今回は外伝イヤーワンの2巻の感想記事です。
いつも通りですがネタバレだらけですのでお読みの際はご注意ください。

1巻部分はコミカライズ版も読了済みなのですが、2巻部分のコミカライズ版は部分部分を読んでいるので参考程度に留めます。

GSY2



ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン2 (GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:足立 慎吾先生
キャラクター原案:神奈月 昇先生
ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン2 (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2018-11-14




イヤーワン1巻の少しあとのお話がイヤーワン2巻部分になります。
1巻に比べるとゴブリンスレイヤーさんは頼もしくなった反面、まだ攻撃に感情が乗っていて、手探りな部分が多々見受けられます。

さて2巻は大きく分けるとゴブリンスレイヤーさん、1巻の若い戦士、槍使い、牛飼娘の大きく4つのパートが織り交ぜながら進んでいきます。
1巻の若い戦士が2巻も続投なのは嬉しかったです



若い戦士

数少ないゴブリンスレイヤーさんの駆け出し時代をよく知る人物。

『本編』に出ていない……かどうかは不明です。
見た目がそっくりさんならアニメ版の牧場の決戦で登場しているので。
描写が無いだけでノベル版も1巻で一緒に戦っていたのかもしれないですね……。

追記:
コメントを頂戴しました。
映画の特典にて言及があったそうなので、銀髪の武闘家も併せて本人で間違い無いとのことです。




そんな若い戦士ですが、イヤーワン1巻は駆け出しとして。
そしてイヤーワン2巻では先輩冒険者として活躍しました。

パーティを組んだ3人のうち、銀髪の武闘家はキャライラストが載っています。
しかしノベル版では他の2人はイラストが載っていないです。

この点において、3人全員のイラストが載っているコミカライズ版がオススメになります。
特にゴブリンスレイヤーでは初登場となるドワーフの女性が登場しますからね。

コミカライズ版はこのパーティを組んだ際の戦いの途中以降が描かれています。
『先生』の強さが垣間見えますよ。
あと銀髪の武闘家にハーフエルフの少女を重ねて見ていたのが漫画で描かれています。
1巻部分から引き続いてコミカライズ版を読んでいたので中々胸に来るものがありました。

ちなみに銀髪の武闘家は本編のコミカライズ版でも登場しています。
コミカライズ版の3巻、12話81ページ……ですかね。kindle版だと位置No.84/206です。
あと3巻15話、174ページ(kindle版の位置No.177/206)もそれらしき女性が描かれています。

ゴブリンスレイヤーさんも若い戦士も復讐鬼としての側面がありました。
けれど若い戦士は早くも前に進めました。
若い戦士は未来のゴブリンスレイヤーさんのあったかもしれない姿……なのかもしれませんね。
若い戦士もゴブリンスレイヤーさんも、第三者がきっかけで変われましたし。



牛飼娘

まだ本編に至る前なのでゴブリンスレイヤーさん以外にあまり心を開いていません。
けれど今回は嫉妬など、様々な感情の色が見えました。
まだ明るくなる前の暗い状態ですが、変化に戸惑っているような素振りもあって良かったです。

ただイヤーワン1巻を読んだあとで2巻を読むと牛飼娘周りは物足りなさを覚えます。
その反面、良かったと思ったのは伯父さんとの会話です。
ゴブリンスレイヤーさんのことを冒険者=無頼漢として警戒しているのは言うまでも無いですが、牛飼娘の心境の変化をそのまま想像して地雷を踏み抜かれた場面は良かったです。

実の娘ではなく、妹の忘れ形見(=姪)ですからね……。
本編と違って暗い時の牛飼娘ですから、なおさら距離の取り方に悩んでいたでしょうし。



槍使い

魔女との馴れ初めエピソードが結構な量あるのでとっても良かったです。

5年前の時点では槍使いも魔女もまだ白磁等級。
そして本編に比べると場数も経験も浅い……んですが頼もしさは変わらないですね。
そして槍使いは受付嬢にゾッコンで受付嬢から距離を取られていますが、決して女性に対する扱いがなってない人じゃないんですよね。
魔女とパーティを組み、今後も継続してパーティを組む場面で、魔女のことを褒めるのが実に論理的な上に情緒的です。少しでも槍使いに好意的な気持ちを抱いていた場合、コロリと惚れさせられるのではないでしょうか。



孤電の術師

2巻の核となる人です。
MTGネタのオンパレード……とは行かないですが、あちらこちらにMTG要素があるのでMTGにある程度精通している人ならとても楽しめると思いました。
界渡り(プレインズウォーク)と灯(スパーク)周りまんまですからね……名前全然もじって無いですし、WOC社に怒られるんじゃねってヒヤヒヤしました。

要はMTGのカードを使って魔術を唱えるんですが、もっとこぅ……MTGらしさが欲しかったです。
確かに土地をタップ(蹴って)して呪文を唱えるというのはMTGのカードの使い方そのまんまなのですが、召喚術師やMTGのカードを使う呪文遣いとしての活躍を期待していたので肩透かしでした。

ただ孤電の術師の人物像はとても深みがあって面白く、1巻限り(恐らく)のキャラなのは非常にもったいないなぁと思いました。
何ていうか、こう感情が読めないというか、捉えどころの無い飄々としたキャラは大好きです。
しかも女性でこのタイプってあまり見ないんですよね。
男の人を手玉に取る魔性の女性タイプでならちょくちょく見ますけど、孤電の術師の場合は蜥蜴人の師の影響なので意識的にしているのではないですし。

あとゴブリンスレイヤーさんが魔術のスクロール関連強いのと《呼気》の指輪関連の答え合わせになっているキャラなので、イヤーワン2巻は本編の情報強化として非常に読み応えがありました。
《呼気》の指輪そんな重要アイテムだったのかいっってなっちゃいましたね。

あと怪物辞典でエラッタと情報の最新版アップデートに関して。
現在はカード数が膨大になりすぎてリリースできないと思いますが、15~25年くらい前(時期覚えてないです)はそれまでのMTGの全カード情報を網羅したカードリスト本がリリースされてましたし、TCG周り強いとこの辺かなり2828しちゃいますね。


たぶん孤電の術師がMTGネタで固められているということは、暗黒の塔=久遠の闇=次元と次元の境目なのは何となくわかります。
界渡りをしたいということは、孤電の術師がしたかったのは他の次元に移動なのだと思います。
しかし自身が盤上の駒だと知り、最後、盤上の外=高位次元=神々の世界に移動した……んでしょうね。結末だけ見るとスターオーシャン3的な感じ……かしら。

正多胞体そのものはあまり存じなかったです。
正多面体の親戚的なものかと思ってました。
でも調べたら、なるほど高位次元に移動するためのプロセスとして合致するのねっていう。

多胞体(ピクシブ百科事典)

わかる範囲とわからない範囲の境界線があやふやで、調べながらこの記事を書いているのでぶっちゃけよくわかんないです。
完全正解といかなくても部分正解できたら良いなぁって思います。



ゴブリンスレイヤーさん

攻撃に感情が乗っているのでまだまだ発展途上です。
でもイヤーワン1巻に比べれば会話が成り立ち、本編に至るまでのプロトタイプ……といった感じではないでしょうか。

イヤーワンに限らず、本編もそうですがゴブリンスレイヤーは物語の全体テーマとして、自分にできること、できないことが挙げられると思います。

このイヤーワン2巻も例に漏れず、ゴブリンスレイヤーさんは自分にできること、できないことを天秤にかけて情報・手段の取捨選択を行っていきました。

ゴブリンに殺意を抱いている以外に対する執着はまだ無く、価値観がゴブリンを中心に回っているので効率と非効率が綯い交ぜになっています。

結論から書くと、イヤーワン2巻はゴブリンスレイヤーさん戦術的に面白い勝ち方をするわけでもなく、泥臭い戦い方から脱却して本編に至るまでの過程が描かれています。
ゴブリンの身体の構造を調べるのは1巻からの延長線上で、『当たり前』に対する疑問から当たり前の『理由』を探していくことになるので観察・推理スキルの向上が見受けられました。

ただ惜しいかな……1巻の延長線上なのでそれがとても見栄えがあるものなのかというとうーん……って感じなんですね。
面白くないわけじゃないんです。
ただ感想を書くにあたって、他の要素と比較するとどうしても特筆事項のようなものに困ってしまうのです。
それだけ2巻は孤電の術師周りと槍使い周りが良かった、という証左でもあります。

イヤーワン3巻が今後リリースするのかわかんないですけど、リリースするなら変化……は本編のとおりですし、何か印象に残るエピソードがあれば嬉しいなぁと思います。



以上、イヤーワン2巻の感想記事でした。
次の記事ですが、ずっとゴブリンスレイヤーの感想記事が続いていましたので、久しぶりに他のラノベの感想記事を書きます。

予定の記事でも書いていますが、

恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-

をお送りします。
ジョジョ好きですし多分ハイスピードで読んでいくだろうなぁと思っています。
(感想記事が早く書けるのかどうかはまた別の話です)

それでは次回の記事でお会いしましょう