、3人横並びの前衛後衛6人パーティですから、前衛3人が武器を振り回しても大丈夫そうな広さが1マスの1辺の長さだと考えるのがベターです。ですから上のセリフはかなり好きなのです。

ちなみに6巻は全体的にWizardryネタ多いですね
玄室の話もありますし神官の話の囁き、詠唱~もまんまカント寺院ですし(順番は違います)。

ゴブリンは女性のにおいに敏感ってことで、かつては血でにおいを消していました。
何度も血まみれになるのは堪えたのでしょう。
対策立ててきましたね。ベタですが好きですこういうの。


道中、少年魔術師が感情的になって呪文を唱えようとしているシーンがありました。
女神官は急いでそれを止めましたが、もし唱えていたら少年魔術師はそのあとどうするつもりだったのでしょう? 使用回数が無くなったから即帰還する……わけ無いですよね?

感情に流されがちな女神官が芯の強さを見せているのが実に対称的です。

結局少年魔術師は暴走。
あまつさえそれが引き金になってパーティ全滅の危機をもたらします。

少年魔術師の気持ちはわからないでもないです。
でも上の命令を聞けない人のお陰でパーティが全滅した、という話はよくあります。
先日だと模擬戦とはいえ、SNSに画像をアップしたら位置がバレて部隊が全滅した、なんてニュースがありました。

『想像力とは武器だ。想像力が無い者から死ぬ』

女神官の脆さが露出します。
命令を聞いてくれる人だけではなく、命令を聞いてくれない人だっているのです。
そういう人たちに対してどう接すればいいか、は難しい問題だと思います。
気が弱い女神官にとって、気が強い少年魔術師はとても相性がよろしくないです。

ヘマをやらかしたのにも関わらずさらに少年魔術師は突っ走りました。
……ここまで重ね重ねやらかしてまだ反省しないんですよね。
読んでいて少年魔術師に対して結構イライラしました。

少年魔術師のお陰でひとり女性が救われましたが、それは結果論なのです。
アニメでよく主人公が上の命令を無視して行動して勝利に導いた、という展開があります。
あれは本来褒められたものではないんですよね。いくつもの幸運が重なった結果論なんですから。

自分がピンチになって初めて少年魔術師は自分のミスを悟ります。
これは言い換えるなら今まで逃げのびてきたゴブリンがそういう感じだったのでしょう。
ミスを学習して次に繋げる。生き残ったからこそ行える進化。

悪いと思っているからこそ、周りの言動が心を射抜く矢となって少年魔術師に突き刺さります。
この時の言い訳がまた即座にブーメランになっていて強烈ですね。

女神官も別の意味でヤバくなります。
全滅のピンチに陥るのは最初の冒険と同じです。
フラッシュバックするのは無理も無いのです。
そうしてとうとうゴブリンスレイヤーさんにバトンタッチ。

トロルは強敵で物理攻撃があまり効かない相手と分が悪いです。
蜥蜴僧侶、鉱人道士、女神官の3人の呪文って物理的に干渉する呪文なんですよね。
《石弾》(ストーンブラスト)は石を打ちだす呪文ですし。
《火球》(ファイアボール)のように魔力で攻撃するってタイプの呪文を誰も持ってないのです。

言い換えるなら少年魔術師の《火球》(ファイアボール)って、この時が絶好の使用タイミングだったんですよね……。


トロル戦は凄く見応えがありました。
思えばゴブリンスレイヤーさんが使う奇策って、ひとつひとつはどこかで見たことがある戦術なんですけど、それらに対して意外性を抱かせる説得性があるんですよね。

例えば今回の戦法だって、まさか2巻のアイスクリンが伏線とは思わなかったですし
過去のちょっとした出来事から着想を得るって素敵だと思うんですね。
ゴブリンスレイヤーさんが色々なところから知識を得ている説得力が出ますし。


> 自分の迂闊もある。未熟もある。責任はある。だけれど。
> ──この男のことだけは、認めたくはない──……!
(6巻、位置No.2170-2171より引用)

省みつつもゴブリンスレイヤーさんのことを頑なに認めない少年魔術師。
嫌ってると言っても差し支えないでしょう。

何故か?
簡単です。
ゴブリンスレイヤーさんはかつてこう言ってました。

>「つまり俺は、奴らにとってのゴブリンだ」
(1巻、位置No.1269より引用) 

ゴブリンを嬉々として屠っているゴブリンスレイヤーさんを見て、ゴブリンのように見えてもおかしくないです。
生理的嫌悪を抱いてもおかしく無いです。
ましてやゴブリンは少年魔術師の姉の仇。
しかもゴブリンスレイヤーさんがトドメをしたのですから二重の意味で正しいのです
もっとも、姉を眠らせたのがゴブリンスレイヤーさんだとは知らないままですが。


ベテランとルーキーの差は酒場でも続きます。
失敗を引きずる者。
失敗を笑い話として流す者。

生きていることが最良。
生きていることが幸運。
ファンブルを跳ね除けた結果とも言えます。
だからといって、全てを無かったことにはできません。


>「姉がいるのか」
>「ああ、いたさ!」
> 少年は叫んだ。酒精の援護を受けて昂ぶった感情は、止めどなく言葉を走らせる。
>「ゴブリンに毒の短剣食らって死ななけりゃあ、今だっていたよ!!」
(6巻、位置No.2267-2269)

>「……姉だと?」
> その冒険者は、鉄兜を脱ぎ捨てて呻き声と共に呟く。
> 何か一つでも自分がやれたと思っていたのか。
> 何か一つでも自分が成し遂げられたとでも思っていたのか。
>「……馬鹿め」
(6巻、位置No.2315-2318より引用)

過去が現在を抉ってきたのです。
過去が現在を追いかけてきたのです。
ゴブリンスレイヤーさんは少年魔術師に自分を重ねたんでしょうね。
そのあとの言動が雑になっていたところからも伺えます。ショックだったんでしょうね……。

そういえば2巻で圃人斥候が出禁になり、3巻で復讐しに来ました。
あの時は圃人斥候の因果応報だったのです。『圃人斥候が悪いのです』。

では今回はどうでしょうか。
毒で苦しんでいた少年魔術師の姉を楽にさせただけです。
最善を尽くしたのです。

でも、救えなかったのです……




令嬢剣士と剣の乙女の邂逅。
2人のゴブリンスレイヤーさんに対する距離感の差が良いですね。
令嬢剣士から見れば剣の乙女どういうリアクションなんだって感じなのがまた。
剣の乙女のヤンデレ度がじわじわ上がってきてますね……。




新キャラ、圃人の少女が登場。
間延びした喋り声のキャラはこの小説では登場していないので凄く新鮮です。
あとキャラデザめちゃかわです。

1章3章と陰惨な展開が続いたので4章は全体的にほんわかしていて清涼剤になりました。
今までの新人とベテランのキャラが総登場しての稽古パート。
脅威が無いからこそ言動が軽くなり、優しさが混じって心地良いです。

ゴブリンスレイヤーさんは昨晩の出来事を引きずっているように見えなかったのも良かったです。
気持ちを切り替えたというか。
ここでも過去と現在を比較する展開が行われていて、ゴブリンスレイヤーさんがゴブリンを狩る者としてではなく、ベテラン冒険者として思案するのが良かったです。

適材適所。
自分にできないことを誰かに任せる。
少年魔術師の処遇を槍使いに任せたのは、槍使いを信用している証左です。
そのあとの飲み会の誘いも含めてグッと来ました。

位の高い冒険者と会話するのと白磁等級の冒険者同士で会話するのは距離感が相当違います。
同じ白磁等級の『同僚』から言われたからこそ、気付けるものもあるのです。
『認められない』と『だから止める』は違うのです。
少年魔術師が冒険の失敗を糧に少しずつ変わっていくの良かったです。


夜。
牛飼娘はゴブリンスレイヤーさんが誰と会うのかは知らなかったようですけど、それが『友達』なのを看破しました。
そしてゴブリンスレイヤーさんもまた否定しませんでした。
否定するのに悪気は無いんですけど、正直であろうとしていて実直ですよね。
そんなゴブリンスレイヤーさんが『友達』を否定しなかったって大きい変化だと思うんですね。

飲み会。
ゴブリンスレイヤーさん、槍使い、重剣士の3人組。
要は4巻の魔術師の塔の時の面子です。

飲み会を終えたあと、3人は風に当たりながら夢を語ります。
上では書いていませんが、女神官は少年魔術師の姉から彼女の夢を聞いていました。

夢は実現できるかわかりません。
でも、誰かに否定されたり蹂躙されて良いものでは無いのです。
夢はその人にとっての理想なのです。

3人は冒険者になりましたが、叶えたかった夢だってあるのです。
だからこそ、未来ある新人冒険者の夢が摘まれることが無いように、願う他ないのです。




ゴブリンスレイヤーさんは鉱人道士に少年魔術師を鍛えるように託しました。

>「俺はゴブリンスレイヤーだ」
> ゴブリンスレイヤーは口を湿らせるように、葡萄酒をがぶりと呷った。
>「あいつは冒険者だ」
>「なるほどの」
(6巻、位置No.2951-2952より引用)

鉱人道士はそのままの意味で受け取りました。
でもゴブリンスレイヤーさんは、少年魔術師をゴブリンスレイヤーにしたくない。
冒険者として歩んで欲しい、と託したのではないでしょうか。
飲み会のあとの描写を読むと、そう思わざるを得ないのです。

>「では言う事を良く聞いて、迷惑をかけないよう、真面目にやれ」
> それは兄か姉が弟に良く言い聞かせるようなセリフだった。
(6巻、位置No.2989-2990より引用)

素っ気ないですけどゴブリンスレイヤーさんが少年魔術師を凄く気に掛けているのがわかります。
というかゴブリンスレイヤーさんのセリフって気に掛ける長いセリフって無いんですよね。


鉱人道士の呪文のいろはレクチャー。
鉱人道士って教え方凄く上手いなって思いました。教え上手さん。
どの辺がって人をやる気にさせるのが上手いですね。
呪文が《火球》(ファイアボール)1回しか無いのを引きずっていた少年魔術師に希望を与えたのですから。

そして上のほうでも書いた、呪文の詠唱プロセスの話を見て、ほえー……と舌を巻きました。

知識は武器。
想像力は武器。

鉱人道士は呪文使いの仕事は、呪文を唱えることではなく、呪文を使うことだと説きました。
一見すると同じ意味にしか見えないふたつの仕事。
唱えるのではなく使う。
女魔法使いが『点火』の一小節で真言呪文を使っていたように。
敵に打つだけが呪文ではないのです。


一方ゴブリンスレイヤーさんたちはゴブリンの巣穴を襲撃します。
妖精弓手はお金が足りないようで、匂い消しの道具を持っていませんでした。
匂い消しの道具が安いってことは無いにせよ、どこにお金が消えていくのか気になります。

今回の『冒険』はいつもと違うところがありました。
2人以外誰もいません。蜥蜴僧侶も女神官も同行していません。
つまり呪文遣いがいません。
経験豊富な銀等級冒険者だからこそ成り立つパーティです。

……最後のゴブリンの悪趣味さったら無いですね。
2期が今後あると仮定するならば、果たしてアニメにできるのでしょうかコレ。


一方、女神官と蜥蜴僧侶。
この組み合わせは珍しいですね。いつもゴブリンスレイヤーさんが中心でしたし。
価値観の違い。
食べ物の違い。
異文化交流、コミュニケーション。

というかこの四方世界、じゃがバターって料理の概念あるんですね。
美味しいんですよねあれ……むかし、お祭りに行った時によく食べてました。

圃人の少女は良いキャラしていますね。
妖精弓手とは違った方向でムードメーカーなキャラで裏表が無くほっこりします。

圃人の少女はパーティを組む宛てが無く、ソロで下水道にネズミ退治に行こうとしていました。
女神官は振り返ります。
もしもロビーで亡くなった3人に声を掛けられていなかったらどうなっていたかと。

もしかしたら死んでいたかもしれません。
もしかしたらもっと有意義に冒険者生活ができていたかもしれません。
しかし、その場所にゴブリンスレイヤーさんたちはいないのです。

わたしの持論になりますが、
相手に優しくしたからといって相手も優しくしてくれるとは限りません
けれど相手に優しくしなかった人は、すべからく相手から優しくされないのです
女神官がこうして多数の冒険者や人々と縁や絆を結べるのは、間違いなく彼女の実力(優しさ)の結果です。女神官が分け隔てなく接してきたからこそ、この1年で大きく縁を結べたのです。
それは冒険者として大きな武器であり、大きな財産だと言えるでしょう。
女神官はもう新米の頃とは違うのです。



>「……良くわかるものだ」
>「そりゃあ、何年も一緒におりますゆえ?」
(6巻、位置No.3407-3408より引用) 

女神官がどんどんレベルアップしても牛飼娘の正妻っぷりには叶わないですね。
まさにセンターヒロインと言うんでしょうか。
幼馴染ですからね。一日の長は一朝一夕では全然追い抜けないです。

思い出の中の風景。
取り戻せない光景。
色あせない情景。

寂しいのです。
かつて自分たちのあった故郷の上に訓練場が立つということは、塗り潰されるということです。

それが悪いわけでは無いのです。
ただ、寂しいのです。

地元に戻った時、かつて見た光景が失われていた時の寂しさっていったら無いですよ。
知っていた世界が知らない異世界に変わってしまっているんですから……。

過去と現在。
女神官と出会った1年間。

数多の出会い。
数多の思い出。
数多の戦い。

女神官と出会ってからのゴブリンスレイヤーさんは、変わっていきました。

ひとりではできないこと。
パーティだからできること。

変わったからこそ、現在の選択肢を取れるのです。
少年魔術師の面倒を見るという選択肢が……。

そして少年魔術師も変わりつつあります。
でも、足りないのです。
未来のゴブリンスレイヤーにならないようにするには、あと一手が。

変化はありました。
それは人間たち冒険者だけではありません。ゴブリンにもです。
大きな戦いが、迫ろうとしていたのです。

ここまでで結構な伏線が貼られていたのをこの感想記事を書いている時にしみじみ感じました。
思い出の風景、あれ伏線だったとは……。




悲劇は音も無く忍び寄ってきました。
というか今回ホントゴブリンの被害大きいんですよね。
状況と運が悪ければいくらでも被害が悪化するって証左になりました。


>「今夜は音を立てずにゴブリンを殺す八つの方法を──……」
(6巻、位置No.3534-3535より引用)

いつの間にかゴブリンスレイヤーさん普通に長いセリフを関係性の浅い人が相手でも言えるようになっていたんですね。成長っぷりに涙がちょちょぎれそうです。

ゴブリンスレイヤーさんが予想していたとおり、ゴブリンが奇襲してきました。
ゴブリンスレイヤーさんがレクチャーしていた『生徒』の中には、新米剣士、見習聖女、圃人の少女。そして少年魔術師の姿がありました。

この中で一番ゴブリンスレイヤーさんを『信頼』しているのは新米戦士です。
新米戦士はゴブリンスレイヤーさんの命令に直ぐに従います。
状況を呑み込めない新米も多いです。

彼らを見て、少年魔術師も加勢して陣形を組むように促します。
訓練ではなく、実戦。
不用意な気持ちは死を招きます。

ここでゴブリンスレイヤーさんが迷うのが珍しく、そして変化の証ですね。
守ってあげたい。
それは『先生』だからこそ当たり前の気持ち。
彼らの夢を守るには、彼らを守るのは自然なロジックです。

でも生き残るためにはそれよりも状況確認が最優先です。

敵の戦力は?
味方の状況は?
被害の規模は?

わからなければ何もできません。
無知は罪ではありませんが、無知は死を招きます。
条件分岐を伴う命令を出してゴブリンスレイヤーさんは戦場に向かいます。

この時の条件分岐がまた良いですね。
二択ではなく、できない場合の第三の選択肢も出しているのですから。

この訓練場の戦い。
何が酷いかって被害に遭ってるの新米冒険者たちなんですよね。
ゴブリンスレイヤーさんが守りたかった者たちが踏みにじられているんですよね。
あと男性だろうが女性だろうが容赦ないのはこのシリーズの様式美なんですけど、明確に被害に遭った描写のある冒険者の半数は女性冒険者なんですよね。
それも陰惨な殺され方をしているので胸が痛みます。
小説という創作物だろうが非力な者や女性・子供が殺されるのは非常に胸が痛みます。

女神官や槍使い。
女魔法使いや蜥蜴僧侶。
妖精弓手に鉱人道士に重剣士。
お馴染みの面々が顔を揃います。
女騎士の姿はありませんでしたが安否は確認できています。

籠城戦ではなく、一気に攻め込むことにしました。
分散するのではなく戦力を集中しての電撃作戦。力こそパワーです。

ゴブリンを知るには自分がゴブリンだったらどうするか――。
1年という歳月は、女神官にゴブリンの生態について多数の知識を与えました。
そしてゴブリンスレイヤーと同じように、ゴブリンから見た最適解も考えるようになりました。
主張は控えめ。しかし狙いは正確に。

女神官は新米冒険者たちのところに加勢に行こうとします。
正確には助けに行こうと、ですね。

ここで女神官を間近で見てきた者と間近で見なかった者に分かれます。
見なかった者は不安視します。
わからないものはわからないのです。

だからこそ、間近で見てきた者たちは太鼓判を押します。
1年で築き上げてきた信頼の集大成がそこにありました。
決意、決断。
ゴブリンスレイヤーさんの最終確認に、女僧侶は返事をしました。
これこそが女神官にとっての昇級試験……。


ゴブリンの巣穴を攻略するゴブリンスレイヤーさんたち。
とてもド派手で見応えがあります。
ゴブリンシャーマンやホブゴブリンも混じっていますが戦力が違い過ぎます。
さらにゴブリンスレイヤーさんはまたしても奇策を思いつきました。
思えばこの奇策って第1章と繋がっている展開ですね……。
明確には書かれていませんが、数時間戦い続けたとあるのでゴブリンの数は相当数だったと思われます。


一方、女神官は新米戦士らや少年魔術師と合流後、辺境の街へと向かいます。
これは彼らを避難させるためだけではなく、先に辺境の街へ帰っていった新米冒険者たちを救うためでもありました。

既に被害は出始めていて、さながらホラー映画のような描写で中々エグいですね……。
悲鳴が言葉ではなく音になっていくのが怖すぎです。

聞いていたゴブリンと実際に遭遇したゴブリンの差に絶望する新米たち。
ひとり、またひとりと減っていきます。
過半数が犠牲に。
未来が、奪われたのです。

追いついた時には最初15人いた小隊は5人にまで減っていました。
そして後ろから女神官たちは追いついたのですから、差し引いた数だけ残酷な光景を目の当たりにしています。
でも、全滅だけは阻止できました。
だからといってピンチなのには変わりありません。
ここにいるのはひとりだけ黒曜等級の女神官。他は全員白磁等級の新人や新米です。

パーティの立て直し。
重傷者の回復。
戦力が、足りないのです。

彼らの中で、一番火力があるのが少年魔術師の真言呪文です。
けれど過去の失敗をバネに少年魔術師は考えます。
《火球》(ファイアボール)だと大してゴブリンを倒せません。
今できる最大効率は何か。何が最善手なのか。

女神官の信頼を得た彼は一発逆転の大博打に走ります。
6巻最大の見せ場じゃないでしょうか
こういう呪文の使い方できるのか、と舌を巻きました。

何が最優先か。
自分の気持ちを押し殺し、少年魔術師は一歩成長を遂げます。
誰からも認められなかった少年魔術師は、やっと認められました。

少年魔術師は、ゴブリンスレイヤーでは無いのです。




エピローグ。
女神官が黒曜等級から鋼鉄等級に昇格しました。
この世界で1年で2つ進級するのってどれくらい難しいのでしょうか。

少年魔術師との別れ。
知ってか知らずか、亡くなった少年魔術師の姉の夢は彼に託されました。
大成するかはわかりません。
けれど今回の出来事は、確実に彼の糧になったでしょう。

そして少年魔術師はひとりではありません。
圃人の少女も一緒についていきます。

最後の1枚絵が実に印象的ですね。
少年魔術師から憑き物が落ちたような表情です。
圃人の少女って裸足だったんですね。レギンスのようなタイツっぽいの着けてますけど……。
あと少年魔術師と比較すると背の高さの差が一目でわかります。
頭2つ分くらい差があったんですね。

過去と現在。
夢。
託された未来。

再登場が楽しみですね。実に……どう化けるか。

陰惨な展開が多かった6巻ですが、実に希望に満ちたラストになっていて眩しいです。
闇に光が差したように、ゴブリンスレイヤーさんの表情に、また光が差し込んだのでした。



といった感じで6巻の感想記事終わります。
追想しつつ感想を述べていくのが従来のスタンスだったんですけど、異世界迷宮の最深部を目指そうの記事を書いていた時と同じような感じになっちゃいました。
7巻以降はもうちょっとボリューム減らしていきたいですね……感想記事頑張ります。