電子の海文字の海

購入したラノベの感想を書いていきます。
主観全開、ゆるふわ感想記事になります。
主にamazon kindleさんで購入した電子書籍が対象ですが、
買えなかった場合は物理書籍の感想も書いていきます。

カテゴリ: ゴブリンスレイヤー

あくまで主観ですが、ラノベといえば主人公がいて、ヒロインがいて、問題を解決しつつ関係性が深まる……というのがテンプレートのひとつだと思います。
ヒロインが複数いる場合は主人公君が問題を解決していくうちに第一、第二(以下略)ヒロインを攻略して好かれている……という感じになっているのではないでしょうか。

ではヒロインから見た主人公君はどうなるのでしょうか。
ヒロインが複数いれば、ヒロイン同士はお互いにライバル同士になるわけです。
ハーレム系や一夫多妻制度でもない限り、主人公君のハートを射止めることができるのは一名のみ。平穏の裏では骨肉の争い……なんてケースもあると思います。

さて、ゴブリンスレイヤー3巻はゴブリンスレイヤーがゴブリンを狩るお話です。
けれど各ヒロインがゴブリンスレイヤーを攻略するお話でもあります。攻略に成功できるのかどうかは別のお話。

ゴブリンスレイヤー 3(GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:神奈月 昇先生
ゴブリンスレイヤー3 (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2016-09-16


今回はゴブリンスレイヤーの3巻の感想です。
1巻、2巻と違ってシリアス度低めのラブコメ風味盛り沢山とタカを括ると大火傷します。
今まではあっちこっちの迷宮やら砦やらに出向いてゴブリンを殲滅してきましたが、今回はギルドのある街がメインでお話が進みます。それとは別でゴブリン退治もちゃんと行います。

比較的序盤でゴブリン退治を行った際、今までと動向が異なるのが何かしら伏線になるであろう展開は容易に想像できるのですが、それがどう絡んでくるのかは後半になるまでわかりませんでした。
というよりもカラー挿絵で描かれるヒロイン勢の艶やかな姿に魅了されまして、嗚呼今回はどちらかというとサブストーリーみたいな感じなのかなーと思っていました。
カラー挿絵の女神官えっちぃ過ぎですよ……。

実際その側面は強いと言えます。
ギルドのある街で大きな祭りが執り行われるのですが、そのお祭りの話と街を組み合わせたものがメインシナリオとして進行します。
牛飼娘、受付嬢、女神官の三名のヒロインを主軸にゴブリンスレイヤーの物語が展開します。妖精弓手が一歩引いていますが冒険の確約を行ったので次巻以降でメインヒロインとして大活躍するでしょう。きっとね。

面白いのは今まで登場したサブキャラがお祭りという土台に密接に絡んでくること。
主人公君はゴブリンスレイヤーですが、サブキャラにだって物語はあるのです。
生と死を賭けた壮大な戦いもあれば、恋の詩を紡ぐラブロマンスだってあるのです。
色恋沙汰から離れていたキャラにもスポットライトが当てられ、今までと違った魅力でぐいぐい読者を魅了していくと思います。実際女騎士は挿絵の破壊力もあって中々凄いことになっています。

さて、今までの殺伐とした殺戮劇と無縁かと思えばそうではありません。
後半になると切迫した展開を迎え、緩んでいた気持ちがグイグイ引き締まりました。
特に各ヒロインとの『デート』の最後を締めくくる受付嬢と良い感じに終わりそうと思ったらいきなりあの展開なので、思わずゴブリンってそこまで知恵が身に付いた者がいたのかと焦りました。
それは直ぐに違うのだと発覚するんですけど、じゃあ正体誰なんだよって当然思うわけです。正体を見て(読んで)「あああああああお前はあああああ!!!」ってなっちゃうわけです。
ゴブリンスレイヤーは率直に言えば職人肌で武骨で素朴で遊びがあまり無い人物です。
つまりやることなすこと容赦が無いわけです。彼にその気が無くても恨みを買うことはあるのです。
あの時の人物が何か後々やるだろうなーとは予想付くんですが、まさかこのタイミングでそれが行われるとは予想だにしていませんでした。

一気に小説全体の空気が変わったと思いました。お祭りの裏側ではシリアスな展開が仕組まれていて、急転直下、一気にゴブリンスレイヤーらしいお話になったのです。

1巻ではオーガやゴブリンチャンピオン、2巻では目玉のアレがボスの立ち位置として立ちはだかりました。今回はゴブリンではないボスが立ちはだかります。
これがまた燃えるんですよ。

ゴブリンスレイヤーでは神に祈りを捧げることで呪文を習得したり色々恩恵を受けることができます。では神に祈りを捧げない、反旗を翻した者を何て呼ぶのかと言えば、『祈らぬ者』と書いて『ノンプレイヤー』と読ませる凄さですよ
ノンプレイヤー――即ちNPCですよね。神に祈る者はプレイヤーキャラ、つまり盤上の神が見から見ればダイスで運命を左右される生命体ってわけです。神々から離れ、プレイヤー(登場人物)に牙を向ける。凄い王道ファンタジーというかなんというか、本当に作者様はTRPGが好きなんだろうなーってのが伝わってくるのです。

RPGなどのお約束ですけど、ボス戦は一対多になるわけです。
数で主人公側が勝る劣勢をポテンシャルやパラメータ、特殊能力でカバーすることで戦闘バランスが取られます。今回のボス戦もまた面白いイベント(特殊能力)でとても見応えのあるバトルになっています。



3巻は萌えと燃え、両方が味わえて一石二鳥の大満足となりました。
個人的には2巻のようなダンジョンハックのほうが好きなんですが、3巻のようなシティーアドベンチャー的展開。これはこれで全然アリだと思いました。
ゴブリンスレイヤーは1巻に比べればずっと柔らかくなりましたけど、それでもキャラがキャラなので各ヒロインと進展するのは牛歩の道だと思いますし、このゆっくりさがクセになって良いアクセントになっているお思います。

ダウナーイチャラブとは違いますけど、静かなイチャラブ大歓迎なのです。

ってことで3巻の感想でした。
作者様の引き出しの多さに脱帽なのです。固有名詞はゴブリンスレイヤーのみですけど、各登場人物のキャラクタがどんどん深みが出て、思わぬ組み合わせで化学反応が発生することも多いですし、次はどんな冒険が描かれるのだろうと超楽しみですね。
(5巻まで購入済みです)


ダンジョンと言えば何を思い浮かべますか?
洞窟、森、塔、砦、城、廃墟etc...
ダンジョンとはDungeonと書きます。元々地下牢を指す単語です。

転じて日本においてはダンジョンとは迷宮を指す単語になります。
迷宮であればそれはもれなくダンジョンになります。有名な新宿駅や梅田駅がダンジョンと呼ばれるのもある意味では正しいのです。

さて、ゴブリンスレイヤー2巻で訪れるダンジョンは水の街の地下に広がる大迷宮、巨大下水道。ダンジョンアタックですね。ゴブリン殲滅の依頼を受け、遠路はるばる遠い街を訪れることになります。

ゴブリンスレイヤー 2(GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:神奈月 昇先生
ゴブリンスレイヤー2 (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2016-05-17


ゴブリンスレイヤー2巻の感想です。
てっきりゴブリンスレイヤーと女神官の二人旅を主軸に進むかと思ったら妖精弓手ら3人組もパーティインし、5人パーティがメインで展開されます。
解散したり別行動を取ることはあれど、5人パーティの鞘に戻ります。攻守、さらにサポート体制が整い、あらゆる困難に置いて対応力のある非常に強力なパーティです。でも呪文の使用回数はやはり少ないです。Wizardryなどと違って中々増えません。

そんな彼らに剣の乙女と称される大司教かから依頼が舞い込みます。
クセの強い人ですよこの人も。

まずエロいです。
恰好がエロいです。
そして言葉選びがエロいです。しかも悪気が無いのでなおさら質が悪いです。
特にゴブリンスレイヤー、女神官との会話シーンがヤバいです。
しかし最後まで読み進めると、剣の乙女の印象が変わってくるんですよね。

ゴブリンスレイヤーはゴブリンを狩り続けたことで上から三番目の銀等級冒険者になりましたけど、対ゴブリン特化型である彼自身に秀でたスキルは無いわけです。ゴブリン特化型なのはスキルというよりも経験の裏打ちですし。

しかし剣の乙女は上から二番目、金等級冒険者です。
様々な脅威を退けた歴戦の英雄なのです。そんな彼女がわざわざゴブリンスレイヤーを指名したのです。ゴブリン殲滅の依頼を。どうして? 無論、最初は他の冒険者に依頼しました。けれど……ダメだったのです。
そこで白羽の矢が立ったのがゴブリンスレイヤー。小鬼を殺す者。

という導入を経て、巨大地下水道探索に入ります。
といっても終始ずっとダンジョン探索してゴブリンとバトルするだけではありません。
なにせゴールがわからない巨大地下水道ですから、何度か街に戻って休息取ったり補給するわけです。そういう意味で正しくダンジョン探索していると思いました。拠点とダンジョンを何度も行ったり来たりするのはWizardry想起するのでワクワクします。

水がメインのダンジョンだけあって水に関する展開が多いです。
船に乗って流れてくるゴブリンは怖いですね……。
頭の中で浮かぶイメージはヴァルキリープロファイルのダンジョンなんですけど、ああいう感じでゴブリンがワンサカ来たら怖すぎでしょ……。

RPGのように全体火力呪文で全部撃破ーなんて都合の良い話は無く、前回の感想記事でも書きましたが、リソース管理が非常に厳しいので長期戦ができない世界になっています。直ぐにピンチになるのです。

後半だったかと思います。
ゴブリンの罠にハマった時は、展開的に助からないとお話が進まないから勝つだろうという見込みが立つんですけど、じゃあどうやって助かるんだろうという予想ができなかったです。絶体絶命大ピンチですね。1巻のオーガ戦の時は絶対的な戦力差をいかに覆すか、でしたけど、2巻の大ピンチはいかに窮地を脱するかに極振りした展開で緊迫感が凄かったです。

この作品の主人公はゴブリンスレイヤーです。
けれど彼は勇者ではありません。勇者はゴブリンスレイヤーとは別に存在します。ゴブリンスレイヤーが迷宮探索をしている裏で、勇者は暗躍する者を討伐します。

ゴブリンスレイヤーと勇者、彼らに何の違いがあるのか。
簡単です。勇者は勇者たる才華に恵まれているから勇者なのです。
さらに勇者はダイスに好愛されている。

ゴブリンスレイヤーはタイトル画像、文字が小さくて見辛いんですけど、英語のタイトルがくっついています。

He does not let anyone roll the dice
彼は誰にもサイコロを振らせませんでした

ゴブリンスレイヤーはTRPG要素が非常に多いノベルです。
TRPGにおけるダイスとは、あらゆる結果・数字ををダイスを用いて判定します。
つまりダイスの運が悪ければより悪い結果に、ダイスの運が良ければより良い結果になります。

ではゴブリンスレイヤーと勇者の違いとは。
勇者はダイスに愛されていた。ゴブリンスレイヤーはダイスを振らせない立ち回りをしていた、ということになります。

これが描かれるのは物語の外側。盤上の神の視点からになります。
勇者は世界を救います。
ゴブリンスレイヤーは世界を救いません。世界が窮地に陥ったとしても、彼はゴブリン退治を優先します。彼は新たな力を授かる努力よりもゴブリン退治を優先します。
時間は等しく流れます。彼にとっての最優先はゴブリン退治なのですから。

話を戻します。
ゴブリン事件の真犯人は勇者が成敗してくれました。
けれどゴブリンが地下水道に流れてくる原因そのものは別にあります。
真犯人を倒してもシステムを壊さない限り永遠に続くのです。
そんな真犯人ですから当然ながら『用心棒』を用意しています。それが2巻のボス戦となります。
……調べて元ネタがあったことを知りました。名前見たことありましたよorz
Wizardryは結局エンパイア3、エクス2、五つの試練しかしてないのでウチの経験不足ですねハイorzlll

ボス戦というかボスモンスターは、アニメやRPG的に考えると燃えるシチュエーションを取ってくれます。どうやって倒すんだろとワクワクしました。こんなのどうやって勝つのって相手ですから奇策に期待するわけです。大満足でした。

ボス戦が終わり、システムを壊し、これでめでたしめでたし……と思ったらアレですよ。
衝撃の展開があるわけではないのです。ただ、価値観が変質します。そういうことだったのかーと。最後まで読むと今までの価値観が少し変わります。同じセリフも違った色に見えるでしょう。
人の感情とは、表層だけで測り知ることはできないのですから……。

ってことで2巻の感想でした。
ぶっちゃけ感想じゃなくて駄文の羅列になってますねハイ
けれど感想を正直に書くと、ダンジョン探索が超ワクワクしました、で終わってしまうのですよ。結構ページ数的なボリュームあるんですけど、やっていることは1巻も2巻もゴブリン退治、それ以上でもそれ以下でも無いのです。ただ、ゴブリン退治に何がくっついてくるかが変わってきます。

剣の乙女が今後再登場するか楽しみですね。
登場するならヤンデレコース一直線でしょうか。そしてゴブリンスレイヤーがクールでカッコイイ! あくまで彼の頭の中にあるのはゴブリン退治、ただその一点それだけっていう。無論、パーティメンバーによって少しずつ彼もまた変わっています。けれど本質は何も変わっていません。変わらないからこそ彼はここまで強くなれたんだなと。

そんなゴブリンスレイヤーですが3巻は色恋沙汰で、1巻、2巻とはかなり趣の違うシナリオ展開です。けれど最後まで読んだら膝を打ちました。紛れもなくゴブリンスレイヤーでした。面白いですよー。



ゴブリンと言えば何を連想するでしょうか?
RPGにおいて、序盤を彩る雑魚モンスターとして登場することが多いのではないでしょうか。要するにプレイヤーに倒されるために用意されたヤラレ役。

かくいうウチは昔MTGを嗜んでいた時、赤速効ゴブリンデッキ、いわゆるスライにボコボコにされ、それはそれは酷い目に遭ったものです。
こっちの場が整う前にライフをゼロにするべく、命をかなぐり攻撃一辺倒で襲ってくるのです。のんびり嗜好のウチの苦手なタイプでした。

さて、この小説。ゴブリンスレイヤーは多種多彩なゴブリンが登場します。
ゴブリンは端的に例えると賢しいです。賢いではありません。『さかしい』です。
小賢しい(こざかしい)って言うでしょう? この作品のゴブリンはズル賢いのです。

ゴブリンは弱いです。
直ぐに死にます。
なりたて冒険者でも倒せます。
強いモンスターにこき使われます。
強いモンスターの攻撃の巻き添えを喰らって直ぐ死にます。

しかしズル賢いのです。
頭が決して良いわけではありません。
冒険者を罠にハメる術を知っているのです。
冒険者がどういう行動をとるのか知っているのです。
冒険者がいかに優しいのかを知っているのです。
つけ入る隙があれば直ぐに利用してきます。
優しさを見せれば後ろから狙われます。
見逃せば力を付けて逆襲します。
邪悪の一言です。

ゴブリン退治だと余裕しゃくしゃくでウキウキ気分な冒険者の身体を心を殺し、身体を殺します。経験が浅いパーティを壊します。時には経験が豊富なパーティですら壊します。たかがゴブリン、されどゴブリン。ゴブリンに始まり、ゴブリンに終わる物語です。

ゴブリンスレイヤーがゴブリンを殺す者の物語であるならば、ゴブリンは影の主役と言えるでしょう。そしてゴブリンスレイヤーを読み終えた時、きっとあなたはゴブリンに対してイメージがガラリと変わってしまうでしょう。

ゴブリンスレイヤー (GA文庫) 
著:蝸牛 くも先生
イラスト:神奈月 昇先生
ゴブリンスレイヤー (GA文庫)
蝸牛 くも
SBクリエイティブ
2016-02-25


ということで今回はゴブリンスレイヤー1巻の感想です。
先に書かせてください。

まさかポリフォニカの絵師さんだとは思いませんでした。

あとがきを読んで初めて気付きましたよ。マジで!? ってビックリしました。
世間一般的にはポリフォニカシリーズのほうが多分有名なんでしょうけど、ウチ的には魔王と踊れシリーズ(catwalk様作品)の絵師さんのイメージが強いです。バックして表紙絵を再び見た時には思わず声が出ちゃいましたよ。

ウチがAmazon kindleアプリをインストールして、初めて購入して読んだ作品がゴブリンスレイヤー1巻です。
まだ読んでいない作品も含めると、『モンスターのご主人様』や『オーバーロード』。
『この素晴らしい世界に祝福を!』シリーズなども購入しています。
いつになったら読む(読める)んだとか考えてはいけないです(汗

今から2か月くらい前でしたっけね……ちょうどセールをしていまして、PCでもスマホでも読めることを知ったので速攻で買いました。うん。電子書籍利便性凄いです。なにこれすごい。便利!

もっと早くから使うべきだった……と思っています。
スマホで小説読む利便性すこぶる良いです。
幸せな気持ちになれます。暗い部屋でもバッチリ読めますし、物理書籍と違ってリアルの場所も取らないですし。スマホの空き容量を圧迫するのはご愛敬。

ちなみにAmazon kindleアプリはスマホ版で起動する際、数百MBの空き容量、それに作品ごとにダウンロードするための空き容量が別途で必要になります。
小説は1冊10MB前後で済みますが、ページ数にもよりますが漫画は100MB前後以上は必要になると思ったほうが良いです。ウチは漫画はPC、小説はスマホで読んでいます。

前のスマホは空き容量の確保で四苦八苦していましたからね。
16GBスマホ辛いorz 16GB丸々空きかと思ったら3GBくらいしか空き容量無かったです。
作品は削除したり再インストールは何度でもできるので、容量が厳しい場合はやりくりすると良いです。

さて、ゴブリンスレイヤーはいわゆるなろうさん作品のようにweb掲載からノベル化した小説です。ただしなろうさんやカクヨムさんなどではなく、やる夫スレに掲載されたAA作品からの小説化です。
まおゆう魔王勇者と同じく、掲示板からという珍しいコースを辿った作品なんですね。

無論、そのままではなく、大幅にあれこれ変わった上で小説化しています。
ですので各キャラが何のAAをベースになっているのかがわかってしまうと脳内ボイスが捻じ曲がります。捻じ曲がりました。見るんじゃなかったと後悔していますorz
ゴブリンスレイヤーはもう少しでアニメ化しますし、そういう意味で原作を読みに行くのはお気を付けてーです。

TVアニメ『ゴブリンスレイヤー』第1弾PV

……ゴブリンスレイヤーがアニメになるという記事を見かけた時、それはそれは驚いたものです。この小説を知ることになったきっかけはコミカライズ版の凌辱シーンの画像が確かTwitterのタイムラインだった気がしますが、流れてきて気になってコミカライズ版のお試し版を読んだからですね。
今現在(2018年4月23日)でも公式サイトでコミカライズ版の1話をご覧になることができます。何も前情報を知らないで読むと絶句モノの展開でビックリするでしょう。
というかアニメになるなら避けられない、女性が凄惨(凌辱的な意味で)な目に合うシーンがいくつか出てくるのですが、どうやってアニメにするんだろうと思ってしまいます。

話を戻します。
ゴブリンスレイヤーは何名かから見た世界が描かれた作品です。
一人称視点ではなく三人称視点です。ですので各キャラがどういう心理なのか描かれていますが、神の視点で描かれるので、深い部分は読者に委ねられた形式となります。

最初は女神官からの視点で物語は始まります。
ネームドキャラはいません。役職・職業の名前で各キャラは作品の中で立ち回ります。

ゴブリンスレイヤーはゴブリン退治をし続けた結果、そして彼自身がゴブリンスレイヤーと名乗っていますが本名ではありません。
畏怖と敬意を込め、彼はゴブリンスレイヤーと呼ばれます。固有名詞があるだけに名前で呼ばれます。女神官からさん付けで呼ばれます。「ゴブリンスレイヤーさん!」

名前を呼び合わないのに、誰が誰のことを呼んでいるのかわかる文章になっています。
文章に遊びやギャグはありません。和むことはあれど、終始重い物語です。
特に女性キャラに対して容赦が無いです。

ゴブリンは女性を犯します。
快楽のためだけではなく、ゴブリンたちの繁殖のために犯します。
ネズミ算式に増えていくので、直ぐに根を絶たないと辺境の村は滅ぼされてしまいます。

ただそういうシーンを目当てで小説を読むのはお勧めしません。
コミカライズ版は描写が描かれていますが、小説版は直接的な表現は極力避け、濁されていますので。濁されてなかったらR18ノベルになっているんじゃって思ってしまいます。
ですので小説を読んだだけならアニメ化できるだろうと思いました。
思いましたけど、それでもどうやって濁したり隠したりするのか、限界があるので怖いんですが……。

女神官はギルドで出会った者同士で初心者同士でパーティを組み、クエストに挑み、ゴブリンによって壊滅状態に追い込まれます。
女神官以外のバックボーンが描かれるので、三人が摘まれていくのは中々胸が痛いです。
何も情報を知らないまま読み進めていくと、レギュラーメンバーだと思っていたキャラが一人ずつ退場しますからね。退場といっても少年剣士以外の少女二名は……何も言いますまい。
兎に角、ゴブリンによって思考を誘導され、経験の浅さがそのまま仇になってパーティが壊滅します。

そこに現れたのがゴブリンスレイヤーです。
ゴブリンスレイヤーはいわゆるチートキャラではありません。
ゴブリンを絶滅させるためだけに研鑚を重ね、ゴブリンの思考を読み、ゴブリンの先を行く戦士です。魔法も使えず、ただただ膂力と暴力で駆逐します。
脳筋ではありません。使えるものは何でも利用します。使えなくなったものはあっさり捨てます。価値のあるものを残さず使う決断力があります。貧乏性と真逆です。
武器が無ければゴブリンの武器を使います。利用します。奪います。
この手を替え品を替えが心地良い。殺意と憎悪が如実に伝わってきますからね。

ゴブリンスレイヤーと助けられた女神官を主軸に物語は展開します。
この世界の呪文(魔法)は回数制です。MPの許す限り使えるのではなく、根本的に呪文の使用回数が決まっています。しかも四捨五入すると切り捨てられる1~3、4が当たり前のスーパーハードモードです。WizardryやFF1の序盤を想像すると良いでしょう。
冒険は短いものもあれば長いものもあります。少ない呪文回数をどのタイミングでどのように使うのか、非常に見応えがあります。

例えば防御結界を張る聖壁(プロテクション)という呪文が登場します。
通常は味方に張ることで敵の攻撃を軽減するための、文字通りの聖なる防御壁です。
ところがこの呪文を敵を閉じ込めるための隔離装置として使うことを思いつくのがゴブリンスレイヤーです。閉じ込める前に火を放つと……あとはわかりますね。

どうやってゴブリンを殲滅していくのか、非常に見応えがありますよ……。
必殺仕事人シリーズとはちょっと違いますけど、戦闘が華というか、見惚れさせられるというか。

ゴブリンスレイヤー1巻は非常に読み易い構成になっています。
オムニバスが四編収録された物語、と見立てることができます。
いずれも読み応えがあり、それぞれ異なる味があります。そしてアニメになった際、エピソード毎に分かれるだろうことが容易に予想できるので、アニメ構成し易いだろうなと思いました。

途中からレギュラーメンバー入りする、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶の三人もそれぞれ良い味が出ています。特に妖精弓手。
アグレッシブな女の子は良いですね。しかもエルフですよエルフ。きゃぴきゃぴ(死語)しているのに一番歳上です。現実換算とエルフの歳の重ね方を同一視してはいけないんですけど、いやー素晴らしいです。

死力を尽くす戦いは心が躍るものです。
『勝てそう』ではなく、『勝てない』と思ってしまうような戦いはより心が躍ります。
上述のとおり呪文のリソース管理がとても厳しいこの作品で死力を尽くす戦闘場面は、それはそれは先が気になる戦いになります。

対オーガ戦は震えましたね……。何に震えたってそれまで常勝不敗のイメージが縫い付けられた(ウチの心に)ゴブリンスレイヤーが簡単にボコボコにされてしまうのですから。

結果的に勝ちました。
けれど同時にゴブリンスレイヤーは決して強くないのだと、上から三番目の銀等級であっても特別スキルに恵まれているわけではないと思い知らされました。
徹頭徹尾、最初から最後まで重厚なお話なのです。
90年代のファンタジーノベルが好きな人ならば、これは現代に現れた90年代ファンタジーノベルだと太鼓判を持ってお勧めできます。
良いですよ……神奈月昇先生の可愛らしいイラストから入ると蝸牛くも先生のスーパーハードなシナリオに打ちのめされます。

救いがあっても救いが無いです。
誰にとっての? ゴブリンスレイヤーにとっての、です。
そもそもゴブリンスレイヤーは何故、ゴブリンを憎み、殺し、殺し尽くすのでしょうか。
この物語は冒険譚ですけど、同時にこの物語は復讐劇です。ゴブリンという復讐対象に憎悪する、ゴブリンスレイヤーという一人の男性の復讐劇です。
姉を奪われ、故郷を奪われ、彼には何も残らなかった、全てが空っぽになった。
空虚な心に宿るは復讐心。しかし彼は秀でた力がありません。
ならば努力するしかないです。死ぬほど努力し、努力し、努力し尽くす。
それでも彼は恵まれた才能は持っていません。ならば知を持って制すしかないです。
ゴブリンの生態を識り、ゴブリンを理解し、ゴブリンを殺し尽くす。

作中の文章にも登場しますが、ゴブリンにとってのゴブリンがゴブリンスレイヤーなのです。奪い、奪い、奪い尽くす。ゴブリンの子供にも容赦しません。情は一切与えません。情を与えた結果どうなるかは作中のとおり。そりゃそうですよね。ゴブリンにだって心があるんですから。それが善い心か悪い心かは別にして。

禍根を全て断つため、彼はひたすらゴブリンを殺し尽くします。この物語が最後どのような幕を閉じるかわかりません。めでたしめでたしとは行かないでしょうね……辛い。

ヒロイン勢は魅力的なキャラが揃っています。
女神官、牛飼娘、受付嬢、そして妖精弓手。
全員に共通しているのは、物語を通じて確実に成長していること。
肉体的な成長ではありません。心の成長です。
特に女神官の成長っぷりは凄いものです。2巻、3巻と巻数を重ねるごとに、ゴブリンスレイヤーの人となりを知り、彼の考えがわかり、彼の考えを代弁できるようになっていくのですから。

ゴブリンスレイヤーはひたすら寡黙です。遊びがありません。けれど話が通じないタイプではないです。聞いた上で遊びの無い最低限の応対しか取ってくれません。答える必要が無いと判断した場合は黙します。
長く一緒に過ごさない限り、彼の心を読むのは難しいでしょう。そんな彼を理解し、ともに冒険していく女神官は眩しいですね……。

神官、いわゆるヒーラーといえばパーティを後方から支える重要なポジションです。
傷ついた味方を回復し、パーティの防御力を向上し、冒険を支援する大事な役割です。とても攻撃向きとは行かないポジションです。
しかしゴブリンスレイヤーの指南が入ると話は別です。
聖壁(プロテクション)は敵を閉じ込める壁となり、辺りを光で照らす聖光(ホーリーライト)はフラッシュグレネードのように敵の眼を焼く必殺呪文と化します。

えげつないと思いました。やることなすこと容赦なさ過ぎてドン引きです。
正面突破の王道とは程遠い戦術です。
でもズルいなんて言ってはいけません。ゴブリンもまたズルく、敵の裏の裏を掻かなければ数で押してくるゴブリンを殺すことはできないのですから。

1巻は大きく分けて4つの冒険が描かれています。
2巻は大きく異なり、長いひとつの冒険が描かれます。
1巻が気に入ったのであれば2巻は飛躍的に気に入る構成になっていると言えるでしょう。
燃えましたよ……主軸はゴブリン退治ですけど、TRPG要素が多いだけあって、ピンチの描かれ方が上手いんですよね。冒険している感が高いんですよね。没入感が凄いんですよ。

妖精弓手は本編でもこう心情描写が挿入されています。

 ――私にとって、冒険は楽しい物だもの。
 こんなのは、冒険ではない。

と。
そういう意味で1巻の遺跡探索場面はボスのオーガとのバトルも含めて大好きです。
2巻の大冒険はもっと大好きです。超傑作だと思います。
3巻はどちらかというとシティアドベンチャーが主軸なのであまり好きじゃないです。もっと別の方面では好きなんですけど、やっぱしこう2巻(冒険的に)が良すぎた反動というか、これはこれで好きだけど、求めているものは違うんだー的な。

ゴブリンスレイヤーは凄惨な描写に耐性があれば太鼓判を持ってお勧めできます。
遊びが無いのでギャグテイストを求めるのであればもっと別の作品を読むと良いかと思います。
徹頭徹尾、終始に渡って重く、暗く、そして硬派なダークファンタジーです。
是非とも興味を持った方は1巻だけでも読んで、ゴブリンスレイヤーという世界にハマると良いです。
コミカライズ版もお勧めできますけど、個人的にはノベル版がお勧めですね。読み応えもありますし細かい心理描写、情景描写、そして裏側が描かれますからね。

ってことでゴブリンスレイヤー1巻の感想でした。
時間が経てば再び読み直したくなる小説ですね。スレイヤーズや魔術師オーフェンなどが大好きだったウチにドンピシャな小説ですよこれは……いやホント凄かったです。


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