ブログのタイトルを変えました。
変える前のタイトルだと検索全然引っかからなくてトホホだったのです。
改めまして当ブログをこれからも宜しくお願いします。

感想に移る前に前回の記事の冒頭で書いた、amazon kindleの仕様についてのお話。
7巻までと8巻以降で仕様が異なることがわかりました(8、9巻で検証済み)。

あとこのお話はパソコンでamazon kindleを使った場合は起こりません。
スマホのアプリでamazon kindleを使った場合、ページの中身が見えるページ送りが行えます
タブレット端末で読んだ場合はどうなるかわかんないです。
たぶんスマホに近い動作なのだと思います。たぶん。

GS8

今回はゴブリンスレイヤー8巻の感想記事です。
いつも通りですがネタバレだらけですのでお読みの際はご注意ください。
あと今回から試験的に文字数減らす努力を一層行っています
1から10まで全て書いているわけではないですが、大きく思ったことの大半は書いています。



ゴブリンスレイヤー 8(GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:神奈月 昇先生
ゴブリンスレイヤー8 (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2018-10-11




8巻は序盤、前中盤、後半の大きく分けて三部構成になっています。

序盤は大海蛇退治をするお話。
前中盤は王都に行くまで~王都のお話。
後半は死の迷宮に行くお話です。

最後まで読んでから振り返ると、序盤で鰓人(ギルマン)が登場し、風貌について記述がありますが、その一部。あれクトゥルフ神話が絡んでくるって伏線だったのかよ……と舌を巻きます。
クトゥルフTRPGの動画を観たことがあれば、「この単語はっ」な言葉が登場するんですよね。


思い返すと今回、8巻は全体的にゴブリンスレイヤーのベースのひとつだろう思われるWizardryネタが特に多いです。

例えばWizardry Online(サービス終了)でクトゥルフ神話がシナリオに絡んでくる……ってあります。忠実なのです。

「Wizardry Online」に上位職と6人パーティシステムが実装! 気になる今後のアップデート展開について運営開発チームにインタビュー

Wizardry――そう、元祖RPGのひとつ、Wizardry。
わたしはパソコンゲームとしてでリリースされたWizardry外伝 五つの試練をそこそこプレイし、他シリーズは知識としてある程度知っているくらいですが、今回の密度は凄いと思いました。

例えば章のタイトルでわかる範囲で書くと、

・1章のタイトルはベニー松山先生著の『小説ウィザードリィ 隣り合わせの灰と青春』から
・6章のタイトルは高井信先生著の『ウィザードリィ外伝 女王アイラスの受難』から
・7章のタイトルはアスキー版外伝Ⅳ
・8章のタイトルは#5
・10章のタイトルはベニー松山先生著の『小説ウィザードリィⅡ 風よ。龍に届いているか』から

とこんな感じ。

さらに今回挑む迷宮は#1の城塞都市とダンジョンがベースの構造だと思われます。
ブルーリボン出てきましたし……。
実際にマップ描き、作中の行動と比較しながら確かめました。
B4Fの構造は#1と異なるようです(広場とエレベータの方向が逆です)。
B1Fは忠実に、B4Fはアレンジをかけたのだと思います。

まさかWizardry外伝 五つの試練を嗜んできたのが、こういうところ(小説を読む)で知識として面白さを増幅させてくれるとは思いませんでした。

小説ウィザードリィ 隣り合わせの灰と青春
ウィザードリィ外伝 女王アイラスの受難
小説ウィザードリィⅡ 風よ。龍に届いているか
中盤辺りから薄々死の迷宮=#1のダンジョンなんだろうなぁと感じていたので、もしかして今回はワードナ的ポジションの敵と戦うのか!? と思っちゃいました。
予想は外れましたけど、Wizardryを嗜んできた方なら「おおー」ってなると思います。


8巻は様々なエピソードと絡めてゴブリンスレイヤーさんらが過去を振り返ります。
他の人は成長していると確信しつつ、自分はどうだろうか、と考えるゴブリンスレイヤーさん。
ゴブリンを殲滅することだけに身体を磨いていたせいで、他の技術が宙ぶらりんなんですよね。
そしてひとりでできることの限界を感じているのだと思います。

故に8巻はゴブリンスレイヤーさんが今後どうするか、どうしたいか、どうすればそれができるかのヒントが示されています。9巻以降、恐らくゴブリンスレイヤーさんの行動原理そのものに変化が表れ始めていると予想できるので先が楽しみですね。

あと8巻は珍しくゴブリンスレイヤーさんが落胆とも拗ねるとも言える一面を出しますので、戦闘や冒険だけでなく、人物描写の面でもとても楽しめる構成になっていますよ。




それではいくつか場面をピックアップして感想を書いていきます。


冒頭の大海蛇との戦い

水の上での戦いは7巻の熱帯林の川でゴブリンたちと戦う場面がありました。
8巻は大捕り物。大海蛇との戦いになります。
水の上で戦うとなると、リーチの差でどうしても攻撃手段が限られます。
そこで機転を利かせた戦法は……アレ

確かに納得するんですけど、「それアリなの??」
って思っちゃいます。……毎回言っている気がしますねハイ。
今回の戦法は今後も水棲生物と戦う機会があったら登場する気がします。

そして結果だけ見ると、ゴブリンが一切絡んでこない冒険譚でもあります。
8巻はこの出来事がゴブリンスレイヤーさんの内面に波紋を広げていくことに。

鰓人のことを海ゴブリンって呼ぶのはいくらなんでも不憫過ぎるでしょって思いました。
そりゃ差別だ―って怒るのです。

>「それがどっかから送り込まれたっぽいのよね。やぁよね、星の動きも乱れちゃってもう」
(8巻、位置No.353-354より引用)

ここも伏線だったんですね……やられました。

ゴブリンを討伐、殲滅第一なゴブリンスレイヤーさんです。
そりゃあもう、帰ったあとはしょぼくれてるわけです。
言葉によるコミュニケーションが少なれど、かなりがっかりしたんだろうなって如実に伝わる描写の数々で腹筋がやられました。



剣の乙女関連

剣の乙女の過去は今まで端々が語られ、ゴブリンスレイヤーさんに恋慕の気持ちを抱いているのは言うまでもないです。

今回、剣の乙女の威光と言いますか、剣の乙女が剣の乙女たる一部が垣間見えました。
特に最終盤、ゴブリンスレイヤーさんたちのピンチを救ったのが剣の乙女になるのですが、剣の乙女『が』救ったわけではないんですよね。
剣の乙女はただその場にいるだけで威光を示すシンボルなのです。
だから剣の乙女が『動く』ことそのものが剣の乙女の強さになるのです。

ゴブリンに対してトラウマを抱えているのは王様を含め『六人の英雄』の残りの5人も知らないようですし、知っているのはゴブリンスレイヤーさんと女神官くらいしかいないんでしょうね……。



王都関連

辺境の街から水の都。そして森人の里と人の住む街をいくつか見た御一行。
『都市』を段階的に見ていったことになります。

しかし王都は都。街とはレベルが違います。
まるで人が洪水のように行き来する別世界です。
次に王都に行くエピソードがあるのかわからないですけど、頂点ですね。
王都以上もしくは同等は他の種族の都くらいになるんだろうと思います。

人で込み合ってるだけに文化的な描写が多数見受けられます。
アイスクリンの描写が2巻でありました。
そして昇降機――エレベーターが7巻で登場しました。
四方世界は中世をベースにしていると思われますが魔法を文化に取り入れたり、機械的な文化も見受けられます。当然、都市に行けば行くほど水準レベルが上がっていくので、この世界における最新技術を垣間見えることができます。

この手の中世のお話と言えば避けられないのがお風呂の文化です。
直接的なワードは無いですけど、実質スーパー銭湯ですよねアレ
さらに今回サウナ的なものが出てきたのはビックリしました。
例えば、いわゆるなろう小説でシャワーやお風呂ってちょくちょく見かけるのですが、サウナって見たこと無かったですからね……。

紐解いていくとサウナ文化は日本は東京オリンピック以降と近代文化ですが、ワールドワイドで見ると1000年以上前から存在していたようで、フィンランドが発祥の地なんだそうです。
そういえばフィンランドのサウナって有名ってどっかで見た覚えがありますね。
どこだったかしら……。

6巻で少年魔術師が出てきました。
8巻は少年魔術師の姉――最初に女神官とパーティを組んだ3人のうちのひとりのお墓が出てきました。埋葬されているってことは姉の遺体は戻ってきたってことにもなります。
アニメだと救出された人たちが荷馬車で運ばれる描写がありましたけど、ちゃんと還ってきたんですね……。

となるともしかすると今後、身体や心に傷を負いつつも生きている女武闘家、または青年剣士の故郷が出てくるかもです。



ゴブリン関連

暗躍するのは今までと変わらないですが、今回のゴブリンは暴れているだけではなく、行動目的が定まっています。そういう意味で今回はグロ度は控えめ。

5巻で小鬼聖騎士(ゴブリンパラディン)が出てきました。
小鬼聖騎士と違い、小鬼邪神官(ゴブリンプリースト)はどちらかというと3巻の闇人の邪教徒に近いスタンスです。

正義には正義の神がいるように、悪には悪の神、覚知神がいます。
そういう意味で今回の小鬼邪神官の登場は、今後の大きな展開の布石になっていると思います。
勇者御一行が国を、世界を表から救うならば、ゴブリンスレイヤーさん御一行は国を、世界を裏側から救う……そんな一大イベントが待ち受けている気がしてならないです。

今回のゴブリンとの戦いは今までと比較すると大きく苦戦する展開は無いです。
ただし疲労困憊でもう余力がない時に襲われたら話は別。
『ゴブリンスレイヤーさんの物語だからこそ助かるだろう』という見込みはあれど、じゃあどうすれば助かるのかって展開の予想をすることができなかったです。

まさかあのタイミングで剣の乙女が現れるとは思わなかったですからね……。
最初、剣の乙女がゴブリンスレイヤーさんが戦っていることからトラウマを克服して駆けつけて奇跡を唱えたのかと思ったんですけど、読み返すとトラウマは克服してませんし奇跡も唱えていないですからね……。

『六人の英雄』、そして金等級の伝説の冒険者という名実が、これまでの実績がゴブリンスレイヤーさんたちを助けてくれたんですよね。
それでももう少し遅ければ間に合っていませんでしたし、間に合わないということは王妹の救出も失敗するってことでギリギリ危機一発だったのです。



銀等級冒険者と金等級冒険者の間に広がる大きな壁

今回のボスはグレーターデーモンです。
Wizardryで登場した時と同様に、マダルト的な氷結呪文は使いますし、高い呪文低効率を誇るので呪文があまりヒットしません。体力が高く、兎に角雑に強い……強いです。

ちなみにWizardry外伝 五つの試練はユーザーがシナリオ、ダンジョンを製作できるのが大きな魅力なのですが、グレーターデーモンはもれなく終盤か裏ダンジョンで登場します。
弱いグレーターデーモンって早々見かけません。
見かける場合は相応に装備のインフレが早い段階から起こるシナリオですね。

さて、冒頭で金等級冒険者である『六人の英雄』がグレーターデーモンを倒す描写があります。
この時点で金等級なのかどうかはさておき、ゴブリンスレイヤーさんたち御一行が戦ったのは『グレーターデーモンの腕だけ』です。
腕だけですらゴブリンスレイヤーさんたちが直接倒す戦力には全然届かないことが如実に描写されています。銀等級と金等級の絶望的なまでの差が描かれています

オーガの時と違い、勝てない相手としての描写が強いです。
じゃあどうやって倒したのかと言えば、機転を利かせたのは今までと同じ。
ただし、今回だけですよね。この大博打が可能なのは。

剣の乙女がブルーリボンをくれなかったら成功しませんでした。
グレーターデーモンが身体全体復活していれば失敗していました。
五体満足巻全体だったら女神官の《聖壁》も途中で破られていたでしょう。

それでも倒せたのは、まさしく運が良かったから。サイコロの出目が良かったから。
運が悪ければ良い結果も渋る結果になります。
多少の劣勢は運で巻き返せます。勝てない勝負に希望の光を与えます。

ゴブリンスレイヤーさんは自覚の有無は置いといて、サイコロの出目に頼らない行動を採っていました。しかしパーティプレイをするにつれて、どんどん運も味方につけていってます。自覚があるか無いかわかりませんが。
それは今は希望になっても、未来は絶望になるかもしれません。
変化したことは良いことだけをもたらすわけではないです。悪いことももたらせて然りです。

そういう意味で、今回のグレーターデーモン戦は銀等級冒険者の限界。そして運の大切さを読者に知らしめた……そんな気がするのです。



王妹

身体的な特徴は女神官の上位互換的な描写があります。
けれど経験が絶対的に足りていません。
ある程度の良識や常識はありますが、けれど考えが、経験が足りていません。

女商人にジョブチェンジした令嬢剣士と本質的な部分は似ていると思います。
違うのは、王妹は身体にキズが付くことなく帰還できたこと。
そして戦う力を持っていないこと。
籠の中の小鳥は外の世界で生きていく力は無かったのです。

王妹が攫われていなかったら、8巻のシナリオは大きく変わっていたでしょう。
結果だけ見れば、王妹が攫われたことは勇者を間接的に助けています。
何故ならゴブリンスレイヤーさんが転移の巻物を王妹救出中に用いたことで勇者と戦った敵に影響を与えたから。

転移の巻物超高価なんですけど、覚えている限り、1巻、6巻。
そして今回で3回目の登場です。
実はそこまでレアじゃないor割と制作できちゃう……んでしょうかね?

救出後、王妹は地母神に帰衣することになりました。
王妹は冒険がしたかったのです。人々を助けたかったのです。兄王のようになりたかったのです。
であるならば、王妹の『冒険』はこれからですね。
何やら今後も出番があるようですし、女神官と容姿が似ていることもあって大きな活躍が期待できそうです。例えば女神官の恰好をして囮になる……みたいな感じで。



以上、8巻の感想記事でした。
この感想記事を書いている時点で10巻と11巻も購入しましたので、このまま最低でも11巻まで引き続いて感想記事を書いていきます。
12巻の発売はもう少しなのでkindle版がリリースされれば直ぐに購入しようと思います。




最後に一言。

最終盤、暴れん坊将軍を想像したのはわたしだけじゃないと思いたいです。