前巻の感想記事から約1年と3カ月経ちました。
(たいへん遅れてしまってスミマセン……)

今回は異世界迷宮の最深部を目指そう9巻の感想記事をお送りします。

それにあたって本文に移る前に諸注意です。
実は10カ月くらい前に9巻をある程度読んでます。
(読んだ場面までだとノスフィーは登場してなかったと思います)
※追記:第2章の途中まで読んでいたと後に判明しました

大雑把な流れは覚えてるんですけど、セリフや登場人物周り、設定周りド忘れしまくってます。
えっと、覚えてるのは鍛冶屋のお爺ちゃん周り、登ると空とドラゴンだった、そしてロードティティー可愛いです。
(身も蓋も無いですね(滝汗))

今回の記事は9巻を最初から読み直し、感想を1章毎に継ぎ足しています。
(本文は『X.YYY』の形式)
ですので前と後で書いた内容が逆転していることも多々あると思われます。

最後に全体のまとめ感想を書きますので、要点だけ読みたいんだよーって方はそちらをご覧にいただけたら幸いです。


はい。いつも通りおことわりです。
当ブログの感想記事はネタバレだらけです
特に未読の方は記事をお読みの際はご注意ください。

異世界迷宮の最深部を目指そうって、設定周りかなり複雑です。
……設定忘れたまま読んでも大丈夫なのかしら? ……という実験も兼ねています。

・異世界の迷宮の存在理由
・レベル1からリスタートすること
・渦波君の正体
・陽滝の行方

辺りが明かされたのが8巻なんですけど、ちゃんと覚えてるのかすごい不安です。
でもパリンクロンとの激闘は割と覚えてて、それだけ印象に残ったんだなぁとしみじみです。

DWL9

異世界迷宮の最深部を目指そう 9 (オーバーラップ文庫) Kindle版
著:割内タリサ先生
イラスト:鵜飼沙樹先生 


9巻に進む前に8巻の最終盤の軽いあらすじ(読み直しながら)。

陽滝(肉体は渦波君)は『木の理を盗むもの』、アイド先生に連れ去られました。

パリンクロンと死闘を終えた渦波君(肉体は陽滝)とライナー君は世界奉還陣に呑み込まれ、『地下六十六層の裏』に落ちたのでした。

目が覚めた渦波君を出迎えたのは、『風の理を盗むもの』、ロードティティー。
10巻の表紙絵になっている、緑髪で羽根が生えた女の子ですね。
一人称が童(わらわ)でフランクな喋り方です。
童(わらわ)であって妾(わらわ)じゃないです

始祖カナミがロードティティーのために再現した1000年前の王国。
地上に還る手段が無く、1000年前の王国の真実がこれから判明するのをにおわせたところで8巻は終わりました。

「かなみんは永遠にかなみんなので、それはできません。あと『王様ちゃん』が嫌なら、封印されし『お姉ちゃん』でも可です」
(8巻、位置No.4747-4748より引用)

最終盤を読み直してくると、この辺伏線になってそうで怖いですね
渦波は永遠に渦波。魂と器、それぞれに対する描写が随所にある小説ですし……。




◆1.迷宮の裏、ヴィアイシア国 を読んだ時点の感想

最初に読んだ時はあまり疑問に思わなかったのですが、リーパーの魔力って、渦波君と魔力供給が絶たれたあと、誰が供給しているんでしょう?
順当に考えると限られてくるんですが、1年(ただしロードティティーの自己申告)ものタイムラグがある以上、何が起こっていてもおかしくなさそうな気がします。

さて、色々新たな情報が出てきて溺れそうになりました。
今後の伏線になりそうな単語や文章がいっぱいありますね……。


特に気になったのが詠唱――呪術の代償
今までのおさらいから得られる知識の発展形ですね。
かなり前ですが、マリアが火魔法の代償で『記憶が燃えてました』ね……。

火魔法の詠唱の代償が『記憶が燃える』。
水魔法の詠唱の代償が『心が冷える』。
そして風魔法の詠唱の代償が『心が軽くなる』。
第一章時点では語られていない地魔法の代償が気になる……。

これって詰まるところ、渦波君の固有スキル、最深部の誓約者に凄く似ているって思いました。
だから何? って訊かれると弱いのですが、魔法のルーツに繋がっているんじゃないかなーと。
1000年前よりも前に遡れば、魔法のルーツ、スキルのルーツに近づいてくるーみたいな?

いや、8巻にそういうの何かあった気がする……。
うーん思い出せない……かといって読み返す気力も無いです。
ワード検索で過去巻検索かけたりはしているんですが、フルで読み直すのはしんどいのです。

ローウェンって地の理を盗む者でしたっけ。
といっても地魔法何使っていましたっけ……。
クォーツって確か地魔法じゃ無かった気がする。だいぶんと忘れてますね……トホホ。

話が脱線しました。
風魔法の代償が『心が軽くなる』。
ロードティティーを真の意味で成仏させるのであるならば、この失った想いを全て戻させるんじゃないかなーと予想します。

ロードティティーが歪な存在になっているのは端々で描かれています。
抜けたパズルのピースは元のピースを埋め込むのが一番理に適っていると思います。


9巻第一章を読んでつくづく思ったのは、境遇やスキルや性格は違えど、本質的にライナー君と渦波君と似ているんだなぁと思いました。
思い返すと、ライナー君の心が荒む前ってかなり渦波君に本質的な部分で似てましたっけね……。

と、いうことは、ですよ。
渦波君とライナー君って魂のレベルでソックリさんじゃないかって思うんですね。

この小説は魂や想い、過去が散々フィーチャーされる作品です。
ただの偶然で片づけるのは早計だと思うんです。
ライナー君自身の出自などにもう秘密が無かったとしても、転生その他でライナー君にさらなる秘密があってもおかしくないと思うんですね。


「けど、もう! ここにあの姉様はいない! 一時間毎にお茶を用意させられることも、手作りのお菓子をねだられることも、何かにつけて弄られることもない! さらに言えば、ドSな赤と黒の双子 もいなければ、勝手に無茶するペーパーリーダーもいなければ、嬉しそうに手錠をつけようとしてくる変態守護者もいない! ああ、なんて楽なパーティーなんだ! 夕食ぐらい、僕がフルコースを用意してやるよ! ジーク!!」
(9巻、位置No.678-682より引用)

ライナー君にコミカルなパートが増えたことで、嗚呼8巻までの呪縛からひとまず解放されたんだなぁとしみじみです。

この直ぐあとの渦波君と堅く熱い握手を交わす場面。
ここ、挿絵があったら良かったのにぃ……って思いました。
……同意してくれる人いますよね?


レイナンドさんに限った話じゃないですけど、どうしてこうもファンタジー作品に出てくるネームドの鍛冶屋のキャラって魅力的なんでしょう。
アリバースさんもそうでしたけど、いやーカッコイイですね。
レイナンドさんはさらに上を往く上にケモミミ系キャラで好感度爆上がりです。

そういえばレイナンドさんは挿絵がありますが、いわゆる人間の耳が生える部分にケモミミが生えているので、いわゆる人間の耳に当たる部分が髪の毛で隠れて見えない~というタイプじゃなくて凄く好印象です。

そして今回のキーパーソンになるだろうことは間違いないです。
1000年前の将軍。
そして唯一民の中でなぞった記憶ではなく、明確な意思を持ち合わせていますし。
第一章は謎が膨らんでいく一方なんですけど、レイナンドさんの存在が希望の光に見えました。

レイナンドさんを軸にして謎が解けていく……そんな気がします。
ロードティティーを軸にする場合、どうやって心を縛るロックを外していくのかってのが問題になるんですね。
でもレイナンドさんにはそれが無いわけで。
ロードティティーの干渉さえ防ぐことができれば、ロードティティー関連の謎は次々に明かされていくだろうって予感がします。


ロードティティーはキャラが一貫しているんですけど、作り物っぽさが凄いですね
なんていうんでしょう……仮面って言うんでしょうかね。
無意識レベルでキャラを演じているというか。
1000年前と思しき絵画のような凛とした雰囲気は微塵ですし、心のロックを外していけばロードティティーのキャラ変わりそうな気がします。

というか一人称が童(わらわ)でフランク過ぎるキャラって違和感すんごいんですよね。
見た目は変えようがないとして、一人称の読みが「わらわ」なら語尾が「~なのじゃ」って古今東西色んなところで見かけるってもんですよ(偏見)。


迷宮を降りるんじゃなくて登っていくのが今のミッションです。
けれどレベリングができないというのはなんて恐ろしいデッドロックトラップなんだと思いました。
城下町の住人と戦闘すれば経験値は何とかなると一瞬でも思ってしまった自分を殴りたいです。

8巻までで始祖カナミの『技術』の片鱗を得ているから何とかなる見込みが立っているものの、それが無かったら詰んでいるんですよね。
何ていうんでしょうか……出来過ぎている気がします

今までも綱渡り綱渡りでした。
そもそも創作物なんだからそりゃそうだろって言われればそうなんですけど、なんかこの作品限定でまだ何かある気がするんですね。
言葉にできない違和感というか。
スッキリするにはまだまだピースが足りないですね……。


今回の感想、こういう形式にして思った正直な感想。
感想書かないでとっとと先読みたいです(滝汗


あともうひとつ。
今までロードティティーとアイド先生を含め、守護者って5人登場しています。

結局、闇の理を盗む者――ティーダって何者なんだよっていう。

あちらこちらで名前は出てくるのに、一向にティーダの正体に近づかないんですよね。
強さの沽券は実質パリンクロンが奪っちゃいました。
守護者の共通点は1000年前なのでティーダも1000年前の登場人物であるハズなんですが……。
……過去巻に書かれているのを忘れちゃったのかしらわたし。




◆2.迷宮逆走 を読んだ時点の感想

いわゆる迷宮探索パート。
いぶそうは重厚な人物関係、重厚なストーリーと隣り合わせで迷宮探索パートが登場します。
空気の気分転換になり、その迷宮探索パートも特にRPGなどゲームをプレイしている人なら楽しめる造りになっていて、今回も読んでいて凄く楽しかったです。
今まで登場したアイテムを新たにドロップしたアイテムや舞台、スキルで強化されていくのは王道で気持ち良いですね。

あと今回の場合、渦波君がディフォルトとディスタンスミュートのコンボが強すぎてチートキャラまっしぐらだと思ったら弱点とまではいかないものの欠点もあり、渦波君ひとりの力では踏破できないのが強く描かれていて良かったです。

おさらい的に迷宮のモンスターは復活するのも描かれていて、凄く久しぶりにいぶそうの続きを読んだ人的に助かりました。

限られたリソースをいかにフル活用して攻略するのか、ギリギリの攻防が描かれて楽しいです。
渦波君は基本的に冒険よりは安定を採るタイプだと思うんですが、冒険する時はキッチリ冒険するので弱腰一辺倒に見えないのがとても良いのです。
読者は『神の視点』で物語を『読みます』から、攻め時に攻めないのはモヤモヤしちゃうと思うんですね。もうちょっと先が見たい、を見事に実現してくれる渦波君のプレイングはグッと来ます。


今回の冒険は各モンスターの容姿のみならず強さの特徴がキッチリ描かれていて良かったです。
と、同時に読んでいて不思議な気持ちになりました。

どの辺がって渦波君とライナー君の2人で攻略したからこそ『良い感じ』な構造になっていたこと
そして割と第二章の途中まで忘れていたんですけど、ロードティティーって『風の理を盗むもの』ですけど、五十層の守護者なんですよね。
六十層が『光の理を盗むもの』なのは良いとして、どうして六十層台中盤(?)が風属性重視な迷宮構造になっているんでしょ

よくよく考えると、アイド先生は『木の理を盗むもの』で四十層の守護者です。
しかし迷宮構造は三十層台の中盤戦は水没した迷宮でした
どっちかっていうと『水の理を盗むもの』が合ってそうな迷宮構造なんですよね
四十層に近づくにつれて木属性度が上がり、四十層は草原でしたけど……。

その『水の理を盗むもの』は相川陽滝で、シナリオ的に8巻は陽滝も大きく取り沙汰される作りになっています。
「あれ? これ迷宮の構造と守護者の位置関係一致しないな??」ってなっちゃうのです。
例えるなら、陽滝とアイド先生がミックスされたのが三十層台……みたいな?

さらに思い返すと『火の理を盗むもの』アルティと戦う前に『闇の理を盗むもの』ティーダと戦いました。ティーダは二十層の守護者で、アルティは十層の守護者です。
『火属性度』は十層が燃え盛っているのは妥当だとしても、二十層を越えても色濃かったです
おかしいですよね。どうしてアルティの十層前後ではなく、アルティと戦う時期になった二十層前後の攻略時と位置関係が一致するのでしょうか。

(※あと数行書いていたんですけど、直ぐ下と内容が重複するので削除しました)




◆3.果てにも届かぬ手 を読んだ時点の感想

ふせったーに投稿したのを丸々コピペします。
※ブログの一行当たりの文字数を整えるために細部の文字数調整はします

第三章を読んで割と確信に思ったこと。
この小説、ストーリーテラーに該当する黒幕がいるでしょ?

根拠はノスフィーがロードに語った『一カ月以内』というカウントダウン
1000年前から続いていたとしても、
世界奉還陣に巻き込まれなければ、ある意味最高のタイミングでヴィアイシア国に行けないでしょ?

・パリンクロンが世界奉還陣を使う
・ライナー君が水晶魔法を会得するだけ強くなっていて、且つ渦波君と和解しなければいけない
・仲間が直ぐに追いかけられない状況を作る

が成り立って、渦波君はノスフィーと会うのをすっ飛ばしてヴィアイシア国に行けるんですよ。
というか巻き込まれなかったら迷宮に潜るんじゃなくてアイド先生を追っかけていたでしょうし

ということは、ヴィアイシア国から地上へ脱出を目指すのが『正攻法』

パリンクロンが世界奉還陣を使ったのも、あれだけ渦波君に勝とうとしたのも別の見方ができます
だってパリンクロンが勝つだけならもっと早い段階から渦波君に接触しないで暗躍すれば良かったんですよ。

「ここまでやって引き分けもできねえのかよ……。パリンクロンという男にできることは全てやったぜ? 全部出し尽くした……。それでも届かないのかよ……」
 (8巻、位置No.4489-4490より引用)

つまり、パリンクロンもストーリーテラーの掌の駒のひとつ
たぶん、『想定内の動き』しかできないとか何か制約がある中、最善最悪最良の手で渦波君を打ち破ろうとしていたんでしょ。じゃなければ3巻の時点で渦波君を殺せば良かったんですよ

じゃあストーリーテラーって誰なんだよって話になるんですが、
ベタに考えるなら1000年前まで遡るので、候補は始祖カナミ、聖人ティアラ、使徒シス、使徒レガシィ、陽滝の誰か。
でも始祖カナミはイコール現在の渦波君なので多分ハズレ。
陽滝も1000年前の時点で故人なのでハズレ。

となると聖人ティアラ、使徒シス、使徒レガシィのどっちか。
使徒レガシィって考えるのは苦しいと思うんですね。
だってパリンクロンの言動と一致しないところが出てきますし……。

使徒シスは現在で絶賛暗躍中なので除外。
ということは消去法で聖人ティアラが怪しいです
でも聖人ティアラがストーリーテラー的なことをする理由がわかんないんですよね……うーん。

というか聖人ティアラが真の黒幕なら、今存在しているラスティアラはどうなるんだーって。
具体的にはラスティアラと聖人ティアラは恐らく同時に存在はできないハズ
よってパリンクロンにのしかかってくる制約的な何かはどうやって発動しているのか。
呪いみたいなもんだと言ってしまえばそれまでなんですが……。


ココからは第三賞を読んだ感想。
ノスフィーって表紙絵はかなり大人な女性に見えたんですけど、背が小さくて見た目は12歳ほど
そしてノスフィーが嘘を付いていないと仮定すると始祖カナミは既婚者。ぶっちゃけロ(タコ殴り

表紙絵って確か作中の一場面じゃなくてIFの一場面なんでしたっけ。
9巻の表紙絵、描かれているのは渦波君じゃ無いですね。恐らく、描かれているのは始祖カナミ
髪の毛が長い(8巻のカラー挿絵に始祖カナミが描かれてます)です。
そして顔の火傷の跡も見当たりません
多分、このIFは1000年前にノスフィーが死ななかった場合のIFの世界の続きなんでしょうねきっと。

光魔法のレクチャーがあり、神聖魔法と別物だという描写がありました。
地魔法とは別に水晶魔法がありますし、氷と水属性も別物(描写が今までにあったかわかんないですが)でしょうし、この世界はポケモン並みに属性いっぱいですね……

光だけに温和な属性で攻撃よりも補助特化型ってところでしょうか。
そういう意味では攻撃魔法の多い風魔法、ロードティティーよりも癒しや増強、補助を軸にする木魔法、アイド先生のほうが相性(?)は良さそうです。


ノスフィーにせよロードティティーにせよ、どこまでが真実でどこまでが嘘なのか、まだ現時点では断言できないですね……。
9巻の作中でも描かれてますが、渦波君はかつて4巻で記憶の捏造と忘却をセットでかけられていました。つまり2人の発言は自覚が無い嘘だって可能性だってあるわけです。
渦波君はパリンクロンから干渉を受けましたけど、ロードティティーとノスフィー、この2人に干渉できたのは始祖カナミら1000年前の偉人たち。

理由や思惑はどうであれ、いくらでもいかようにも捻じ曲げ、変えることができるんですから鵜呑みにし過ぎるのは危険だと思います。
上で書いたことと組み合わせると、都合の良い展開にするために都合の良い記憶を植え付けた―って可能性だって考えられますし。


ロードティティーの歪さが徐々に表面化していって修復不可能に近づいていきました。
やはりロードティティーは呪いか風魔法の代償か守護者になったからかわかんないですけど、忘れちゃいけないことを忘れてますねコレ。

たぶん第一章第二章で描かれていたことを加味すると、忘れたのはロードとして背負っていたもの
ひとえに言うなら威厳……辺りでは無いでしょうか。
別人と化しているのが望んだ結果とするならば、望まない結果とはあるべき姿でしょうし。


第三章の感想の冒頭でも触れましたが、いつまでものんびりしていられないことも判明。
ロードティティーを含めたヴィアイシア国のみならず、渦波君とライナー君も相当なピンチですねこれ。だって拠点が無くなるんですよ……。
食糧問題回復問題を解決できなければ、待っているのは緩やかな死です。

故にこれはロードティティーも含めた3人が焚きつけられた、と見立てることもできます。
いつまでものんびりしていると、バッドエンドを迎えるのはヴィアイシア国だけでは収まりません。


ところで少しズルい話になってしまうのですが、9巻を読んでいる最中ですが既に10~13巻まで購入済みです。

次巻、10巻の表紙絵を事実上フライングで見ています。

DWL10

この表紙絵を見て、今まで6巻が一番明るい表紙絵だと思っていたんですが、10巻はそれを遥かに越える明るさが漂う表紙絵になっています。いや厳密には6巻は明るいとは違う気がしますが。
そして上で書いていることと矛盾するのですが、10巻の表紙絵、これ空が晴れているってことは地上に出れた、もしくは四十層の大草原かなと最初思っていたんですが、……ヴィアイシア国が『解放された』(という書き方が正しいかわかんないですが)んじゃないでしょうか

よく見ると本や絵画が浮かんでいますよね。
これヴィアイシア城(魔王城)にあった物じゃないでしょうか。解放=救われる=枷が外れるってことで、ロードティティーを縛り付けていたものが解放されるんじゃ的な。

というのをふまえると、ロードティティーの問題が第三章で一気に吹き上がってしまいましたが、遅くても10巻の最中で大きく解決されるんだろうなって予想をします。
重ねて書きますが、ロードティティーって言動可愛いんですけど、すんごく作り物っぽいんですよね
演じているっていうか。ロールプレイというか
だから見てらんないって何度か読んでいて思っちゃいました。イタイとは違いますけど、心の一部をチクチク針が刺してくるような心境ですね。

ノスフィーはノスフィーで含みのある発言があちらこちらにありますし、死に際が自爆だったのなら余計に何が隠されているんだ……ってなっちゃいますね……。




◆4.魔王 
◆5.幽世を駆け出す を読んだ感想

先に謝りますorz
趣旨に反して第四章を読み終えたあと、感想を書く前に先が気になったのと第五章が短かったので一気読みしちゃいましたorz なので第四章と第五章をセットにした感想になります。ごめんなさいorz
(amazon kindleは下のバーで全体のどの辺りか判断できます)

歪さがピークになって驚天動地な展開になりました。
2巻、5巻と同じような終わり方ですが、9巻はものっすごい中途半端なところで終わりました
……というか『書籍を発売日に買って追いかける組』の人はココで待たされたんでしょ? 
なんという生殺し的なえげつなさ。


さて、ロードティティーの一人称が『童』と書いて『わらわ』なのかの理由がよくわかりました。
一人称『妾』にシフトするのか……やられました。

あと今回でおおよそ全ての守護者の未練は『過去の清算』で全て集約されそうな感じですね……。
過去の清算って、望まれない展開、望まれない自分になっていった自分が叶えたかった本当の願いというか。

ロードティティーの願い(未練)を考えてみます。

 歴史書によれば、そのあとヴィアイシアはずっと戦争続きだ。『ここ』のような平和なヴィアイシアは、もう訪れない。ならば、『ここ』は戦争前の数年間の平和を再現したのだろうか。ただ、そうなるとレイナンドさんの年齢が合わなくなる。
(9巻、位置No.1273-1275より引用)

とあります。
また、

その後、保護者を失った彼女は北の都の孤児院に入り、未来の将軍たちと出会う。孤児院の登場人物 の中に、アイドという名前がある。どうやら、二人は子供の頃からの仲のようだ。そして、その孤児院で未来の配下たちと絆を深めたロードは、とある城に『庭師』として勤めることになる〟
(9巻、位置No.1285-1288より引用)

と英雄譚に書かれていました。
そして、

「『 ここ』は千年前の坊主が、ロードのために作った空間だ。ゆえに、『ここ』は当時のロードの 望みの全てを叶えている。もし、ロードの未練が『ヴィアイシアの平和』だったならば、完璧だった と言っていい。だが、ロードの未練は『ヴィアイシアの平和』なんてものではなかったのだ。それに 気づいたのが、最初の百年目。そして、二百年目で世界は崩れ始め、三百年目で人の魂が壊れ始め、 五百年を過ぎたところで全てが狂った」
(9巻、位置No.938-942より引用)

とレイナンドさんは語っています。

しかしレイナンドさんの言葉には誤りがあります
だってこの『完璧に再現されたヴィアイシア国』には弟のアイドがいません

そのアイドに対してロードティティーは、

「だって! いまアイドに会えば、また完璧な王様をやらないといけない! せっかく、千年もかけ て『統べる王』は許されたのに! また元に戻っちゃうよ!!」
 バキッと玉座の端部分が砕かれた。驚く僕に向かって、ロードは叫び続ける。
「また王様なんて、やだ! またあの期待を背負うなんて、やだ! だって童はっ、童はぁあ――!!」
(9巻、位置No.4422-4426より引用)

と拒絶しています。
ロードティティーは『完璧な王』にはなりたくないのです

「――王様もやってるけど、童の仕事は『庭師』だよ。あと副業で自警団の真似事してるだけ。もし、両方手伝ってくれるなら、それなりのお金を払ってあげるよ?」
(9巻、Kindle の位置No.605-607より引用) 

じゃあなんで延々と庭師と自警団の真似事をしているんだろってなるんですね。 

その後、保護者を失った彼女は北の都の孤児院に入り、未来の将軍たちと出会う。孤児院の登場人物 の中に、アイドという名前がある。どうやら、二人は子供の頃からの仲のようだ。そして、その孤児院で未来の配下たちと絆を深めたロードは、とある城に『庭師』として勤めることになる〟
(9巻、位置No.1285-1288より引用)

生前、庭師をしていたのはこのタイミングです。

麦藁帽子を被ったロードが城の庭で、木々の剪定をしている。それに少しだけ大きくなった子供のアイドが付き従っていた。
 ――笑っていた。
 破かれた『統べる王』にはない極上の笑みを、『庭師』のロードは見せていた。
いまのロードとも、『統べる王』とも違う笑顔だ。
 並ぶ絵画の物語は、その城の『庭師』で終わっていた。
 おそらく、ロードの笑顔もそこで終わったのだと、なぜだか僕は思った。
(9巻、位置No.1358-1363より引用)

つまり、笑顔=理想だとすると、ロードティティーが庭師をしているのにも関わらず、アイド先生がいないということは、恐らくロードティティーの願い(未練)は、『アイドがロードとしてはなくティティーとして見て欲しかった』もしくは『アイドと一緒に庭師の頃に戻りたい』みたいな?

1000年前のロードティティーが荘厳たる立ち振る舞いをしていて、反動でこんな感じで子供化したんじゃなくて、そもそもロードじゃなくてティティーとして見られたかったんだなー的な。

誰に見られたかったのか?
世界でたったひとりの家族だ
って考えるのがベタだと思います。

その唯一許せる相手(家族)のアイド先生が一番ロードティティーを追い詰めていたんだな……ってのは中々えぐいですね。

……これで盛大に外していたら恥ずかしいです(滝汗


じゃあアイド先生が叶えたかった願いって何なんだろってなるんですね。
守護者が死した風体で召喚されるのであるならば、アイド先生はロードティティーよりもかなり長生きしたと思われます。
ロードティティーが早々と亡くなってしまったということは、例えばアイド先生の願いは『ヴィアイシア国』を守りたかった-みたいなものではないんでしょうね。

だってそれは渦波君が叶えることができない願い事ですし。
現状、守護者の願い事は渦波君が叶えられる願い事です。
それが戦う結果になってしまってますけど……。
ということはアイド先生が叶えたかった願い事の内側に渦波君がいなければいけないので、ロードティティーと組み合わせるとロードティティーの身代わりに成りたかったとかそんな路線で考察しちゃいますね……。


今回何よりもわからなかったのがノスフィーの動向。
最初から最後まで何がしたいのか理解しきれませんでした。
いや、望まれることをし続けて何も成しえなかった、我儘になりたかったってくだりはよくわかるんですよ。わたしを含め大多数の人が身に覚えを感じることでしょうし。

でもわからないんですよね。
ノスフィーの『未練』が我儘になりたかった、じゃないだろうと

こうして今、わたしは感想を書いています。
わからないことはわからない、で良いんですがこのままだとモヤモヤするのでわたしなりに仮定を考えようと第四章を読み直しました。

重要なのはノスフィーが守護者の未練が果たされようとしていた場面
あれなんで消えそうになった、またそれが中途半端だったのかなって思ったんですね。

似たような展開でローウェンがいました。
結局、ローウェンの未練って段階的に解消されていきました
ひとつの未練が全てなのではなく、ひとつの未練が他の未練にも繋がっていました

というのを踏まえた上でノスフィーが消えかかった直前の場面を読んでみると、

 だから、噓でも夫婦なんて認めるわけにはいかなかった。たったそれだけの子供じみた理由。それ を理解したとき、思考は終わる。合理的な損得勘定を捨てて、口から勝手に言葉が漏れ出ていく。それは考えに考え抜いた僕の本心。「駄目だ、ノスフィー……。それだけはできない。絶対にできない……」
 自分の意思を決して違えず、ノスフィーを見つめ返し、声を絞り出した。
(9巻、位置No.4204-4208より引用)

とあります。
つまりローウェンのケースから発展させていくならば、ノスフィーの願いとは、本心から自分の振る舞い(正しさ)を否定されたかったんじゃないかなーと予想します。
ノスフィーが『我儘』に走っていく9巻の後半戦ですが、『我儘』とは自分で自分に対する肯定
『否定』とは、他者から自分に対する否定

これなら渦波君『が』ノスフィーの願いを叶えられます。
もしも我儘を叶えるのが願いであるならば、現時点で消えていく途中じゃないといけないんですよ

ただ……これだけではわからない謎もあります。

 とうとう僅かにあった喜びさえも消え失せたのだろう。悲しみだけに囚われたノスフィーは目じり を下げて、その黒瑪瑙の目から、ぽたりぽたりと涙を零していく。
「お父様……」
 空を見上げ、呟かれる言葉は父という言葉。
 その言葉の意味はわからないが、とても大事なものであったことは声色からわかる。
(9巻、位置No.4033-4037より引用)

このくだり。
恐らく、「お父様……」の後になんらかの言葉が続くと思うんですね。
場面の描写的にこの時点でノスフィーの父は故人なのだと思われます。
ノスフィーはノスフィーで望まない生き方をしていたのは明々白々なんですけど、なんかパズルのピースが3ピースくらい足りない気がします。うーん……。


ノスフィーの強さは第三章で明らかになっていきましたが、第四章はこれでもかって反則技で面白かったです。
光魔法で二重詠唱+打ち消しをし、MPは肩代わり。
なら攻略法はひたすらノスフィーに魔法を打たせまくってMPを枯渇させれば良いんじゃないかなーと思ったんですけど、そんなことはノスフィーも承知でしょうし、阻止してくるんでしょうね……。

あれですね。ファンタジー作品に出てくる光(あと神聖)属性って極端ですよね。
『正義の味方』ポジじゃない場合は超超超凶悪です。
今回のケースだと、洗脳に強制隷属、意志の剥奪じゃないですか……。
ノスフィーを倒せるヴィジョンが浮かばないですね……。
今までも反則技のオンパレードでしたけど、今回は流石に相手との相性が悪すぎるでしょっていう。

これが地上での話ならまだ他のパーティメンバーがいますから、やりようがあると思うんですね。
でも今は地上のパーティメンバーと分断されてますから、リソースが渦波君とライナー君しかいないんですよ。そのライナー君の風魔法も渦波君の次元魔法も封じられている以上、肉体スキルで何とかするしかないんですけど、無理でしょこんなの。

ということはこの現状を打破するなら、鍵になるのはロードティティーしかいないんですよね。
ロードティティーでノスフィーを倒すならば、まずロードティティーを『仲間』にしなければいけません。レイナンドさんもいますけどレイナンドさんは『守護者ではない過去の人物』なので勝つことはできないでしょうきっと。
レイナンドさんができるのは、恐らくロードティティーを説得すること。

ただ、

「聞いてくれ、ノスフィー!! ヴォルスのやつは、この妾を裏切って渦波たちと共謀しておったのじゃ……! 妾から大切な『臣』と『弟』を奪おうとしておった……。なぜじゃっ。なぜ、妾に優しく してくれぬヴォルスのやつだけが、未だ残っておるのじゃ……? いまも昔も、邪魔ばかりしおって! 許せぬっ、絶対に許せぬ……!!」
(9巻、位置No.5042-5045より引用)

とあります。
……レイナンドさん過去に何をしたんだ一体……。 
軽く読み返しましたが、レイナンドさんが裏切ったって記述は無いですよね多分……。




◆9巻の感想 まとめ

新たに判明したことと新たに生まれた謎が入り乱れた、第五部の1巻目。
(第一部:1巻。第二部:2~3巻。第三部:4~6巻、第四部:7~8巻と見立てています)

今回は舞台が舞台なので3巻構成じゃないんだろうなーと思います。
遅かれ早かれ十中八九、アイド先生が関わってくるでしょうし、地上に還ってからが本番みたいな?

ロードティティーは1000年前の呪縛というか。
正確には1001+X年ですね。1巻から8巻まででどれくらい年月経過しているんでしたっけ……。

今回の巻でストーリーテラー的な黒幕がいるだろうことは予想が付きました。
ただ動機がわかんないですね……する理由がわかんないっていう。

あと9巻を読んで、9巻では殆ど触れられないパリンクロンがストーリーテラー的な黒幕がいるとかなり見方が変わるキャラなのがわかりました。

よくよく考えると、3~4巻で渦波君の記憶をいじくり、エピックシーカーのマスターにしなければアイド先生を『起こした』のは渦波君御一行の可能性高そうですね……

つまり『正攻法』で進ませるには不可逆的に渦波君御一行に『試練』を与えなければいけないので、やはり偶然の一致でストーリーテラーを否定するのは難しそうです。
ただしストーリーテラーがいるとすると、自ずと渦波君よりも上位の存在がいるってことになりますので、上で予想を書いた聖人ティアラ説がハズレの場合、創造神とかそういう話になってきます
もしそうならこの異世界はいわゆる箱庭世界なのか? ってなっちゃいますけどね……。

戦闘方面は今までと異なる切り口からレベルアップしていきましたが、それすら作意に則ってる気がするのであまり喜べないような感想になってしまいました。
順風満帆な時ほど上手く行っていない……異世界迷宮の最深部を目指そうって、そんな作品な気がするんですね。

事実、今回上手く行かず、ロードティティーは1000年前に『戻り』、ノスフィーは『還り』、何もかもが残されたタイムリミット向かってまっしぐらになりました。
というかこんな終わり方だと10巻って最初からクライマックスだぜーな展開ですよね。……1巻丸々あんな感じだと読んでいて疲れそうです(滝汗

ロードティティーの未練は恐らく弟アイドにロードとしてではなく、ティティーとして見て欲しかったーみたいな感じだと予想しました。
(これで間違えていたら恥ずかしいですが)ヴィアイシア城の書物と終盤のロードティティーの言葉を組み合わせるとこれしか考えられないんですね。じゃないとレイナンドさんが語った言葉と矛盾してしまいますので。

ただノスフィーは上では予想を書きましたが、まだ判断材料が少なくて未練の正体を探るのは難しいと思います。ノスフィーは今まで色んな登場人物がいましたが、一番読めない人物ですね……そしてロードティティーはいざ知らず、ノスフィーを倒せるヴィジョンが浮かびません。
一応渦波君もライナー君もパワーアップは果たしているんですが、それ以上にチート過ぎてどうしようもないというか。

いわゆるチートキャラな渦波君とライナー君ですが、それ以上のチートで殴られた場合、どうすればいいんでしょうねまったく……。

地上に戻れても1年の経過で何が起こっているのか予想できませんし、地上に戻ったからハッピーエンドではなく、地上に戻っても問題が山積みになっていそうです。

そして渦波君の過去。
始祖カナミが1000年前に何をしでかしたのかまだ全てが明らかになっていないです。
9巻で明らかになった事実や過去回想がたったひとつの新たな真実で塗り替えらされてもおかしくないので、色々考察しましたけど簡単に破綻できてしまいます

伏線が1巻から凄まじい小説ですし、このヴィアイシア編(仮名)の伏線って8巻以前に散りばめられていてもおかしくないですね……。


最後に。
レイナンドさんとベスちゃん死んで欲しく無いんですよ……どうか、これだけは叶えて欲しい(切実