3巻を読み終えてから2巻の感想記事を書く体たらくをお許しください。
何をお許しくださいって同一視の感覚で感想を書くことができないからです。
いやー……3巻は凄い。凄い。凄いですよ。高揚とした気持ちが、SAN値ガリガリ削られて心臓麻痺起こしそうです。

さて、今回は異世界迷宮の最深部を目指そう 2の感想を書いていきます。
前回の記事もそうですけど、あっちと違ってこっちは思ったことをまとめないでそのまま殴り書きの形式で書いていきます。そのほうがどういう感情で読んでいたのかーというのが伝わり易いかなと思いまして。

異世界迷宮の最深部を目指そう 2 (オーバーラップ文庫)
著:割内タリサ先生
イラスト:鵜飼沙樹先生



2巻は1巻以上に目まぐるしく状況が刻一刻と変化していく、起承転結でいう承と転に比重が置かれた形式……だと思います。
特にパーティメンバーがどんどん入れ替わっていきます。
アルティがメインヒロインだと思ったらそんなことは無かったです。ちなみに表紙絵、マリアじゃなくてラスティアラなんですね。3巻の表紙絵がマリア。3巻を読み終えるとマリアが3巻の表紙絵で納得の一言です。
いや、アルティも良いキャラしているのですよ。1巻のボスポジションのティーダもそうですけど、盤上を搔き乱していくんですね。

そんな中で登場したのがパリンクロン。
2巻を読んだ時点ですら怪しさ満載、背中を刺してくる言峰綺麗ポジになるだろこの人みたいな感じで読んでいたら……いやー凄いですね。
底が見えないのに妙に人間くさいのです。
嘘は付いていない。けれど本当のことも言っていない。
その上で思考を誘導し、盤上を整えて自分が動き易くする。
アレですね。将棋やチェスが強いタイプですよこの人。

けれどパリンクロンがいたからこそマリアが救われたのもまた事実。あのまま奴隷コース一直線に比べれば、少なくとも2巻の時点では陽だまりのような幸福に包まれていったんでしょうね。3巻読むと物凄く辛い気持ちになるんですが……。

3巻まで読むと致命的に嘘を付き続けていたのは結局カナミ君だけなんですよね。
ラスティアラもディアもマリアもアルティも部分的に嘘を付いていますが、虚飾の鎧で全身を覆っていたのはカナミ君だけなのです。
優しい嘘。けれどその優しい嘘が心を殺すのです。
悪気は無い。だから許されるのか……そんなことはないでしょう。
カナミ君がマリアに優しさを見せたように、ラスティアラがマリアに優しさを見せたように。優しさが人を、心を殺すのです。善意という悪意が、人の感情を殺すのです。
その上でカナミ君は止まらない。止まれない。止まるわけにはいかないっていう。何故なら彼は元の世界に帰りたいだけなのだから。ただただ帰りたいだけなのだから。

2巻は大半が冒険活劇のシーンと冒険譚として読み応えがあります。
全百層の大迷宮ですが、数合わせ的な層がいっぱいあるのではなく、二十層以降は人間が辿り着いた限界が直ぐ傍にあるってことで、一層一層が重く、そして険しいです。
常識的に考えれば二十三層二十四層は死ぬでしょ。脱水症状起こすでしょ。人との相性最悪でしょう。
カナミ君が氷属性魔法を少しずつ習得し、ああこれで進んでいくんだなと思ったら別口から攻略の糸口が見つかる。盛り上がっちゃいますよね。

直球がダメなら変化球で勝負しろ。
変化球とは何か。
炎には氷を――ではなく、炎には炎を。炎に強い術者はそのまま炎を殺すこともできる。
道理ですよね。しかもアルティという炎のエキスパートがいて、炎の魔法が使えるマリアがいるんですから。
とんとん拍子に上手く行き過ぎている。行き過ぎていた……というべきでしょうかね。3巻読むとメインの登場人物が裏で何考えていたのか全て明らかになるんですけど、表しかわからない2巻は苦しんで足掻いても先へ先へ進もうと研鑚を積んでレベルを上げる過程にしか見えないっていう。

ハインさんも含めた天上の七騎士もそう。
RPG的に考えるなら定期的に出てくるボスポジションに見えるわけですよ。
迷宮は十層ごとにボスの立ち位置の守護者が出てくる、という手筈になっていますが、一巻の時点で十層もニ十層も攻略したことになっているんですよね。
じゃあ三十層に辿り着くまでボス戦に該当する戦いは無いのか? 
そんなことはない、そのための天上の七騎士戦なのかって思ってしまいました。

しかしこれも三巻を読むとやはり覆ってしまいます。
コインの表と裏のように、二巻と三巻は光と闇。人の心が見せる光と闇の構成になっています。二巻の終盤になって、ようやく裏が見え始めた――というところで三巻に続く、ですからね。生殺しも良いところですよ。そりゃ三巻も読んじゃうわなと。そして三巻を読んで絶望の谷底に突き落とされるんですが……。

好きなシーンは聖誕祭の前祭のシーンです。
お祭りは良いですよね。心が躍ります。地元の遠い神社も毎年お祭りをしていますが、ソロで行っても友達と一緒に行っても楽しいです。場の空気で当てられちゃうっていう意味ではライブと近いんじゃないでしょうかね。ライブも音楽の祭りと言えると思いますし。疲弊した心を癒して年相応の青少年のカナミ君を見られたのは貴重です。ムキになって対抗するの御馳走様でした。良いものが見れました。

特に好きなキャラは男性側はパリンクロン、ヒロインはマリアです。
どうしてマリアが好きなのかって理由は省きます。まー普段からウチのツイッター見てる人なら嫌でもわかるでしょ。ハイ。
パリンクロンもそうですけど、場を搔き乱して底を見せないトリックスターポジションのキャラは大好きです。大好きですけどリアルではお友達にはなりたくないです。いつ裏切られるかって猜疑心に襲われることになりますからね。
結局三巻の時点でパリンクロンに色々思惑があったことそのものはわかりますが、その先に何を狙っているのかは全然明かされていません。
先に進めば明かされるのでしょうけど、その時にまた今までの行動がひっくり返るんじゃないかって思うと恐怖と楽しさが同居したような気持ちになっちゃいますね。

あとフランリューレが結局一番重くないサブヒロイン(?)ポジだったってのはびっくりですね。よく見かけるタイプのキャラですけど、だからこそ異常が普通に見えて普通が異常に見え、一周まわって「あれ? 普通だ」って思ってしまうっていう。
フランリューレたちもまた再登場して欲しいですね。三巻まで読むとひたすらしんどい。オアシスが欲しくなってしまいますから。

というわけで端折りましたが、異世界迷宮の最深部を目指そう 2の感想でした。
異世界迷宮の最深部を目指そう 3の感想も書き次第すぐにアップします。今度は4巻を読み終えるずっと前に記事を書く筈なので、3巻を読んだ時そのままの気持ちで書いていけると思います。